↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/40

第10話 ダンジョンL-17層⑥

 俺は、いつもの調子を崩した毒気の抜けた言葉でコニーに問いかけた。


 コニーはサングラスを外しながら、

「夕飯の用意が終わっていなかったからよ。」

 と、俺とは対照的に、いつもと変わらぬ返答をした。


 俺はその言葉でやっと自分のリズムを取り戻し、毒づいた。

「かー、ポニーさん、残業なんかしちゃって、やっぱり俺のこと気になってるんだなー。」

「食事を用意するのは私の仕事じゃないから、連れ戻しにきただけよ。さっさと戻って、夕食にしてちょうだい。」


 そう言うと、コニーは踵を返し、元々居たエリアに戻ろうとする。

「ちょっと待てって。まだ、マイが……。」

 俺はそう言うと、マイの方に目を向けた。


 ノボに抱きかかえられ、ヨースが心配そうに見つめる様子が目に映る。

「マイー、マイー、目を覚ましてーー!」

 ヨースが飛び跳ねながら呼びかける。


「早く行くわよ。」

 コニーはそんな様子を一切気にせず、冷徹に言い放つ。


「ちょっと待てよ、コニー。マイの意識が戻らないんだ。」

「幻術が抜けていないだけよ。いつ意識が戻るか分からないから、待っている意味がないわ。」

「……幻術が抜けてないってどういうことだよ! このままマイが目を覚まさないこともあるのか?」

「それもあるかもしれないわね。いずれにしても、その娘次第よ。」


 俺は愕然とした。マイがこのまま目を覚まさないかもしれない……。

「おい、コニー!そなこと言わんで、何とかできんの?! おまーの魔法なら、何とかできんべ……」

 焦ってなまり丸出しで、コニーにすがった。


「そんなにこの娘を助けたいの?」

「当たりまーさあ!」

「……なら、ダンジョン攻略は諦めて、さっさと地上に戻り治療をすることね。今日は定時過ぎているから、明日以降をお願いするわ。」

「……」

 言葉を失った俺は、肩を落とすしかなかった。確かに、マイが目を覚まさないのであれば、ダンジョン攻略からは降りるしかない……


 そう思った矢先、コニーが飛び跳ねた。

「マイの呼吸が荒くなってきたよー! マイの顔色がどんどん悪くなってるよー!」


 確かにマイの容体が悪くなってきている。一体どうすれば……?


「コニー、マイの容体が相当悪い。時間が無いんだ。何とかできないか?」

 コニーは、俺の必死な様子に、珍しく少し思案をしたような仕草を見せ、答えた。

「何ともならないわね。さっきも言った通り、目覚めるかはその娘次第。その娘は今、自分の中の幻想と闘っているわ。幻想に自分で打ち勝つのを祈るしかないわね。」


 ……考えろ、考えろ……。俺は、どうすればいい……?


「コニー、俺達はここに残る。そうするとお前は夕飯を食べられない。それは困るだろう?」

 何でもできるコニーのことだ。本当は困ることはないのだろうが、賭けに出た。

 コニーは少しうつむくと、切れ長の目を少し細めて言った。


「……ええ、それは困るわ。」

「じゃあ、ここからは残業じゃない、プライベートなお願いだ!」

「何かしら?」

「俺は、これからマイの意識の中に入りたいと強く願う。その強い願いを補助魔法で増幅して、俺の意識をマイの中に飛ばしてくれ!」


 果たして、そんな魔法があるのかは知らなかった。リクエスト自体も、支離滅裂だ。

 だが、不思議とコニーならやってくれるという確信をしていた。


「……分かったわ。別料金よ。その娘の深層意識にどれだけ深く潜れるかは、あなたの気持ち次第ね。」

 そう言うと、コニーは俺に近づき、俺の前で手を広げた。


「……」

 俺はマイの意識の中に入りたいと強く願う。


 コニーが魔法を詠唱すると、その手が光った!……ように見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。