第73話「本物」のペットボトルの出会いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
新章から更新日を「火曜日、木曜日、土曜日」に変更致します。
若干更新に遅れが生じる場合もございますがよろしくお願い致します。
「うわああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
僕はめっちゃ恐怖に満ちた叫び声を上げながらどこかへ逃げ出すように起き上がった。
一体自分はどこにいるのか?一瞬わからなかったんだけど、少し冷静になりあたりを見渡すと、そこは自分の部屋のベッドの上であることに気がついた。
まだカーテンも閉まっているので部屋は暗く静まり返っていた。
なにかとてつもなく恐ろしい夢を見ていて気がするんだけど、全く何の夢を見ていたのか思い出せない…
起き上がり部屋のカーテンを開けると、春のうららかな陽射しが街を包もうとしていた。
小机町は相も変わらず平和な朝を迎えようとしている。
平和だ…平和な街だ…
だけどこの街にはとんでもない「本物」が巣を作り、実はあんまり平和じゃない。
しかも「本物」の正体が僕の幼馴染みの彼女である沙織だというオチだ。
挙句に「本物」が沙織以外にも1人増えたしな…
これ以上の「本物」の増加は防がねばならない。
あの戦争が明け、狂った打ち上げを終え、また朝が来た…
全く寝たような感じがしない。
むしろ疲労が増している気さえする…
まだ2度目の入学式から数日しかたっていないんだよね。
高校に入ってからおかしなことが続きすぎていて、何ヶ月も沙織と高校に通っているような気がするよ…
でも現実には1週間も高校に通っていないんだよなあ…
何となく窓の外を眺めていると、遠くからクルクル回りながら何かがこっちに飛んで来るのが見えた。
あれ?なーんか、あれみたことあるんだけど何だったっけ???
羽が生えた小型ミサイルみたいなもの…
ああ…あれ思い出したよ…RPGだよ…リア充パーフェクト殺しだよ…
僕が太田道灌軍の陣がある山に撃ち込んだやつだ…
戦車とかもぶっ壊すって沙織が言ってたよな…
バカっ!!!バカっ!!!ヤバイよっ!!!逃げろ!!!逃げろ!!!
僕の「死亡フラグ回避センサー」が発動する!!!
枕元においてあったあらゆるものが無限に収納できる「無限のバック」を握り締めると、屋根の上に駆け上った!!!!
どこにいても僕に直撃することはないだろうから、やはり戦況を見渡せる屋根の上に登るのが無難だろう。
下に降りて行っても当たる時は当たるし、なによりこの家が崩壊してその下敷きになる可能性があるからな…
僕が瞬時に屋根に駆け上った途端、RPG(リア充 パーフェクト 殺し)は、うちの家の駐車場に停めてある車に直撃した。
車のガソリンに引火したのか、めっちゃ高い所まで火柱が立ち上がると同時に、「ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!」と凶悪な爆発音を響かせた…
車が真っ黒になったというか、火に包まれてるというか…
まさかあんな火柱を我が家で見るとは思わなかったよ…
でもさ、何でうちの両親も近所の人もこれだけのことが起きてるのに誰も出てこないんですかね…
この街全体が何か目には見えない黒い力で支配されている気がするよ!!!
うちの学校も含めて「本物」の凶悪な力で牛耳られている気がするよ!!!
「のわああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
下からどこかで聞いたことがある叫び声とともに銃声が響き渡った。
しかし銃声音にしては小さめ。
うちの家の窓が狙われているようで、次々と窓が割れる音がする。
あーあ、なんか1人増えてるんだけど…
僕を殺しにやってくる「本物」が1人増えている気がするんだけど!!!!
どうして警察はやってこないのかなあ!!!
僕だって消費税払ってるんだよ!!!
頼むからあの「本物」達はすぐにでも逮捕して!!!!
僕の心が真っ白になって一言も喋れなくなる前に、なんとかしてくれないかなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!
「ニャンパス!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwおーいwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww朝から何で屋根に登ってるんだ?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww早く学校に行こうwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
絶対にあってはならない狂った「本物」の光景を愕然と見下ろしていると、ずいぶん余裕そうな感じで僕の幼馴染みで彼女である沙織が燃え上がる車の前に現れ僕に向かって手を振った。
制服に着替え僕を迎えに来たような素振りをしてるんだけど、普通は燃え上がる車の前で病んだ笑みを浮かべながら楽しそうにしてることなんてないと思うんだよね!!!
