121/440
インナーラップ 3
似ても似つかない。亡くなった旦那とは。
旦那はあんな疲れた目をしていなかった。あんな白髪混じりの頭じゃなかった。あんなボソボソと話すヤツじゃなかった。
だのに。何故…
どうして永野サンが気になるんだろう。
亜弓は全然わからなかった。
あの日。トラと永野サンが紙切れ一つに熱く語り合っていたのを見た時。何か心の中で弾けるものを感じた。
これ。これよ。私とトラに足りなかったもの。
私に足りなかったもの。
それが何かを具象化する言葉を亜弓は知らない。
しかし本能的に、アタシは永野サンに惹かれている
その事実は間違いのないものだと思った。
そして
この事実に横槍を入れようとする人間を
アタシは決して許さない。




