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復活の艦隊 太平洋戦記  作者: 柊遊馬


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74/100

第74話、マダガスカルに迫るモノ


 マダガスカル島は、アルマンド・レオン・アネット総督の指揮のもと、ヴィシー・フランス軍が守備を担っていた。

 兵およそ8000人。その中で2000人ほどがフランス兵。残りの6000人はマダガスカルやセネガルの兵であった。


 保有する海軍戦力は、武装商船1、武装トロール船1、通報艦2、潜水艦が4であった。

 航空機は、モラーヌ・ソルニエMS406戦闘機17、ポテ63.11偵察機6機ほか、ポテ25、ポテ29が少々。


 しかしこれらの戦力は、本国から遠く供給が途絶していることもあって、正直にいって何とか稼働している程度であり、一線級の敵がきた場合、対抗できるか怪しかった。


 フランス軍は、マダガスカル北部、ディエゴ・スアレス港の防衛をメインに据えている。その兵力配置も、全体のおよそ半分の4000人が置かれていた。

 また港への侵入口は砲台が見張っていて、近づくものを撃退するようにできていた。


 だが、イギリス軍は事前偵察により、港を直接乗り込むのではなく、その西の海岸から上陸し、陸路でディエゴ・スアレスを陥落させる作戦に出た

 本来、西海岸から沖合にはサンゴ礁や小島が点在し、海流もまた複雑なため、舟での接近は困難。さらにフランス側も機雷を設置するなど対策をしていた。


 敵が近づけば察知できる――フランス軍はそう判断していたが、逆に言えばそちらに対する警戒は手薄でもあった。

 イギリス軍は精鋭のコマンド部隊による夜間上陸を仕掛け、橋頭堡を確保したのち、上陸した歩兵旅団、連隊などでディエゴ・スアレス市街、そしてもう一つのフランス軍の要衝、アンティサラン基地へと進軍する計画を立てたのだった。


 ……が、これら上陸作戦の計画は無駄に終わる。

 インド洋を西進した日本軍特破遠征艦隊が、マダガスカル近海に進出してきたからである。



  ・  ・  ・



 5月4日。この手の上陸作戦には珍しく、夜間の侵攻を考えて接近していたイギリス艦隊だったが、その位置は、特破隊の哨戒空母『大鶴』より出撃した零式哨戒機によって発見、通報されていた。

 まず攻撃対象になったのは、歩兵を輸送するY、Z船団とその護衛であるF部隊であった。

 遠征艦隊司令官、佐々山 久雄少将は、空母戦隊に指令を出した。


「本格的な艦隊戦だ。第一次攻撃隊、発艦せよ」


 旗艦『肥後』より発せられた命令を受けて、第二空母戦隊の『黒竜』『雷竜』『神竜』、そして同第一空母戦隊の『翔竜』『瑞鷹』『迅鷹』から艦載機が発艦を始める。

 大半が、特破隊の主力である九八式艦上偵察戦闘攻撃機だが、『神竜』と『翔竜』からは、新鋭の一式戦闘攻撃機が飛び立つ。


 液冷式機のように鋭角的な機種を持つレシプロ航空機。魔力冷却式発動機2000馬力を備えたその戦闘攻撃機は、全幅11.6メートル、全長10.89メートル。防弾装備込みで、最高時速655キロを発揮する高速機である。


 基本は一撃離脱ではあるが、魔力によって主翼形状を可変させる機構が採用されているため、ある程度の格闘戦にも対応している。


 第二空母戦隊から、九八式艦偵60、一式艦戦18。

 第一空母戦隊から、九八式艦偵36、一式艦戦12。

 合計126機が出撃した。


 そして哨戒空母『大鶴』からは基地航空隊が転移板を利用して発艦。だがその機種は、日本機ではなかった。P-40ウォーホークにA-24バンシー――SBDドーントレスの陸軍型が、日の丸と日本機カラーで塗装されて飛んでいた。


 米豪遮断作戦において、オーストラリアに送られた機を鹵獲、無人仕様ほか小改装を加えて、実戦に投入したのである。

 P-40改48機、A-24改が27機の75機。これらが特破隊第一次攻撃隊と共に、進撃を開始した。


「全航空隊へ、転移中継装置を使用。準備――」


 機種ごとの航続距離の違いを無視した一括運用。空母群は、イギリス航空機の索敵範囲外という長距離に位置している。

 だがその距離を詰めるのは、敵艦隊を発見、つまり前進している零式哨戒機の転移中継である。特破隊第一部隊挺身隊が、カントン島空襲の時にもちいた移動法だ。


 攻撃隊は、敵情を報告している零式哨戒機のもとまで一気に転移。移動の燃料と時間を大幅に節約し、イギリス艦隊の索敵範囲内に飛び出した。

 レーダーに無数の反応が現れ、イギリス艦隊は動揺する……。



  ・  ・  ・



「艦隊の後方から、多数の航空機だと……?」


 F部隊司令官のエドワード・ネヴィル・サイフリット少将は顔をしかめた。


 あり得ない。

 このインド洋西部に、それほどの規模の敵性航空隊が現れるはずがない。マダガスカル島のヴィシー・フランス軍であれば、現れるのは島の方からであり、ドイツはアフリカ北部で到底ここに来られるはずがない。


 残るは、マダガスカル島を巡る上で最大の懸念である日本海軍だが、情報部は日本のグランドフリートがインド洋に出撃するという話を掴んでいない。


「だが味方ではない」


 それは確かだ。であれば、どれだけ可能性が低かろうと敵である。情報にないなら、情報部が見逃したというだけの話だ。現に現れた以上、聞いていないで済まないのが戦場である。


「『イラストリアス』、『インドミタブル』の戦闘機を出して迎撃! 護衛艦隊は、対空戦闘を用意。船団を守れ!」


 F部隊に所属する2隻の空母から、ただちに戦闘機が用意される。マダガスカル島攻撃は明日の予定ゆえ、特に航空機を巡ってトラブルもなく、迎撃機が飛び上がる。

『イラストリアス』からは、F4Fワイルドキャット――そのイギリス仕様のマートレットMk.Ⅱ戦闘機装備の第881飛行隊、第882飛行隊が順次発進。


『インドミタブル』では第880飛行隊のホーカー シーハリケーンが6機、第800飛行隊フェアリー・フルマー戦闘機8機が出撃した。


「A部隊のサマヴィル中将にも、敵襲を伝達しろ。近くに敵の空母群がいるかもしれない」


 サイフリットは命じる。F部隊東方には、警戒部隊である東洋艦隊が展開している。……まさか敵が東ではなく北から攻めてくるとは。


「索敵機を北に出すんだ。敵を捜索させよ」

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― 新着の感想 ―
総数201機の大編隊による夜間攻撃!? 転移という常識破りの戦術と魔式レーダーという破格な技術がなければ、出来なかったことですね!(喜)
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