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第八話 光の使命

本作をお読みいただき、ありがとうございます。

ついに闇の艦隊との戦いが始まります。

クリプトンは、故郷エルディアと未来の希望を守るため、自らの使命と向き合うことになります。

どうぞ最後までお楽しみください。

 格納庫の巨大なゲートがゆっくりと開き、眩い星々が視界いっぱいに広がった。

 その先には、漆黒の宇宙を埋め尽くす闇の艦隊。

 無数の黒い戦艦が整然と隊列を組み、静かにエルディアへ近づいていた。

 静寂の宇宙に漂うその姿は、不気味なほど威圧的だった。

「総員、出撃準備。」

 司令官の声が格納庫全体へ響く。

 クリプトンは深く息を吸い込み、自らの愛機ルミナスへ乗り込んだ。

 純白の機体は生命樹から生まれた特殊合金で造られ、その機体表面には黄金色の紋章が浮かび上がっている。

 操縦席へ座ると、淡い光が全身を包み込んだ。

『生命認証完了。』

『光の継承者クリプトンを確認。』

『生命樹エネルギー接続開始。』

 優しい女性の声が静かに響く。

 機体はまるで意思を持つ生き物のように鼓動を始めた。

 隣にはゼルグの愛機アストレアが並ぶ。

「緊張しているか?」

 通信越しにゼルグが笑う。

「少しだけ。」

 クリプトンも笑みを返した。

「でも、不思議と怖くはない。」

「守るべきものがあるからだな。」

「ああ。」

 二人は互いにうなずき合う。

 その瞬間、発進カウントが始まった。

『五。』

『四。』

『三。』

『二。』

『一。』

『発進。』

 白銀の機体が一斉に宇宙へ飛び出す。

 何百機もの光の戦闘機が流星群のように闇へ向かっていく。

 美しく、そして力強い光景だった。

 しかし次の瞬間、闇の艦隊が動く。

 黒い戦艦の砲門が赤く輝き、無数の光弾が放たれた。

 宇宙が閃光で染まる。

 爆発。

 衝撃波。

 悲鳴。

 静寂だった宇宙は、一瞬で戦場へ変わった。

「左舷より敵機!」

 クリプトンは機体を急旋回させる。

 三機の敵機が高速で迫る。

 黒い装甲。

 赤く燃える瞳のようなセンサー。

 まるで感情を持たない機械兵だった。

「来る!」

 ルミナスが黄金色の光をまとい、一気に加速する。

 敵の攻撃を紙一重でかわし、光の剣を抜き放つ。

 一閃。

 敵機が白い光となって宇宙へ消えていく。

 二機目。

 三機目。

 次々と撃破するが、敵は終わることなく押し寄せてきた。

「多すぎる……。」

 その時、悲鳴が通信へ響いた。

「救援を!」

 若い隊員の機体が敵艦に囲まれている。

 クリプトンは迷わず進路を変えた。

「待ってろ!」

 光の翼を広げ、一気に敵陣へ突入する。

 激しい砲火をかいくぐりながら、隊員の前へ飛び込んだ。

「下がれ!」

 黄金の盾が展開される。

 黒い光線を受け止め、眩い閃光が宇宙へ広がった。

「ありがとうございます!」

 隊員の震えた声が聞こえる。

「礼はいい。」

「仲間は見捨てない。」

 その言葉に、多くの隊員たちが再び前を向く。

 恐怖に揺れていた隊列が整い始めた。

 その様子を見たゼルグが静かに笑う。

「それがお前の強さだ。」

「敵を倒すことじゃない。」

「仲間に勇気を与えること。」

 クリプトンは宇宙の彼方を見つめる。

 故郷エルディア。

 生命樹の塔。

 家族。

 友。

 未来を信じる子どもたち。

 そのすべてを守るために、自分はここにいる。

 その瞬間、胸の紋章が黄金色に輝いた。

 生命樹から放たれた光が宇宙を渡り、ルミナスへ流れ込んでくる。

 同時に、人々の祈りが心へ届いた。

『負けないで。』

『帰ってきて。』

『光を信じています。』

 クリプトンは静かに目を閉じる。

 そして、ゆっくりと目を開いた。

「分かった。」

「光とは、武器じゃない。」

「誰かを信じる心だ。」

 ルミナス全体が黄金色の輝きに包まれる。

 背中から六枚の光の翼が大きく広がった。

 その神々しい姿に、味方だけでなく敵までもが一瞬動きを止める。

「ゼルグ!」

「ああ!」

 二人は並んで闇の旗艦へ向かって飛び立つ。

 その時だった。

 旗艦の中央部がゆっくりと開く。

 漆黒の空間から、巨大な人影が姿を現した。

 全身を黒い鎧で包み、深紅の瞳を持つ戦士。

 その身体から放たれる闇は、周囲の星の光さえ飲み込んでいく。

「クリプトン……。」

 低く響く声が宇宙全体を震わせた。

 その声を聞いた瞬間、クリプトンの胸に激しい痛みが走る。

「この声は……。」

 知ている。

 忘れていたはずなのに。

 魂だけが、その存在を覚えていた。

 黄金の光と漆黒の闇。

 二つの運命は、ついに真正面から向き合うことになる。

 宇宙の未来を決める戦いは、今、静かに幕を開けようとしていた。

第八話をお読みいただき、ありがとうございました。

クリプトンは「光は一人の力ではなく、人々の希望が生み出すもの」であることを実感します。

しかし、その前に姿を現した巨大な闇。

その正体とは何なのか。

次回、第九話「闇の艦隊」では、ついに闇の軍勢を率いる存在との対峙が始まります。

作品を気に入っていただけましたら、ブックマークや評価、ご感想をいただけると励みになります。

あなたの心にも、光の記憶がありますように。

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