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Vol.104【新たなる依頼】

挿絵(By みてみん)


みつきは何かを感じた。


それはもの凄く遠くにある、

幻覚にも似た不快感――


空央の死を知った瞬間。


胸の奥で、

バラバラだった違和感がひとつに繋がる。


みつき「そんな……」


信じたくなかった。


でも――

もし、

自分の考えが正しいのなら。


もう、

見過ごすことは出来ない。


______________________


みつき「ごめん、ケンジ。

私は、もう一人の人に連絡しなくちゃいけないの。

今、改めてわかった事があるの。

そしてどうしても伝えなきゃいけない事があるから。」


ケンジ「わかった!

俺は俺なりに努力するよ!

みつき、お前も必ず良くなるんだぞ!

約束だからな!」


みつき「うん!

ケンジ……

体には気をつけて……


…………

またいつか、

会おうね。」


______________________


ケンジとみつきは、

空がこの世を去ったという現実を、

すぐには受け止められず、

互いに電話を切った。



そしてみつきは、

もう一人の人物へ電話をかける。


トゥルルル……

トゥルルル……


ガチャ!


篠原「みつき?」


みつき「この電話を切ったら、

北海道の旭川中央総合病院に向かいます。」


篠原「そうか……

で、いつから治療室に入るんだ?」


みつき「午後からです。」


篠原「連絡してきたのは……

空央のことか?」


みつき「はい……

その……」


篠原「お前が必要以上に調べてた人物が殺されちまったんだ。

俺に全てを話すってことか?」


みつき「そのつもり……

そして、新たな依頼をお願いしたいんです!」


篠原「おいおい!

依頼って……

モノを頼める身体じゃないだろ。

この前、夜に報告へ行った時、担当医に会ったよ。」


みつき「……田所先生と話したの?」


篠原「お前、かなりヤバい状態なんだな。

俺を身内だと思って話してたよ。

あの先生、かなりお前の身体を心配してたぞ?」


みつき「かなりね……

ちょっと気分も悪くなってきたし……

田所先生は、ずっと私の身体の事を考えてくれてる。

いつ意識が飛んでもおかしくない身体だって……

緊急搬送用の医療チャーター機で、

もうすぐ発つから。」


篠原「医療用チャーター機って……

お前……」


みつき「私のお父さん、小さな会社だけど、一応IT企業の社長だよ?

だから心配ないって。」


篠原「お前が俺の要求する依頼額を惜しみなく払う理由が、今わかったよ。」


みつき「私だって、バイトしながらIT関連の仕事は手伝ってきたんだから。」


篠原「だからお前は、情報に縛られるPCやスマートフォンを持ってなかった訳か!」


みつき「ゴホッゴホッ……

ち、違うよ……

逆なんだよ……

うっ……はぁ……はぁ……」



篠原「おい!

どうした!?

具合悪いのか!?」


みつき「だ、だいじょうぶ……

ちょっと気分が悪くなっただけ……」


篠原「大丈夫じゃないだろ!!

かなり息が上がってるぞ!」


みつき「時間が……

時間が無くなってきてるの……」


篠原「どういう意味だ!

おい、みつき!

しっかりしろ!」


みつき「篠原……さん……

聞いて……」


篠原「ゆっくりでいいから!

落ち着いて話せ!」


みつき「私が……

スマートフォンやPCを捨てたのは……

空央ちゃんのためなの……

はぁ……はぁ……」


篠原「捨てたって……

どういう意味だ!」


みつき「簡単に繋がれる世界……

全部遮断して、忘れようと思った。

でも……

どうしても忘れられなかった……」


篠原「空央の為って……

空央なんて、どうせ恋愛感情を探る為の他人だろ!?

もうやめとけ!!

死んじまったんだ!!

空央は!!」



みつき「私のお姉ちゃん……

なんだ……」



篠原「な……」


みつき「空央ちゃ……ん……

空は……

私のお姉ちゃんなんだ……」


篠原「みつき……

お、お前……

繭……なのか?」


みつき「ぅん……

私が繭……

白石繭……」


篠原「ってことは……

SoRaって……

お前が……SoRa……


……

……

……


やはり、そうだったか……」


みつき「き……

気付いてたの?」


篠原「覚えているか?

いつか、みつきの事を調べて、拍子抜けするほど普通だったって言ったこと。」


みつき「うん……

言ってたよね。」


篠原「そして、みつきが一つミスを犯してるって言ったこと。」


みつき「……

それがずっと分からなかった。」


篠原「俺は気付いてた。

みつきが、南漓久という男を知ってたことは。」


みつき「うん……」


篠原「そして、俺に依頼しに来た時に、

みつきが書いた契約書。」


みつき「……」


篠原「俺の見習い助手が、

“繭は世田谷に住んでいる”

という情報を掴んでいた。


みつき――

お前の契約書の住所も世田谷だった。


南漓久を知らないと嘘をつくみつきが、

南と同じ会社にいる空央を、

大金を払ってまで調べる。

それってつまり、

そういうことじゃないかってな。

そして何より、

お前はスマホを持たず、

俺のノートPCを病院で使っていた。」


みつき「……どうして」


篠原「すまない、みつき……

あのPCに、少し細工をした。


おかげで、

みつきがネバーランドにアクセスしてたことも

分かってたんだよ。」

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