Vol.107【それぞれの関係】
2017年4月8日 AM10:32
神奈川県警捜査本部――
5日未明、
桜沢空央という女性が殺害された。
現場は東京・渋谷。
いつもなら、人で溢れ返る眠らない街だ。
だが今回は、その渋谷のど真ん中で殺人事件が起きた。
立道は資料を見つめながら、静かに口を開く。
立道「……なぜか、この事件……
妙な胸騒ぎがする。」
捜査員「立道さん、なぜ胸騒ぎが?
東京じゃ殺人事件なんて、そこまで珍しくないですよね?」
立道「そういう意味じゃない。」
立道は、資料を指で軽く叩いた。
立道「この殺された女性――
桜沢空央が、ツインライトプロダクションの社員だったって事だ。
しかも入社して間もない。」
捜査員「ツインライトプロダクション……?」
立道「お前も刑事の端くれなら、
少しはピンと来るものがあるだろ?」
捜査員「……と、言いますと?」
立道「南漓久が勤務している会社だ。」
捜査員「!!」
立道「今回、俺達が追っているヤマは、
山林で起きた青柳来夢殺害事件だ。」
立道は、机の上に並べられた資料を順に見ていく。
立道「そして、このガイシャを取り巻く人間関係が、あまりにも意味深すぎる。」
捜査員「調べでは、斉藤健二が幼少期にガイシャと同じ施設にいた人物。
そして三奈月沙羅は、ガイシャの元恋人です。」
立道「さらに、斉藤健二と常に行動を共にしているのが、南漓久と綾瀬みつき。」
捜査員「……関係があると?」
立道「大ありだ。」
立道の目が鋭く光る。
立道「今回殺害された桜沢空央は、
南漓久の部下。
つまり、南漓久と桜沢空央は同じ会社の人間だったって事だ。
さらに――
南漓久と斉藤健二は幼なじみ。
斉藤健二と青柳来夢は、同じ児童養護施設で育った。
そして桜沢空央もまた、斉藤健二や青柳来夢と同じ施設にいた人間だ。」
捜査員「……!!」
立道「偶然にしては出来すぎている。」
捜査員「……!」
立道「もちろん、今の段階では偶然かもしれない。
だが――
同じ施設出身者。
同じ会社の人間。
幼なじみ。
親友。
ここまで関係者が重なると、刑事としては見過ごせない。」
捜査員「立道さん……これって……」
立道「そうだ。」
立道は静かに言い切った。
立道「何かがある。」
立道「神奈川の青柳来夢殺害事件――
そして渋谷の桜沢空央殺害事件。
この二つは、偶然で片付けられる匂いじゃない。」
捜査員達に緊張が走る。
立道「まずはツインライトプロダクション周辺の聞き込みから始める。
必要なら、水面下で聞き込みをしても構わない。」
捜査員「はい!」
立道「ただし――
絶対に南漓久には気付かれるな。」
捜査員「……!」
立道「聞き込みを受けた人間には、
“警察の極秘捜査”だと伝えろ。
いいな?」
捜査員「了解しました!!」




