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復活の艦隊 太平洋戦記  作者: 柊遊馬


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第72話、マダガスカル島の価値


 ナチス・ドイツの侵攻は、フランスを分断した。

 降伏し、設立した親ドイツ政権であるヴィシー・フランスと、連合国の一員としてドイツに抵抗する自由フランスの二つだ。


 フランスは世界各地に植民地を持っていたが、そちらでもヴィシー・フランスと自由フランスに分かれ、対立していた。

 そしてフランス領マダガスカルは、ヴィシー・フランスについた。


 マダガスカル島は、インド洋西部、アフリカ大陸の南東に位置する島であり、その面積はグリーンランド島、ニューギニア島、ボルネオ島に続く世界第4位である。

 この島が枢軸寄りであるヴィシー・フランスの手にあることを、非常に面倒に思っている国があった。


 それはイギリスである。

 第二次世界大戦が始まり、地中海や北アフリカは、ドイツ、イタリアが活発に活動し、枢軸側が優勢であった。

 それはつまり中東、インド、そしてオーストラリアとの通商路において、スエズ運河を用いた地中海ルートは非常に危ういため、アフリカ喜望峰を通るインド洋ルートをつかわざるを得なかった。


 このルートは迂回路である。経済的にも日程的にも距離の短いスエズ運河経由の地中海ルートのほうがいい。だがドイツ、イタリア軍によって攻撃されてしまえば、届かないよりも迂回ルートの方がマシである。


 しかし、ここにきて、日本軍がインド洋に進出してきた。それがイギリスを慌てさせる。

 もし、日本軍がマダガスカル島に進出することがあれば、一応の中立的立場をとっているものの、親ドイツ政権のあるヴィシー・フランスは、枢軸側の圧力で日本に拠点として利用を許す可能性が出てくる。


 そうなれば、迂回路である喜望峰ルートは、日本海軍の通商破壊にさらされる。何せアフリカ大陸とマダガスカル島の間にあるモザンビーク海峡、その距離は約400キロメートル。日本海軍の航空機であれば、余裕で襲撃ができるのだ。


 インド洋の通商路を失うことは、インドの孤立はもちろん、イギリス本国の流通にも大きく影響する。

 ソ連へのレンドリースにも影響はもちろん、もし米国が連合国側で参戦していなければ、イギリスが本気でこの戦争に脱落する可能性さえ秘めていた。


 元イギリス軍元帥であり、南アフリカの首相であるヤン・スマッツもアフリカに対する枢軸軍の脅威を訴え、イギリスは持てる影響力を全て投じてもマダガスカル島を確保すべきであると、イギリス首相ウィンストン・チャーチルに主張した。

 イギリス政府としても、マダガスカル島が枢軸側拠点になることは何としても阻止したいところであった。


 なお自由フランスの指導者、シャルル・ド・ゴールからマダガスカル島の攻略をイギリス、自由フランスの共同作戦として提案されたが、こちらについては否定的であったりする。フランス軍にそれだけの能力があるとは考えられないというのが主な理由である。


 とはいえ、イギリスとしても戦力に余裕があったわけではない。しかしモザンビーク海峡の死守は戦局にも左右する。チャーチルは、アメリカのルーズベルト大統領に支援を要請し、根回しを終えるとマダガスカル島攻略の準備を進めさせた。


 かくて、マダガスカル島ディエゴ・スアレス攻略作戦『アイアンクラッド』が発動した。

 その指揮官はイギリス海兵隊ロバート・スタージェス少将。上陸する陸上戦力は1万3000人以上。


 これら大部隊をイギリスの兵員輸送艦隊が運び、その護衛に地中海方面から引き抜いた戦力で護衛する。これら護衛を担当するF部隊は、エドワード・サイフレット少将が率いて、その旗艦は、R級戦艦『ラミリーズ』であり、4月28日に南アフリカ、ダーバンを出撃した。


 またジェームズ・サマヴィル中将の東洋艦隊も、攻略部隊の東に展開し、日本軍への警戒に当たった。



●アイアンクラッド作戦参加艦艇


○F部隊:エドワード・サイフレット少将

 戦艦  :「ラミリーズ」

 空母  :「イラストリアス」「インドミダブル」

 重巡洋艦:「デヴォンシャー」

 軽巡洋艦:「ハーマイオニー」

 駆逐艦 :「アクティグ」「アンソニー」「ダンカン」「インコンスタント」

     :「ジャベリン」「ラフォレイ」「ライトニング」「ルックアウト」

     :「バケナム」

 コルベット:「オーリキュラ」「シクラメン」「フリージア」「フリティラリー」

      :「ジェニスタ」「ジャズミン」「ナイジェラ」「タイム」

 掃海艇 :「クローマー」「クロマティ」「プール」「ロムニー」



○Y船団 :「バチャケロ」「エンパイア・キングスリー」「マホウト」

     :「マルタンⅡ」「メアーンバンク」「タラッタ」「イーズデール」

     :「ダーウィントデール」


○Z船団 :「ウィンチェスターキャッスル」「ダッチェス・オブ・アソール」

     :「フランコニア」「カランジャ」「ケレン」「オロンセイ」

     :「ロイヤル・アルスターマン」「ソビエツキ」


 その他:病院船「アトランティス」

    :タンカー「ブリディッシュ・ロイヤルティ」



○A部隊(東洋艦隊):ジェームズ・サマヴィル中将

 戦艦  :「マレーヤ」「レゾリューション」

 空母  :「フォーミダブル」

 軽巡洋艦:「ニューカッスル」「カレドン」「エンタープライズ」

 駆逐艦 :「デコイ」「フォーチュン」「フォックスハウンド」「グリフィン」

     :「ホットスパー」「ネスター」「ノーマン」「パラディン」「パンサー」



 これらイギリス艦隊は、マダガスカル島に北側、ディエゴ・スアレスへ向かって進撃した。

 現地のヴィシー・フランスと交戦となった場合でも、その海上戦力はまったく相手にならないほど弱体である。

 いざ、彼らが抵抗した場合、面倒の大半は陸戦であろうと考えられていた。


 ……だが、この時、イギリス東洋艦隊を撃滅し、インド洋の制海権を確保するべく、日本軍特破隊の遠征艦隊が、マダガスカル島へ急行しつつあった。

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― 新着の感想 ―
本当にそんなことやったんですね(苦笑) そんな辻褄合わせみたいないかさまの結果が、あの大惨敗で大勢の兵士が失われることに繋がったともいえるかも。 なんと、インド洋の端まで特破隊が進出とは!? でも艦…
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