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復活の艦隊 太平洋戦記  作者: 柊遊馬


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83/102

第83話、ツラギ島の戦い


 ソロモン諸島南部フロリダ諸島、ツラギ島。史実において悪名高きガダルカナル島のすぐ北にある島である。


 1942年当時、まだこの辺りは日本もアメリカも手を出していない。ではまったく無防備というわけではなく、イギリス、オーストラリアの管轄であった。


 5月3日。ポートモレスビー攻略の側面援護、珊瑚海への偵察力強化を目的としたツラギ攻略部隊が、同島を攻撃した。


 MO攻略部隊の空母『祥鳳』、援護部隊の特設水上機母艦『神川丸』艦載機の支援は、フロリダ諸島のツラギ、カブツ、タナンボコの空を支配し、各隊の上陸を順調に進行させた。


 もっとも、この時すでに、現地の連合国軍はその大半を撤収させていた。オーストラリア陸軍コマンド、ほか沿岸監視員など少数の兵がわずかにいて、小競り合いが発生したものの、日本軍の作戦に影響はなかった。


 さっそく、水上機基地の設営を開始。その日の夕方までには作業は完了した。


 MO作戦は順調に滑り出し、MO攻略部隊、その援護部隊はツラギを離れ、ブカ島への補給に移動した。


 だが、連合国軍も黙ってはいない。


 その情報部は、オーストラリア・メルボルン、ハワイ・パールハーバーの無線情報センターによる無線傍受を行い、日本軍のMO作戦についてある程度の情報を得ていた。


 アメリカ太平洋艦隊司令長官、チェスター・ニミッツ大将は、日本軍によるポートモレスビー攻略を阻止するため、USSヨークタウンを中心とする第17任務部隊(TF17)と、USSレキシントンの第11任務部隊(TF11)を、迎撃に向かわせていたのだ。



  ・  ・  ・



 日本軍、ツラギ島に上陸。


 TF17、空母『ヨークタウン』の艦橋で、指揮官であるフランク・ジャック・フレッチャー少将は、その報に接した。


「日本軍は、ポートモレスビー攻略を攻略するつもりではなかったのか?」

「陽動、あるいは警戒拠点かもしれません」


 幕僚は答える。


「通信によると、水上機とその設備の設置を始めているらしいとのことで」

「索敵の目が置かれるのは厄介だな」


 フレッチャーは真顔でそう言った。慎重、堅実を地でいく彼としては、敵に有利になる拠点を放置することなどできなかった。


「TF11は、燃料補給中か?」

「昨日の報告では、そろそろかと」


 一方で、TF17は給油を完了している。給油艦『ティペカヌー』は駆逐艦『ウォーデン』と共に、TF11の給油に向かった。


 本来2隻用意したかった艦隊給油艦であるが、3月のラエ、サラモアでの作戦時、米機動部隊をサポートする給油艦2隻が日本の航空隊にやられている。


 不足分については、民間タンカーで補助することになっていたが、戦闘海域には近づけさせず、結果として、前線近くで『ティペカヌー』が慌ただしく移動しているのである。


「如何致しますか、提督」


 幕僚らが視線をフレッチャーに向けた。例のニューカレドニア島を空襲した敵航空隊――小規模ながら空母部隊がいる可能性があって、TF11が南寄りを警戒していたが、今のところ敵の姿は確認されていない。


「では、ヨークタウンの航空隊だけでやろう。艦長、いいかな?」


 フレッチャーが尋ねれば、ヨークタウン艦長エリオット・バックマスター大佐は頷いた。


「イエス・サー」


 TF17は進路を変更。ガダルカナルへ速力27ノットで向かい、翌日5月4日、同島の南から攻撃隊を出した。


『敵は軽巡1、水上機母艦1、駆逐艦2、輸送船2、小型艦4』


 第一次攻撃隊、TBDデバステーター雷撃機12機、SBDドーントレス急降下爆撃機28が、ガダルカナルの南約99マイル地点より発進した。


 これは日本軍にとって奇襲となった。


 軽巡洋艦――敷設艦『沖島』と駆逐艦『菊月』『夕月』は、2隻の輸送船が物資の揚陸を進める中、防御隊形をとっていたが、そこにアメリカ軍機が殺到した。


 ツラギ攻略部隊の旗艦である『沖島』は、基準排水量4000トン。全長124.5メートル、艦幅16.2メートル。機関出力9000馬力、速度20ノットという補助艦であった。


 50口径14センチ連装砲2基4門、8センチ単装高角砲2門、13ミリ連装機銃2基4丁。爆雷ほか機雷500個を搭載可能とする。


 40機の航空機の猛攻を受けて、生き残るのは難しい……とも思えたが、その攻撃は、ほとんど当たらなかった。


 唯一、駆逐艦『菊月』に魚雷1本が命中。これはのちに駆潜艇『第三利丸』に曳航されてガブツ島の海岸に擱座する。沖島と夕月は難を逃れて離脱した。


『ヨークタウン』は第二次攻撃隊を編成すると、再度攻撃を繰り出す。空母のないツラギ攻略部隊は全力でツラギ島から退避。『第一掃海特務艇』と『第二掃海特務艇』に攻撃を命中させ、撃沈。サボ島北東の『玉丸』に損害を与えた。


 続いて第三次攻撃隊を送り出し、ここで『沖島』と輸送船『吾妻丸』が爆撃を受けるも、損害は軽微だった。


 日本軍が撤退したため、空母『ヨークタウン』もまたTF11と合流すべく、引き返した。


 なお、この攻撃で、日本艦14隻撃沈ないし大破をパイロットたちは報告した。だが、後で正確な情報の精査が行われた結果、ニミッツ太平洋艦隊司令長官を大いに落胆させた。


 またも過大な戦果報告。ヨークタウン航空隊は、魚雷22本、1000ポンド爆弾76発、各機銃2万発近くを消費したが、与えたダメージがあまりに乏しく、合衆国艦隊司令長官アーネスト・キング大将への報告も非常に憂鬱なものにさせたという。



  ・  ・  ・



 日本海軍MO機動部隊は、ツラギ攻略部隊が空襲を受けた報告を受けて、給油作業を中止。米機動部隊の捜索を行ったが、偵察機は、連合国艦艇を発見することはできなかった。


 その後、捜索を中止し、本来の目的であるポートモレスビー攻略作戦へと戻っていった。


 互いに空母の存在を予感しながら、珊瑚海での戦いが目前にまで迫っていた。

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― 新着の感想 ―
敷島にそんなに当たらないのかーいと思ったら、史実通りなんですね。さて、いよいよ戦雲が。
いよいよ、日米の空母機動部隊同士の戦闘が始まるようですね! さて、史実通りの結果になるのか、それとも?
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