第25話 ダンジョンL-26層・始まり③
イケる!これなら、L-26層の攻略も間違いない!
更にダンジョンの奥地へと歩みを進める中、ゴブリン3体を無傷で蹴散らしたことで、俺の自身は確信に変わっていた。
「さっきは怪我が無くて良かったね。私達も結構強くなったってことかな。」
マイも自信を深めている。
「オレ、腹いっぱいなら、何でもいい。」
ノボは、食わせておけば問題無い。
「ガイコツゴブリンって、背骨を折って崩れる時は、全部の関節外れるんだねー!」
……まあ、ヨースの知識さえあれば、攻略本が無くても、敵の弱点が分かる。そういう意味ではとても頼りになる奴だ。
「水を差して悪いけれど、引き返すなら今よ。」
コニーが現実に引き戻す言葉を発すると、
「……ライトニング・レベル3……・」
おもむろに魔法を発動した。
薄暗かった周辺に明かりがさす。
「……何、これ……」
異様な雰囲気にマイが言葉を漏らす。
――大量のスライムだ。
スライムたちは、ダンジョンの床にも壁にも天井にも、みっちりと張り付いていた。
「うげえ、気持ち悪いな。」
俺もおぞましい景色に、思わず息を飲む。
「一匹一匹コアを潰して倒すしかないかな。」
マイが俺とノボを見て言う。明らかに私はやりたくないという意思表示だ。
俺だってやりたくない。
「スライム、美味しくない。オレ、やりたくない。」
ノボ、素直でよろしい。
「俺も剣を汚したくねえ。こいつら、どうせフロアマスターじゃなさそうだし、攻撃もしてこなそうだから、マイ、ストームで吹き飛ばして道作ってくれ。」
「……分かった。」
そういうとマイは魔法の詠唱を始めた。
「……ストーム・レベル5……」
スライム達は一気に舞い上がり、壁に向かって打ち付けられる――
その時、俺達は信じられない光景を目にした。
「スライム達が、合体しているよー!」
ヨースが状況を説明する。
ストームの強風に打ち付けられながら、スライム達は徐々に合体を進め、その体を大きくしていく。
そして、膨れ上がったスライムは分裂した。その刹那、
――ピカッ
一陣の風と共に、眩い光が俺達を襲った。
「何?!」
マイが驚きの声を上げる。俺達は光が消えた前方を凝視した。
「影が3体……。」
合体したスライムが、それぞれ赤・青・緑、3つの形となって姿を現した。
「おい、何だあれ?! 俺達の姿を模しているぞ??」
赤は俺を、青はマイを、緑はノボを模したスライムが、武器まで再現していた。
「ヨース、分かるか?」
俺はヨースに問いかける。
「……分からないよー。合体するスライムはいるけれど、大きくなるだけで、人型になるなんて聞いたことないよー。」
ヨースはスライム3体に魅入りながら答えた。
ヨースがモンスターを知らないという答えをしたのは、これまでではほとんど初めてだ。
「チッ、分からないなら仕方ない。マイ、ノボ、さっきのゴブリン3体と同じで、それぞれにマッチアップだ!」
俺はマイとノボにそういうと、俺は、俺の姿を模した赤スライムに向かって駆け寄り、斬りかかった。
――ボヨッ
赤スライムが、やはり俺の剣を模した武器で、鈍い音をさせて受け止めた。
「こなくそっ!」
俺は、剣を大きく振りかぶった。
しまった、そこに隙が出来た。
物凄いスピードで、腹に向かってスライムが触手のようなものを伸ばして来た。
「くっ!」
俺は、間一髪、身をひるがえしてそれを躱す。いや、躱しきれない。
――ジュッ……
俺のわき腹に触手が触れた。脇腹の皮膚が溶ける。血がジワリと染み出した。
――ザン!
それでも俺は、振り下ろした剣で触手を斬り落とすと、一旦引いて剣を構え直す。
こいつ、出来る。そう思った横で、
「……ウォータースクリュー・レベル5……」
マイが対峙する青スライムに対して、魔法を発動した。
水・風合成魔法の大技、マイは一発で仕留める気だ。
マイが召喚した水がうねりを上げて、青スライムに襲い掛かる。
――ブシャーッ
激しい音共に、青スライムは爆発するように飛び散った。
「ナイス、マイ!」
マイも安堵して、他2体のスライム相手に加勢をしようとしたその時――
「気を付けてー!再生しているよー!!」
飛び散った青スライムの破片たちが、まるで生き物のように再び集まり出して、くっつき、無傷で元の状態に戻った。
俺とマイは愕然とする。
「スライムのコアごと破壊したはずなのに……。ヨース、こいつらの弱点は何なの?」
「分かんないよー!こんなモンスター聞いたことないよー!」
さすがのヨースも慌てている。
どうやって倒せばいいんだ……?




