第19話 ダンジョンL-20層⑤
その後、俺達は、ダンジョンⅬ-20層の湖畔に戻っていた。
シャドウミラー戦で、ノボは体力を限界以上に消耗した。
マイの負傷した左腕も気になるところだった。
俺の判断で、二人の回復を見ながら、2~3日は休みに入ることにした。
今はもう昼前にも関わらず、マイもノボも、ぐっすり眠っている。2人とも、余程疲れが溜まっていたのだろう。
かく言う俺自身も、疲れが蓄積していた。
ダンジョンAからのブランク明け、戦闘の勘は既に取り戻していたが、慎重に行った方が良い。
一度、地上に戻るという考えもあったが、まだダンジョン攻略を始めてから1か月も経っていない。戻るにはまだ早いだろう。往復に数日ロストするのは惜しい。
Ⅼ-20層に留まった理由は、フロアマスターを倒して安全だからだ。
フロアのモンスターの中で、フロアマスターの手下は全て崩れ、その他の一般モンスターはその支配から逃れ、凶暴性を潜めていた。
湖畔に陣取った理由は、シンプルに食糧確保のためだ。
逆に言えば、食糧確保をしなければ腹が減って仕方が無い。
「ポニーさん、ちょっとお時間よろしいかしら?」
俺は、座って帳簿を付けているコニーに声を掛けた。
コニーは、俺の絡みに「フンッ」とでも言わん顔で、顔を動かさずに返事する。
「業務上の用件かしら?」
「そうそう。ギョーム、ギョーム。大ギョームでございます!」
コニーは露骨に胡散臭そうな顔をする。
「先だっての戦闘で、マイとノボが果敢にも敵に挑み、大けがを負っているところ。我々の食糧も底をつきかけて大ピンチ! そこで、わたくしめも満身創痍の身体に鞭を打ち、ヨースと一緒に食糧調達をと思う、健気なこの気持ち。状況は理解できますよね、ポニーさん?」
「ハケンへの食事の提供は雇用主側の義務よ。」
「分かってますって、ポニーさん。ポニーさんには劣りますが、わたくし共も、それぐらい理解できるオツムはありますから。」
「……」
「これから先のダンジョン攻略、ケガ人の2人も含めた皆の英気を養うには、動物性タンパク質が一番! そこで、一肌脱いで、この湖に飛び込んで、お魚さんをゲットしようじゃ、あーりませんか!」
「……私は、正当で必要不可欠な業務命令で無い限り、脱がないわ。」
「一肌脱いでってのは、表現ですよ、表現。ポニーさんは、わたくしとヨースをサポートしてくれればいいんです。お・さ・か・な、食べたいでしょう? ポニーさん。」
――『 グーッ……』
その時、タイミング良く二つのお腹の音が同時になった。
特大な音の方は、寝ているノボのものだ。
そしてもう一つのお腹の音は……!
ノボのお腹の音の陰に隠れたが、コニーがちょっと気恥ずかしそうにしている。
ここはチャーンス!
「ほら、ノボさんも、夢の中で、文字通りお腹の底から同意してますよ。ポニーさん、いかがざんしょ?」
「サポートなら、業務命令ね。分かったわ。」
コニーは湖畔に目を向ける。
「何をしているの? そうと決まったら、さっさと魚を捕獲しにいくわよ!」
こいつ、なんだかんだノリノリだな……――




