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Vol.042【さよならを言うための追跡】

挿絵(By みてみん)


それぞれの人がアバターを作り、

それぞれの人と繋がるコミュニティツール……

ネバーランド。


そんな場所で、色々な人に言葉という癒しを与えてきたSoRa。


たかがゲーム……。


このゲームをやらない人間からすると、

そんな場所で癒しなんかがあるわけない!

と疑ってしまう。


しかし、現実世界で疲れ果て、

その人間が唯一安らげる場所がここであるなら、

その者にとって癒しの言葉は絶大だ。


平等に。


誰一人として分け隔てなく、癒しや励ましの言葉を

投げかけるSoRaが、この場所で救世主となった。


時間のすべてを費やし、ネバーランドに捧げる人のために

そんなことができるのか?


姉である空央からもらったすべての喜びを、

ネバーランドで分配しているのか?


SoRaは救世主であるという使命を果たし、

疲れ果ててしまったのか。


アイタカッタ…ワタシヲシンジテ…ワタシヲミツケテ…


幾度となく語りかけてきた意味がわからない。


SoRa……お前はいったい誰なんだ!?


想像すらできない。


今朝は色んなことがあった。

会社に遅れて出社する俺は、もはや心身ともに疲れ果てていた。


桜沢のデスク……。

警察がくまなく調べた形跡がある。

たった5日間の社員のデスク周りに、何があるというのか。


まだこれからだったのに。


昨日まで絶えず笑顔でここに居たはずの彼女は、

もうこの世には居ない。


人間の命がこんなにも儚く、そして虚しく散っていくことを

俺は想像できただろうか。


悲しい……無性に悲しい。


彼女に対して愛という感情はなかった。

でも彼女は、少なからずとも俺を想ってくれていたのは事実みたいだ。


今となっては、そんな彼女の気持ちを大切にしてやりたい。


俺がお前にしてやれることは、犯人を見つけ出してやること。

そして俺がやるべきことは、SoRaが誰かを突き止めること。


桜沢……お前は言った。


「SoRaに会えば……南さんは必ず後悔します!!」


この言葉の意味が、俺には理解できない。


なぜ?


俺は、会って後悔するような奴はいない。


その「後悔」って意味を、俺はどう受け止めればいい?



部長「おい!?南……大変だったな……」


漓久「あ!部長!お疲れさまです。会社の方も今日は仕事どころじゃないですね」


部長「まさか、社員が事件に巻き込まれるとは……殺人事件だからな。今日は警察とマスコミの対応に追われる!お前はもっと大変な一日になるぞ!」


漓久「既に表のマスコミに目を付けられています!今朝の事件なので報道陣の数も……ここへ辿り着くのもやっとです!」


部長「着いてそうそう悪いが、警察の事情聴取に向かってくれ。鑑識の結果でお前に聞きたいことがあるそうだ!会社の方は任せろ!」


漓久「鑑識の結果?そうですか。すいません……部長!この場はよろしくお願いします」


部長「南!!言っちゃ悪いが、容疑が濃厚なのは他でもないお前だ……後ろから出ろ。きっと犯人は見つかる!心配するな!」


漓久「ご心配をおかけします……部長」


俺はすかさず後ろの勝手口から報道陣の目を盗み、警察へと向かった。


漓久「くそっ!!トップニュースかよ……こんな事件に巻き込まれるとは……ついてねぇ」


慌ただしく移動する俺の携帯に着信音が鳴り響く。


ケンジからだ。


思えばケンジにしたって、俺から見れば腑に落ちない点がいくつかある。

一度コイツとは話し合う余地がある。


漓久「もしもし?」


ケンジ「おい!?漓久?お前大丈夫か!?朝の騒ぎ、凄いぞ!!」


漓久「ケンジ!どうもこうもない……ったく大変なことになった!」


ケンジ「あの新入社員……殺られたんだってな……ったくどうなってんだよ」


漓久「可哀想なことになって残念だった……俺はアイツに優しい言葉や、あまりいい態度をとってなかったからな」


ケンジ「それは仕方ないって!!お前も元気出せよ!!」


漓久「なぁケンジ!?今晩会えねぇか?」


ケンジ「おー!いいぜ!!でもお前、大丈夫なのか?」


漓久「心配ねぇ!警察にはちゃんと報告してる」


ケンジ「そか!じゃ7時、例の店で!」


漓久「悪ぃな!」


そう言って俺はケンジと会う約束をした。


ケンジ……。


桜沢が殺された今、

あいつは何を思っているのだろう。


電話越しの声は、

感情を押し殺しながら、

無理にいつもの自分を演じているようにも聞こえた。


今日は携帯を弄ってない。

よく見るとLINEやメールが多々入っている。

そして沙羅とみつきからも……


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