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復活の艦隊 太平洋戦記  作者: 柊遊馬


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第55話、インド洋機動作戦部隊、出撃


 山本 五十六連合艦隊司令長官が、南方部隊の指揮官である近藤 信竹第二艦隊司令長官に、セイロン島方面への機動作戦を命じたのは3月9日のことであった。


 連合艦隊電令作第86号。それを受けた近藤中将は、3月14日、インド洋機動作戦要領を発令した。


 指揮下にある南雲 忠一中将の第一航空艦隊はセイロン島を攻撃し、小沢 治三郎中将の馬来部隊は、ベンガル湾に進出し機動作戦を実施する。

 セレベス島スターリング湾には、真珠湾攻撃以来の日本海軍の精鋭、第一航空艦隊が停泊していた。


 その旗艦であるのは、排水量3万6500トンの大型航空母艦『赤城』だ。

 当初は八八艦隊計画で建造された天城型巡洋戦艦の2番艦であったが、ワシントン海軍軍縮条約によって建造は中止となり、その後、空母への改装が認められたフネである。


 全長260メートル、最大幅31.32メートル。

 高速力がウリの巡洋戦艦からの改装だけあって、その最高速度は31.2ノットを発揮する。

 軍縮期の改装ゆえ、充分な資金が投じられたとはいえず、高角砲が現在の主流である12.7センチ砲ではなく、旧型の12センチ高角砲であったりはするが、日本海軍の空母としては一流の性能を持っている。


 そして、世界の空母から見ても珍しい左側に島型艦橋を持つ『赤城』――同じ特徴を持つ空母は『赤城』以外には『飛龍』しかない――、その艦橋に、第一航空艦隊の指揮官が足を踏み入れた。


「ようやく出撃か」


 一航艦の司令長官である南雲 忠一中将は、厳めしい顔つきそのままといった調子で言った。


「予定より5日遅れている」

「はっ」


 参謀長の草鹿 龍之介少将は頷いた。

 本当ならば3月21日には出撃し、4月1日にセイロン島を攻撃する予定であった。

 原因をあげれば、第五航空戦隊の合流が遅れたことにある。


 中部太平洋でのハルゼー機動部隊によるヒットエンドラン戦法によって、海軍はその迎撃ないし追跡などを五航戦に担わせていた。そのため、南雲機動部隊本隊とはしばらく別行動をとっていたのである。

 南雲の手元には、空母が3隻しかなかったから、五航戦の空母2隻の合流は、セイロン島の基地施設への攻撃、東洋艦隊の撃滅のためには必要であった。


「想定される敵は戦艦、空母2隻ほか巡洋艦が複数。これに加え、セイロン島におよそ300機程度の航空機があると思われます」

「さすがに、『加賀』抜きでやるには厳しいか」


 南雲は闘犬さながら険しい顔つきを僅かに緩めた。

 南方作戦に参加した際の南雲機動部隊は、『赤城』『加賀』『蒼龍』『飛龍』の4隻の空母があった。

 しかし2月9日に、『加賀』がパラオで座礁し艦底を損傷した。結果、いまは佐世保にて修理中である。


「ともあれ、これで空母は5隻。専門の防空艦も加わった。まあ、何とかなるだろう」

「その防空艦ですが、使えますでしょうか?」


 草鹿が疑問を口にした。第一航空艦隊には、魔技研から対空能力の高い防空艦が加わっていた。主砲が高角砲になっていて、これまでの護衛艦艇に比べると、空からの守りはより強化されたように見えるが……。なにぶん出所が問題だった。


「特破で問題なく使えたといいますが、実際に対空戦闘は経験していないと聞いています」

「それを言ったら、我が艦隊も似たようなものだ。使えればよし、使えなければ山本長官に申し上げるまでだ。今どうこう言ったところでどうにもならん」


 南雲はどこか、なるようになれ、という雰囲気だった。水雷戦隊を率いている頃は、猛将と評判だった南雲も、空母機動部隊は勝手が違うのか、だいぶ大人しい。


 インド洋に向かう第一航空艦隊の編成は以下の通り。



●第一航空艦隊 (南方方面機動部隊)司令官、南雲 忠一中将


 空襲部隊:南雲 忠一中将

 ・第一航空戦隊:空母「赤城」

 ・第二航空戦隊:空母「蒼龍」「飛龍」

 ・第五航空戦隊:空母「瑞鶴」「翔鶴」

 支援部隊:三川 軍一中将

 ・第三戦隊:戦艦「比叡」「霧島」「金剛」「榛名」

 ・第八戦隊:重巡「利根」「筑摩」

 機動部隊警戒隊:大森 仙太郎少将

  第一水雷戦隊:軽巡「阿武隈」

  ・第四駆逐隊 (第二小隊):「萩風」「舞風」

  ・第十七駆逐隊:「谷風」「浦風」「浜風」「磯風」

  ・第十八駆逐隊:「不知火」「霞」「陽炎」「霰

  付属:駆逐艦「秋雲」「風月」「青月」「浜月」

     防空巡洋艦「六角」「中津」

 補給部隊

 ・第一補給隊:「神國丸」「健洋丸」「日本丸」「東榮丸」「國洋丸」「旭東丸」

 ・第二補給隊:「日朗丸」「第二共榮丸」「豊光丸」



 これらの他、第二艦隊司令長官の近藤 信竹中将率いる南方部隊本隊、小沢 治三郎第一南遣艦隊司令長官の馬来部隊も、インド洋へ進出する。



●南方部隊本隊:司令長官、近藤 信竹中将

 ・第四戦隊:重巡「愛宕」

 ・第四駆逐隊 (第一小隊):「嵐」「野分」


●馬来部隊:司令官:小沢 治三郎中将

 北方隊:栗田健男中将

 ・第七戦隊 (第一小隊):重巡「熊野」「鈴谷」

 ・第二十駆逐隊:「白雲」

 中央隊:小沢 治三郎中将

 ・第四戦隊:重巡「鳥海」

 ・第五潜水戦隊:軽巡「由良」(第五潜水戦隊司令官:醍醐 忠重少将)

 ・第四航空戦隊:空母「龍驤」(第四航空戦隊司令官:角田 覚治少将)

 ・第二十駆逐隊:「夕霧」「朝霧」

 南方隊:崎山 釈夫大佐(重巡『三隈』艦長)

 ・第七戦隊 (第二小隊):重巡「三隈」「最上」

 ・第二十駆逐隊「天霧」


 補給部隊:作間 英邇中佐(綾波駆逐艦長)

 ・駆逐艦:「綾波」「汐風」

 ・給油艦:「日栄丸」


 警戒隊:橋本 信太郎少将

 ・第三水雷戦隊:軽巡「川内」

 ・第十九駆逐隊 (第一小隊):「浦波」「磯波」

 ・第十一駆逐隊「初雪」「白雪」「吹雪」「叢雲」


●丙潜水部隊:司令官、市岡 寿少将

 ・潜水艦:「伊7」「伊2」「伊3」、「伊4」「伊6」



 果たして、彼らの行く末は――

 東洋艦隊の撃滅は果たされるのか……?

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