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ビルドアップ 4
駅前の賑やかな通りに入り、トラは小走りをやめ手を振り解きながら、
「あれはオマエが半分以上悪い。こんな時間にあんな道通ったら、あーなるに決まってんだろが。バカかオマエ。ジョーシキがねーんだよ、ジョーシキが」
他人に、ましてや大好きな父親からにさえ、これ程キツく窘められたのは幼い子供の頃以来だろうか。あかねは素直に、
「ありがとう、ゴメンなさい」
と頭を下げ、改めてそのトラと呼ばれる男を見上げた。
ややロン毛で真っ赤な髪。ブカブカのTシャツ。ダブダブのカーゴパンツ。ごっついスニーカー。この蒸し暑い時期に蒸し暑い格好。誰がどう見ても立派な不良だ。
だが不思議とあかねに恐怖心は湧いてこなかった、そりゃそうだ、たった今女子として最悪の境地から救ってもらったのだから。
女子校に入り男子と喋る機会が塾しかないあかねは、普通ならこれ以上会話が続かなかっただろう。だが今はこんな状況のせいか、口が止まらなくなっていた。




