Vol.108【2人の刑事】
2017年4月9日 AM11:05
東都渋谷署
刑事部 捜査第一課 強行犯係――
桜沢空央殺害事件の資料が、
芹沢の机に並べられていた。
芹沢「……ツインライトプロダクション、か。」
資料には、被害者・桜沢空央。
そして関係者欄には――
南漓久
斉藤健二
綾瀬みつき
三奈月沙羅
さらに別資料には、
神奈川県警が追っている
青柳来夢殺害事件の文字。
芹沢「出来すぎてるな……。」
そこに愛想の良い刑事がやってくる。
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東都渋谷署 刑事部 捜査第一課 強行犯係
星野和也28歳
芹沢を深く尊敬し、部下として捜査に加わる心優しい若手刑事。
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星野「芹沢さん?」
芹沢「神奈川のヤマと繋がる可能性がある。」
星野「繋がる可能性……?」
芹沢「しかも担当は――」
芹沢は資料を見て小さく笑った。
芹沢「“オオカミと呼ばれた男”か。」
星野「え?」
芹沢「神奈川県警管理官、立道駿だよ。」
星野「あの……噂の。」
芹沢「あぁ。」
芹沢は携帯を取り出す。
星野「電話するんですか?」
芹沢「昔からの同士なんでな。」
プルルル……
数秒後――
ガチャ。
立道『……なんだ、芹沢。』
芹沢「お久しぶりです、立道管理官。」
立道『やめろ、その呼び方は。』
芹沢「ははっ……
相変わらずですね。」
立道『で?渋谷の件だろ。』
芹沢「えぇ。
どうやら、そちらのヤマと繋がりそうです。」
一瞬、電話の向こうが静かになる。
立道『……やっぱり、
お前もそう思ったか。』
芹沢「じゃ話は早い。」
立道「情報共有が必要だな!」
芹沢「明日、共同捜査会議を設けます!」
立道「よし!被害者が東京側の事件だ。
準備が出来次第、そっちへ向かわせてもらう。」
芹沢「了解です。
それと立道さん、
現在そちらの捜査状況を教えて頂きたいんですが。」
立道「そっちで起きた桜沢空央殺害事件を、
俺が既に把握してるって前提の質問か?」
芹沢「その通りです。」
立道「わかった。
こちらも先行して、そっちのヤマの情報は欲しい。
遠慮なく聞いてくれ。
……その前にだ。」
立道「芹沢、
お前と誰が渋谷のヤマを仕切ってる?」
芹沢「私と安藤です。
上からの命令で、安藤には今回の捜査の前線に立ってもらっています。」
立道「安藤?前線だと?
……確か、あの警視監の娘だったな。」
芹沢「はい。」
立道「現場経験は?」
芹沢「まだ浅いです。
ですが観察力と分析力は相当なものですよ。
ネット上の書き込み、行動履歴、アカウント同士の繋がりから人物像を割り出すのが得意でしてね。
特にSNS犯罪や匿名性の高い事件には強い。
私も今回は、彼女のサポートに回っています。」
立道「……SNS?」
芹沢「はい。」
芹沢は、机の資料へ目を落とした。
芹沢「理解しにくいでしょうが、
今回の渋谷の事件――
現実世界と仮想世界が、
複雑に絡み合っているんです。」
立道「現実世界と……
仮想世界、だと……?」
芹沢「はい。」
芹沢は資料を一枚抜き取る。
芹沢「今回の事件、人間関係を追うだけでは見えてきません。」
立道「……」
芹沢「むしろ逆です。
ネットの中を追わなければ、現実の事件が見えない。」




