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ゼロトップ 4
一美は己の中の閉じ込められた情熱が噴き出すのを感じている。前の中学のバレー部での指導を思い出す。生徒も自分も、そして保護者も一丸となりと大会を目指したあの日々。そしてその栄光を勝ち取り皆で抱き合い流した涙の熱さを。
この学校で、この区内最底辺の中学で、しかも男子だけのサッカー部で。私はまたあの栄光と興奮の日々を味わえるのだろうか?
直角に腰を曲げお辞儀をしている健太をじっと眺める。
この人と、一緒なら…
普段は単なる野蛮で薄汚い中年男。だが、こうしてやるときはやる男。こんな底辺の保護者にさえ深く頭を下げられる男の器の大きさ。
それと。
無精髭を剃り髪を整えた今日の健太の顔。実は一美のドストライクなのである。日焼けした端正な顔。太い眉毛。意志の強そうな目。
この人と、一緒なら…




