Vol.053【無言の帰宅】
2017年4月8日(土) PM6:30
司法解剖が終わり、空央は義母の元へ無言の帰宅をした。
桜沢の通夜は事件から3日後に行われた。
親族の希望により家族葬が執り行われ、連日この事件を報道してきたマスコミも、今回は取材を規制されていた。
22歳という若さで亡くなった空央の亡骸は、とても淋しそうに見えたという。
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2017年4月9日(日) AM10:30
俺は今もなお、安藤から容疑をかけられている!
無実を証明する術もなく、時間だけが過ぎていく。
今日は桜沢の葬儀が、このセレモニーホールで行われる!!
家族葬のため、親族数名が静かに会場へ入っていく。
俺はただ、その光景を遠くから見つめていた。
少なからずとも、俺がきっかけとなり、恋愛に対して不幸な道を辿らせてしまったのは事実なのかもしれない。
その罪悪感が、今さら俺を締めつける!!
もう少し優しくしてやれば良かった。
そう思うのは、お前が居なくなったからなのか?
そんな思いにふけりながら、俺はセレモニーホールを見つめていた。
その時!!
漓久「あれは!!!」
俺はセレモニーホールの近くにいる、
不審な人影を見つけた!!
漓久「女!?
ひょっとして桜沢の事件に関与している奴か?」
慌てて俺は、その人影を追った!!
人影は俺に気づくと、近くの木にぶつかりながら俺の前から姿を消した!
漓久「チクショー!!
誰だった!?
あれは!」
確かに女の影だった!
そして、どこかで見たことがあるような……
俺は安藤に報告するため、電話をかける!
長い呼び出し音のあと、やがて安藤が出た。
安藤「もしもし?」
漓久「安藤さん!?
今、桜沢の葬儀会場に来てたんだが、怪しい人影を見た!!
女だ!!」
安藤「葬儀会場に行ったの?
家族葬じゃなかった?」
漓久「中に入れなくても気になって、遠くから見てたんだ!」
安藤「張り込みをしているかもしれないのに、度胸いいのね!
その女は?」
漓久「追いかけようとしたんだが、気づかれた……」
安藤「仕方ないわね……
で?特徴はあった?服装とか!」
漓久「おぼろげだが、髪はくくっていたように見えた!
痩せ型で黒っぽい服を着てた!」
安藤「それだけでは、防犯カメラに映っていた人物とは比較のしようがないわね……」
漓久「今、その人影がいた場所まで来た!!
かなりの勢いで木にぶつかったみたいだから、辺りを調べてみる。」
安藤「あまり周りを踏まないように調べて!」
漓久「わかった!
細かく見てみるよ!」
安藤「けど、頑張るわね!?
容疑をかけられたら誰でもそうだけど……
結局、自分自身では何もできない!」
漓久「俺は犯人じゃねぇ!!」
安藤「だからあなたの力になるって言ってるの!
SoRaの情報を全て私に流してくれたら。」
漓久「なんでそこまでSoRaに?……」
安藤「このままだと、あなたはますます不利になる!
よく考えた方がいいわよ!」
漓久「安藤!!きさまっ!!」
安藤「あなたが犯罪者か否か、調べれば調べるほど、捜査はあなたに辿り着いてしまう。
破滅のSTORYは、もう決まっている!」
漓久「破滅だと?
お前、本当に刑事かよ!!」
安藤「もちろん!
で?どうする?」
漓久「SoRaは何も知らない、ただのアバターだ!
それが誰なのかはわからないが、刑事に調べられるようなことをSoRaはしてない!!」
安藤「そんなあなたの戯言を聞いてるんじゃない!
情報を提供するの?しないの?
情報をくれたら、あなたが無実だと証明できる何かが見つかるかもしれない。
でも、何もなければ、いずれあなたの物的証拠と記憶障害の診断書をもとに、逮捕状を請求することになるかもしれない!」
漓久「指紋は出たのかよ!?
俺が行った証拠はないだろ!!」
安藤「被害者と犯人が飲んでいたと思われるミクストのグラスから、あなたの指紋が検出されたわ。」
漓久「俺をハメたのか!?
安藤!」




