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復活の艦隊 太平洋戦記  作者: 柊遊馬


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第119話、ダッチハーバー、空襲


 アラスカ半島より先、フォックス諸島のウラナスカ島に隣接するほど近いアマカナク島にあるのが、ダッチハーバー海軍基地である。


 ダッチハーバーの名称の由来は、この入り江に最初に投錨したのがオランダ船だったからだとされる。


 なお海軍のダッチ・ハーバー基地に隣接する形で陸軍のフォート・ミアーズという駐屯地がある。


 6月3日、日本軍第二機動部隊からの第一次攻撃隊が基地に襲来した。


 基地にとっては、ほぼ奇襲だった。防衛部隊であるアーカンソー州州兵、第206沿岸砲兵部隊――対空戦闘グループは、突然の銃声と爆撃で目を覚ました。


 無線局と石油貯蔵タンクが攻撃されたが、日本軍は日本軍で、攻撃隊の半分である急降下爆撃隊がおらず、その効果も限定的だった。


 司令部からの明確な指示もなく、第206部隊の砲手たちは、それぞれの砲に走り、対空戦闘を開始した。


 3インチ砲、37ミリ、12.7ミリ機関銃が火を噴いた。視界のこともあってか、日本機は低空を飛び、機銃掃射も仕掛けてきた。


 兵舎から飛び出し、手にしたライフルで対空射撃をする者、あまりに近かったのでレンチをぶん投げたという兵もいたという。


 フォート・ミアーズもまた攻撃を受けて、兵舎に直撃した爆弾が兵たちを吹き飛ばした。


 港内には、旧式の駆逐艦『キング』と『タルボット』がいて、駆逐艦改装の水上機母艦『ギリス』、潜水艦『S-27』、沿岸警備隊のカッター『オノンダガ』、陸軍の兵員輸送船『プレジデント・フィルモア』、『モーレン』があった。これらにも攻撃が加えられたが、あまり目立った被害はなかった。



  ・  ・  ・



 攻撃を終えて帰投中の龍驤攻撃隊は、その道中でマクシン湾にいる米駆逐艦5隻を発見。これを通報した。


 第二機動部隊の角田 覚治少将は、待機させていた第二次攻撃隊を発進させた。零戦15機、九九式艦爆15、九七式艦攻17機と、重巡洋艦『高雄』『摩耶』の九五式水上偵察機4機である。


 しかし、目標に辿り着けたのは、九五式水偵のみで、あとは天候不良で引き返している。なお、そお九五式水偵4機は、P-40戦闘機に迎撃され、2機が撃墜され、2機が被弾、退却している。


「これは、いかんな」


 第二機動部隊を指揮する角田少将は顔をしかめた。


「攻撃は不充分とみるべきだろう」

「はっ、この天候ですから。おそらくは……」


 参謀長の言葉に、角田は頷いた。


「では、もう1日留まり、第三次攻撃を仕掛ける」


 本来は、ダッチハーバーを叩いた後は、アダック島に向かい、そこにあるとされる米軍基地を叩く予定ではあったが、現状、中途半端であると感じた角田は、ダッチハーバーへもう一撃を加えることを決めた。


 翌4日。第三次攻撃隊が発艦。零戦11、九九式艦爆11、九七式艦攻9が、ダッチハーバーに空襲をかけた。


 前日に確認された施設に、停泊している輸送船を爆撃したが、対空砲火もまた激しかった。これら砲台に零戦3機は機銃掃射を集中させた。


 爆撃機は『プレジデント・フィルモア』、『ギリス』を攻撃したものの当たらず、代わりに兵舎船として使用されていた『ノースウェスタン』に直撃を与え、撃沈した。


 その後、攻撃隊は離脱したが、その帰りに米陸軍のP-40戦闘機6機が襲撃してきた。2機を返り討ちにしたものの、零戦1、九九式艦爆2機がやられている。


 なお、この日、日本側――第二機動部隊にも米重爆撃機が襲来し、『龍驤』と『高雄』が狙われた。だが、例によって高度をとった上での水平爆撃に、被害はなかった。


 攻撃隊収容後、第二機動部隊は、次の目標だったアダック島へ向けて転進した。

 この時、地上掃射によって被弾した零戦の1機が、艦隊まで帰投できそうになかったため、被弾損傷機の緊急着陸場所とされていたアクタン島へと向かった。


 ダッチハーバーから東に25マイル――およそ40キロの位置にある島であり、日本軍はパイロット回収用に潜水艦を1隻送っていた。


 この零戦は、緊急着陸を行おうとした時、地面がぬかるんでいることに気づかず、着陸と同時に機体がひっくり返ってしまう。その衝撃で搭乗員は死亡。機体は被弾以外に損傷もなく、ほぼ綺麗な形で島に残ってしまう。


 着陸しひっくり返った零戦を見ていた僚機は、空からでは搭乗員が生きているのか死んでいるのかわからなかった。それゆえ、敵に鹵獲されないように破壊しなければならない状況にかかわらず、撃つことができなかった。


 また場所も、着陸予定の場所より少し離れていて、海からも見えない場所だったこともあって、僚機はそのまま母艦へと戻っていった。……これが発見されるのは、ひと月ほど後になる。



  ・   ・   ・



 6月6日、キスカ島にAOB攻略部隊が侵攻。海軍陸戦隊が上陸した。


 しかし、この島に駐留していたのは、12人のアメリカ海軍気象観測所の兵だけであった。


 当然ながら、あっという間に制圧され、島は制圧された。なお、1名、ウィリアム・C・ハウス上級兵曹が逃走、行方をくらましたが、彼は50日後、投降した。


 6月7日、AQ攻略部隊が、アッツ島に上陸した。軽巡洋艦『阿武隈』と第二十一駆逐隊に護衛され、陸軍北海支隊が乗り込んだが、ここも無抵抗で島を制圧した。


 キスカ、アッツ島の攻略、占領は予定通りであった。後はアダック島のアメリカ軍拠点の攻撃だったが、めぼしい目標はなく、最初から占領の予定もなかったので、そのまま撤収した。


 結局、米軍はダッチハーバーへの上陸を警戒していたものの、日本軍は攻撃だけで済ませたため、配置されていた第8任務部隊は、一連の戦闘に関わることはなかった。


 ともあれ、MI作戦とほぼ並行して進められたAL作戦も、日本軍は所定の目的を果たし、北方における前哨拠点の前進を成功させた。

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― 新着の感想 ―
こちらは概ね変化なしですかね。アッツ島は抵抗無しという事は犠牲者も出ずに済んだのかな。
作戦としては概ね成功。 ただ、不時着した零戦をほぼ無傷のまま放置したことで、軍事機密をアメリカに渡すことになってしまったのが残念です。 まあこの世界では、魔法技術や特破隊の先進技術があるので、なんとか…
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