Vol.048【引き裂かれた姉妹】
芹沢「で?最後の説は!?」
安藤「はい!それは……
桜沢空央の自作自演です!」
芹沢「自作自演!?」
安藤「まずこれを見て下さい!
義理の母親からお借りした、被害者の戸籍謄本です。
彼女は二卵性双生児で、妹が存在します。」
芹沢「なんだと!!?」
安藤「桜沢空央さんの本名は白石空!」
芹沢「桜沢家に迎えられて改名したのか……
って、おい!!空って、あのSoRaと関係が?」
安藤「はい。そして!」
芹沢「どういうことだ……?」
安藤「妹の名前は……白石繭。」
芹沢「白石……繭?」
安藤「彼女こそが、ネバーランドのSoRaの本名です!」
芹沢「妹が姉の本名でネバーランドのアバターを作ったのか!」
安藤「空央さんの日記によると、空央さんがネバーランドを始める前から、繭さんはSoRaという名前を使っていたそうです。
離ればなれになった姉を想う気持ちだったのでしょうか。
その後、空央さんも繭さんに誘われ、ネバーランドを始めています!
芹沢さん!この日記をここから読んでもらえますか?」
芹沢は空央の日記をくまなく読んだ。
芹沢の表情は徐々に強ばっていく。
芹沢「なんだこりゃ……
南漓久を、こんな頃から……
2人の姉妹が彼の写真を見て……」
安藤「空央さんは幼少期の虐待、養護施設での生活、繭さんのこと……
そして南漓久への想いも、この日記に綴っていました。」
芹沢「かなりのものだな……これは!」
安藤「ネバーランドで以前、SoRaとあお♡はとても仲の良いフレンドでした。
ただ、彼の話に夢中になる繭さんを少し許せない空央さんがいた。
何年も何年も、その思いは日に日に強くなり、妹である繭さんを常に優先してきた自身の糸が、プツリと切れてしまった。
『彼まで繭に取られるのか』
そう思った空央さんは、繭さんへぶつけるような非難を、もう止めることができなかった。」
芹沢「繭は、信頼していた空央の攻撃に耐えられなかったんだな。」
安藤「この日記には『ネバーランドの救世主SoRaの破滅!!』と書かれています!」
芹沢「ネバーランドの救世主……
それだけ多くのアバターから信頼されていたのか!」
安藤「そして、このページ。」
芹沢「うむ!」
空の日記 2016年8月12日
Kaitoって……漓久君のアバター?
繭!?あなたもお人好しね!
わざわざ漓久君がネバーランドを始めたってことを私に教えてくれるんだ!!
現実世界で?
なにそれ?
お互い彼を好きだから?
現実世界と架空世界ではんぶんこ?
ふざけるな!!!!
私ね!
あなたのことは全てこの日記に書き記しておくつもりなの!!
あの時のあなたへの恨みを忘れないためにも!!
ねぇ繭?
私に漓久君をくれない?
漓久君だけでいいんだよ!!
あとは何も要らないから……
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空の日記 2016年12月4日
繭……
漓久君に、なぜ私より先にコメントしたの?
せっかく初ダイアリーを書いてくれた漓久君に、なぜ私より先にコメントしたの?
あなたは漓久君をまた独り占めするの?
ダイヤモンドダスト???
カタカナにしてるのは自己アピール?
それとも、私があなたのコメントを見てると思って、あの頃みたいにまた褒めてもらいたいから?
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空の日記 2016年12月5日
許せない!
許せない!
KaitoがSoRaに返信をしてる!
許せない!
絶対に許せない!!
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空の日記 2016年12月7日
繭!!私をブロックしたわね!!!
許せない……
絶対に許せない!
あなたを……
繭を……
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空の日記 2016年12月8日
SoRa?
私とまだ繋がってるのがわからない、可哀想なSoRa。
私のサブアバターはYuMe!!!!
あははははははは!!
あなたのフレンド!!!
あははははは!!
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芹沢「ううっ!!
こ、これは……!」
安藤「空央さんの復讐が本格的に始まった……
3つ目の説は、繭さんと南漓久にあてた自作自演による復讐です。
1年前から南漓久の勤める会社に面接へ行き、入社する準備まで進めていた!
そして南漓久という名前が書かれたロッカーを見つけ、所持品を黙って持ち帰り、部屋に仕込み、自ら命を絶った。
復讐する繭の心に、これ以上ない傷を負わせるには、あまりにも残虐な方法です。
防犯カメラに映った女性は空央さん本人!
鮮明ではない防犯カメラの映像を、さらに詳しく解析する必要があります。
この推理については、かなり無理のある話ですが、凶器もまだ見つかっていないのが不自然です。
もう少し調べる余地がありますね。」
芹沢「なるほどな。かなり大胆な推理だが、現実的に考えると恐ろしい説だ!」
安藤「とにかく、無理があろうと幾つかの可能性は想定しておいた方が、後々の分析にも役立ちますからね。」
芹沢「で、白石繭は今どこにいるんだ!?」
安藤「現在、不明……行方不明です!!」
芹沢「なんだって!?」
安藤「義母が養護施設で聞いた話では、虐待を受けた空さんと繭さんは、その親から逃げ出し、養護施設に保護されたそうです!」
芹沢「虐待……嫌な言葉だ。」
安藤「はい。早朝、養護施設へ連絡したところ、運良く当時の担当者の方が出られました。
先ほど被害者の義母から、空さんが亡くなったと連絡を受けたそうです。
そして悲しみの中、担当者から話を聞くことができました」
芹沢「うむ!」
安藤「空さんと繭さんの両親は犯罪を繰り返し、現在も服役しています。
もともと犯罪歴があり、子供に虐待を繰り返す両親を児童福祉施設は見逃しませんでした。
両親が詐欺事件で逮捕され、身寄りのない2人を都内の児童養護施設が引き取ったというのが真相みたいです。
そして空さんは、桜沢家に桜沢空央として迎え入れられました。」
芹沢「で、繭はどうした?」
安藤「養護施設へ来た翌日、繭さんの姿はありませんでした!」
芹沢「なんだと?」
安藤「行方はわかっていないようです。
自ら姿を消したと思われます。」
芹沢「どうして……」
安藤「繭なりに、いつも自分を優先してくれる空さんに、自由でいてほしいと願ったからでしょう。
泣き叫ぶ空さんの手には、こんな物が握られていたそうです。」




