第24話 ダンジョンL-26層・始まり②
Ⅼ-26層は、地下ダンジョンたらしいフロアになっていた。
狭くは無いが、見渡せる範囲に壁が存在する。
全体的に薄暗く、光る魔鉱石達が弱々しく、妖しく、おぼろげに周囲を照らしている。
そんな中を俺達は慎重に歩みを進めていた。
「……いよいよ、現れたようだな……」
俺は、遠くに3つの影を確認した。相手も俺達を認識し、お互いにジリジリと詰め寄る。
「ヨース、相手はどうだ?」
「ゴブリン3体だね。ガイコツゴブリン、パワーゴブリン、堕ゴブリン。ガイコツゴブリンは砕いても再生するから、弱点の背骨を狙って。パワーゴブリンは力勝負しかない。堕ゴブリンは、火系の魔法を使うから気を付けて。」
ヨースは、端的だが、的確に相手の情報を伝えた。
「ノボはパワーゴブリン、マイは堕ゴブリンを頼む。俺はガイコツゴブリンを相手する。」
「分かった。」
「了解。」
俺はフォーメーションを決めて指示を出すと、敵に向かって走り出した。相手も、俺達の狙いを分かったのか、それでもワンバイワンのタイマン勝負を受けて立つ様子だ。
「キンッ!」
俺は挨拶代わりの斬撃を繰り出したが、ガイコツゴブリンは難なく剣で受け止める。
骨だけの身体とは思えない力強さだ!
ガイコツゴブリンは受けた俺の剣を剣の腹で受け止め直し、俺を突き放す。
「コニー、両腕のパワーエンハンスを頼む。その後、剣幅を広げてくれ。」
コニーは頷きもせず、返事代わりの詠唱を始めた。
「……パワーエンハンス・レベル3……トランス・レベル5……」
俺の腕に力が漲り、剣は船を漕ぐオールのように幅を広げた。
「ウリャッ!」
二撃、三撃と、ガイコツゴブリンに斬撃を加える。
それでもガイコツゴブリンは、受け流す。なかなかのやり手だが、余裕はなさそうに見えた。
俺は圧していることを確信し、敢えて上からの打ち下ろしを繰り返した。
これもガイコツゴブリンは退けてくる。
「そこだ!」
俺はお留守になった足元に、滑らすような蹴りを入れた。
ガイコツゴブリンは、バランスを崩す。
そこに、幅広になった剣の腹で、ガイコツゴブリンの中心に向かって横からなぎ払いをお見舞いした。
――バキッ!
鈍い破壊音と共に、背骨を壊した。ガイコツゴブリンは息を絶やした。
「フーッ!」
俺は軽く息を吐くと、快勝を小さく喜びつつ、他の2人の様子を窺った――
ノボは、パワーゴブリンに向かってハンマーを打ち付けていた。
圧倒している!
動きが早く見えるのは、コニーからのスピード強化を受けているのだろう。
一方のパワーゴブリンは、ダガーを二刀流に持って器用にノボのハンマーを受けている。
が、受けるたびにその二本のダガーは火花を散らして、刃こぼれを増していた。
――パキーン!
いよいよ、パワーゴブリンのダガーが悲鳴を上げて割れた。
ノボはそこを見逃さない。
「ウォー!」
雄叫び一つ。ノボのハンマーは、脳天からパワーゴブリンを打ち付けた――
「……ウォーターウォール・レベル3……」
マイは、堕ゴブリンの放つファイアーアロー10本を、水の壁で纏めて受け止めた。
堕ゴブリンが立て続けに放つ火系の魔法を、マイは全て見切っているが、攻撃の決め手に欠いていた。
「……エアスプラッシュ・レベル5……」
マイは続けて、大量の水を周囲にまき散らした。
意図が分からず、堕ゴブリンは動揺を見せる。
堕ゴブリンは、水を嫌がり、火系の魔法で水を蒸発させた。
蒸発した水は霧を作る。
「……エアスクリーン・レベル3……」
マイは防御魔法であるはずのエアスクリーン(空気で作った防御膜)を敵の目の前に発動した。エアスクリーンは水が蒸発して出来た水蒸気を取り囲み、光を屈折させ、視界を歪ませる。
敵は、一瞬マイを見失い、焦りを見せた。
「……ウィンドカッター・レベル9……」
マイの最大魔法がうねりを上げて、堕ガイコツを切り裂いた――




