第118話、AL作戦
時間は少し戻り、1942年6月3日、ミッドウェーを巡る日米の衝突が起きる直前、北方、アラスカ準州アリューシャン列島、ならびにウラナスカのアマクナック島に日本軍が迫っていた。
AL作戦。
アリューシャン西部のアッツ、キスカの攻略、米拠点であるダッチハーバー、そしてアダック島の攻撃を目的に実施される作戦である。
北方海域からの米機動部隊の侵入を警戒し、その警戒線を前進させる。主な目的はそれだが、MI作戦にて米艦隊が出てこなかった場合、仮にもアメリカの本土でもあるアラスカを攻撃することで、無理やりにでも出てこさせようと仕掛けたものでもあった。
攻撃戦力の中心は、北方部隊がそれを担う。
●北方部隊:第五艦隊 指揮官:細萱 戊子郎中将
・主隊:指揮官、細萱 戊子郎中将
旗艦、重巡洋艦「那智」
第六駆逐隊:「雷」「電」
・第二機動部隊:指揮官、角田 覚治少将
第四航空戦隊:空母「龍驤」(零戦16、九七式艦攻21)
「隼鷹」(零戦15、九九式艦爆20、九七式艦攻18)
第四戦隊第二小隊:重巡「高雄」「摩耶」
第七駆逐隊 :駆逐艦「潮」「曙」「漣」
・AQ攻略部隊:指揮官、大森 仙太郎少将(第一水雷戦隊司令官)
第一水雷戦隊:軽巡洋艦「阿武隈」
第二十一駆逐隊:「若葉」「初春」「初霜」「子日」
特設敷設艦「まがね丸」
特設運搬船「衣笠丸」
(陸軍北海支隊)
・AOB攻略部隊:指揮官、大野 竹二大佐(「木曾」艦長
第二十一戦隊:軽巡洋艦「木曾」「多摩」
第六駆逐隊 :駆逐艦「暁」「響」
第十三駆潜隊:「第二十五駆潜艇」「第二十六駆潜艇」「第二十七駆潜艇」
駆逐艦「帆風」
特設巡洋艦「浅香丸」
特設運送船「白山丸」「球磨川丸」「快鳳丸」「俊鶻丸」「白鳳丸」
(舞鶴鎮守府 第三特別陸戦隊)
・潜水部隊:指揮官、山崎重暉少将(第一潜水戦隊司令官)
第一潜水戦隊:「伊9」
第二潜水隊:「伊15」「伊17」「伊19」
第四潜水隊:「伊25」「伊26」
・水上機部隊:特設水上機母艦「君川丸)(水偵8)
駆逐艦「汐風」
・附属部隊:「栗田丸」「帝洋丸」「富士山丸」「日産丸」
一方、米軍もまた、MI作戦と同様、通信の傍受、暗号解読にて日本軍のAL作戦についても掴んでいた。
迎撃の主力は、ミッドウェーだったが、アリューシャン方面もアメリカ領土。まったく防衛しないわけにもいかないため、水上打撃部隊を派遣していた。
●第8任務部隊:指揮官:ロバート・A・シオボルド少将
軽巡洋艦:「ホノルル」「セントルイス」「ナッシュビル」
駆逐艦 :「ギルマー」「ハンフリーズ」「グリッドレイ」「マッコール」
:「ケース」「レード」「サンズ」「ケーン」「デント」
:「タルボット」「キング」「ウォーターズ」
他、給油艦3隻、潜水艦6隻
圧倒的な重巡洋艦不足であった。通商保護、護送船団の護衛に出した重巡が、日本軍――特破隊の攻撃で船団ごと沈められているせいで、米海軍は重巡洋艦の不足が深刻化しつつあった。
代わりに、砲撃能力では重巡にさほど劣らないブルックリン級軽巡洋艦を揃えたものの、不足感は拭えない。
しかし、やらねばならない。シオボルド少将は、ダッチハーバーの防衛を重視し、第8任務部隊主力をコディアク島南方400海里に待機させ、駆逐艦9隻をウラナスカ島マクシン湾に配備し、日本軍の上陸に備えさせた。
そして、6月3日。MI作戦に先んじて、日本軍第二機動部隊は、ウラナスカ島のダッチハーバーに対して、攻撃隊を発艦させた。
目標から南西180海里。空母『龍驤』から艦上戦闘機8、艦攻14。新鋭の客船改装空母『隼鷹』は艦戦13、艦爆15が飛び立った。
しかし夜が明けきる前だったこと、さらに悪天候も重なり、空中集合ができず、各個にダッチハーバーを目指した。
この時の四航戦の搭乗員たちは、MI作戦前の転属などで、ベテランがそれなりに配備され――相対的に南雲機動部隊の方の搭乗員のレベルが低下している――、攻撃隊の質としてはそれほど悪いものではない。
が、北方の海。敵は濃霧と天候不良の環境でもあった。
かくて、第一次攻撃隊でダッチハーバーに辿り着けたのは、『龍驤』攻撃隊の零戦3機と九七式艦攻14機、『隼鷹』の零戦2機のみだった。




