130/440
ゼロトップ 6
一美が亜弓に頭を下げ、そして亜弓の顔を見る。
「せんせ。おにぎり」
「は…?」
「試合の時。おにぎり。作ってくよ。みんなの分」
「松本さん…」
「だから。試合の日。取りに来てよ。ウチの店に」
「あ… ありがとう… ございます」
不意に一美の目に涙が浮かぶ。さっきまで理由なく睨まれていた一美は
「至らない点ばかりだと思います… 私、サッカーのルールも知らないし… でも… 頑張ります。この子達のために、頑張ります。何でもします。なので… 色々…」
亜弓が一美をしっかりと抱きしめる。互いに身長が170センチ近くあり、それはなかなかの迫力だ。そんな二人が涙を流して抱き合っている。
他の保護者は何事かと慄きつつも、温かい目でそれを見守っていた。




