表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復活の艦隊 太平洋戦記  作者: 柊遊馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/51

第45話、オーストラリア帰還船団


 遡ること、3月7日。エジプトからアデレート行きの兵員輸送船が、目的地まであと3日というところで、第33潜水戦隊の伊720潜水艦の雷撃2本を受けて、沈没した。

 この船には第二オーストラリア軍第25旅団が、オーストラリア本土への帰還のために乗り込んでいた。


 第25、第31、第33大隊の兵たちは本土防衛、いずれは日本軍の侵攻に対抗する戦力であったが、それらは海の藻屑と化したのだった。


 その翌日、今度はオーストラリア西海岸、フリーマントルを目指していた船団が、日本軍に襲撃された。


 コーチン発、フリーマントル、3月10日頃到着予定のC3船団。仮装巡洋艦『コルフ』に護衛された6隻の輸送船――『ナイジャストーム』『グレニファー』『シロング』『ソフォクレス』『ケープ・ラース』『バトリー』。


 フリーマントルの手前で、第四打撃戦隊の重巡洋艦『筑波』、軽巡洋艦『渡良瀬』、駆逐艦『細雪』『粉雪』が針路上に現れ、その攻撃力を発揮した。


 筑波はザラ級重巡洋艦の改装艦だが、その大砲は、ポケット戦艦『アドミラル・シュペー』の28センチ砲のコピー砲。28センチ砲弾の前では輸送船も立ち所に炎上した。

 逃げようとする船団だが、30ノット以上の通商打撃戦隊から逃げることは叶わない。


 そしてもう一つ、コロンボ発、フリーマントルに3月13日頃到着予定としていたC4x船団――『エルリック バンク』『インタストリア』『トレヴィリー』『シルベーメープル』『エンパイア グレン』『タリファ』『クライドバンク』『STエシルト』『太陰』があった。


 まだ距離があったC4x船団だったが、水上機母艦『音戸』の索敵と、第55潜水戦隊の呂号潜水艦によって、位置情報が掴まれていたこれらは、九八式水上偵察戦闘攻撃機や潜水艦の雷撃にて追い込まれ、高速で突っ込んできた第四打撃戦隊によってトドメを刺された。


 船団の悲鳴じみた通信は、オーストラリアはもちろん、そこを目指していた後続船団にも届いた。

 C4x船団から分離し、フリーマントルではなくアデレートを目指していたC4船団は、迂回するように距離をとることで回避を選択。


 3月1日コロンボ発、フリーマントルおよびアデレート行きであったSU1船団は、一度は退避が決まった。3月15日頃フリーマントル到着予定で、すでに航海の半分以上を消化していたところだった。

 まだコロンボを出港して2日ほどしか経っていないフリーマントル行きSU2船団、さらに先に出港してたSU3船団もまた、その煽りを受けることになる。


 だが、ここで政治的な横やりが入る。

 オーストラリア政府である。本土帰還を前にして船団二つが全滅したことは痛手であるが、早くオーストラリア軍を帰還させて防衛力を強化しなければならない。


 さらに聞けば、日本軍は少数の巡洋艦、駆逐艦と潜水艦だという。それならば、今向かっている船団は、そのまま前進させても問題ないのではないか、と。

 彼らは知っていた。イギリス東洋艦隊が、SU1船団に戦艦――『ロイヤル・ソブリン』と重巡洋艦――『コーンウォール』をつけていたことを。これらがあれば、C3、C4船団を攻撃した日本巡洋艦が現れたとしても撃退できるはずだ。


 戦艦が護衛についている船団を、巡洋艦にビビって逃げるなんて真似は大英帝国の権威に関わる。

 確かにその通りだと、英政府は東洋艦隊に船団の前進と『ロイヤル・ソブリン』の護衛を強く命じた。イギリスとしても、これ以上オーストラリア政府と戦力云々で余計な摩擦を増やしたくなかったのである。


 だが、寝耳に水だったのは、その『ロイヤル・ソブリン』の乗組員だった。それというのもSU1船団の護衛を離れ、セイロン島トリンコマリーに間もなく入港というところで、その命令が出たからである。


 戦艦にはそのままフリーマントルまで行くよう新たな命令を受けた。帰りはまだ船団護衛についている重巡『コーンウォール』と一緒に戻ってくればいい、ということで。

 しかし結果的に、この決定は裏目に出る。補給万端の特破隊、第二戦闘群がインド洋に乗り出していたからである。



  ・  ・  ・



 インド、セイロン島とオーストラリア間の通商路は、特破隊の潜水艦戦隊が展開し、目を光らせていた。

 その情報は、インド洋を西進する第二戦闘群にも伝わっていた。

 旗艦『肥後』。第二戦闘群司令官、佐々山 久雄少将は海図台からインド洋を眺め、そして言った。


「一度は引くかに見えた敵船団が前進を再開した」


 セイロン島に逃げられてしまうのではないかと、ヒヤヒヤしていたところだった。弾薬を補給したら敵が港に戻っていた、というのが一番空しい結果だった。

 阿畑 洋吉参謀長は言う。


「司令のことですから、セイロン島まで殴り込みに行くかも、なんて思いましたが」

「さすがに東洋艦隊がいる中、第二戦闘群だけで行くのは無謀だろう」


 開戦劈頭、イギリス東洋艦隊の中軸戦力であったZ部隊――『プリンス・オブ・ウェールズ』と『レパルス』を日本海軍は撃沈したが、イギリス人も戦力の増強に務めていた。

 旧式とはいえR級戦艦を4隻、さらに装甲空母『インドミタブル』と軽空母『ハーミズ』が存在する。

 半端な戦力で向かえば、返り討ちに可能性もあった。


「とりあえずだ、せっかく動いてくれた船団だ。これらを取り逃がすことなく、全滅させてやりたい」

「そうなりますと……。最後尾の船団からやっつけるべきでしょうな」


 第二戦闘群は、北側から迫り、敵船団それぞれを攻撃できる位置に移動ができた。阿畑は、オーストラリア、セイロン島間の敵船団――特にSU2船団を指し示した。


「こいつを叩けば、残りの船団はセイロン島へ逃げ込むことはできなくなります」


 戻れば、そこには佐々山の第二戦闘群がいて、自分から死地に飛び込むことになる。であれば、少しでも逃げるべくオーストラリア方面へ行くしかないが、そこに行くまでの日にちは、セイロン島に戻るよりもさらに時間がかかるほど遠い。


 一方で、船団より高速の第二戦闘群はこれらを追尾し、叩いていく。もし船団がバラけて逃げようとしても、潜水艦と航空部隊が各個に撃破していくだけである。


「よし、それで行こう」


 佐々山は、艦隊の針路を変更。直進して前の船団を攻撃するのを止め、後続船団へとその舳先を向けるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
特破隊なら転移で遮断し続ければ、オーストラリア単独講和に持ち込めるかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