間違いなくこの「本物」の事件を起こしたのは、沙織!!!お前だと思うんだよね!!!
まあでも、沙織が姿を現したってことは、今朝の襲撃は終わったのだ。
僕は沙織に無言で手を上げ答えると、学校に行く準備のため部屋に戻った。
午前7時。襲撃後すぐに徒歩20分程度の学校に向かって僕と沙織は登校していた。
全くこっちはふらついているのに、どうして沙織はこんなにも元気なんだ?
透明度の高い白い肌、遠い神秘的な世界を見ているような美しい瞳、スラリとした人間とは思えない女神のような出で立ち…
もう別格でめっちゃキレイなんだけど、沙織の目は病んだ「本物」の目つきだった。
「おい、佐藤さんはどこにいるんだ?さっき、僕の家の回りにいただろ?」
沙織が登場する前に、間違いなく佐藤さんが例の叫び声を上げながら僕の家を襲っていたのに、一向に現れる気配がなかったので沙織に聞いてみた。
すると沙織が病んだ不思議そうな顔をして首をひねった?
「若菜ちゃん?wwwwwwwwwwwwwwwww私は1人で差身の家に来たんだが?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「え?一緒に来たんじゃないのか…?」
「いや?wwwwwwwwwwwwwww本当に知らないぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwでも他に人影があったようななかったようなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身はモテるからなwwwwwwwwwwwwwwwwwwww若菜ちゃんが襲いに来た可能性もなくはないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「沙織、そんなことはないだろ…佐藤さんはそもそもどうやって僕の家の場所を突き止めたんだ?まさか佐藤さんが1人で僕を殺しに来るなんてことは…」
「差身は乙女心がわからないからなwwwwwwwwwwwwwwwwwww好きだから調べるwwwwwwwww好きだから探すwwwwwwwww好きだから追うwwwwwwwwwww好きだから殺すwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれは太古から続く恋愛の基本wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwよって若菜ちゃんが差身を殺しに来ることは当たり前のことだと思うのだがwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は気分良さ気に目をつぶり何かを悟ったような様子で「本物」の恋愛論を語りだした。
おい…沙織…全くなに言ってるんだかわからないよ…
でもあれだな「本物」の「本物」が加速してしまったら、それは止めることができないわけで、沙織と佐藤さんがバラバラに「本物」の事件を起こしても不思議はないわけだ。
2人「本物」が増えたら「本物」の事件が同時に2件起こり、3人に「本物」が増えたら「本物」の事件が同時に3件起きる可能性がある。
ねずみ算式に「本物」の連鎖が続くのだ。
まさに「本物」の同時多発テロ。
あー、嫌な予感で一杯だけど、どうにもならないからあんまり考えないようにしておこう…
だがしかし、この「本物」の同時多発テロが僕の身の回りですぐに起こるとは思ってもいなかった…
その日の昼休みのことだった。
眠くてほとんど授業で何をやっているかわかんなかったんだけど、あまりの疲労と眠気で授業が終わった途端、机に伏せた。
いやもうダメだ…昔から沙織のせいでまともに授業なんか聞けた試しがないんだよね…
別なクラスになっただけ今までよりマシなんだから頑張って勉強しないとな。
いい加減起きようと顔を横に向けると、クラスの隅の方の席に座っていた女の子がお茶のペットボトルを開けようとして苦戦していた。
ツインテールで目が大きいおとなしそうな女の子。あんまり話さない感じがする。
小さく華奢な感じだから、かわいいんだけど沙織とは正反対な感じだね。
どうやら1人でお弁当を食べようとしてるみたいだ。
腕の力もなさそうだからペットボトルを開けるのも一苦労なんだろうな。
僕は席を立つとそのツインテールの子の方へ歩いて行った。
その子の横に立っても、僕に気がついていないのか僕を気にしていないのか、ペットボトルを見ながら両手で何とかペットボトルを開けようとしていた。
僕はそっとそのペットボトルをその子から取り上げると、ペットボトルの蓋を開けてその子に渡した。
その子はペットボトルを受け取ると僕を静かに見上げた。
「はい、どうぞ。ペットボトルって開けにくい時ってあるよね」
僕がその子にそう言いながら笑いかけたんだけど、その子は表情を変えずに僕の顔を見ているだけであった。
あれ?何か怒ってるのかな???って思ったんだけど、特に怒っているというわけでもないみたいだ。
かと言って喜んでいるようにも見えないし…
なんて言うんだろう。その子は無反応なのだ。
自我を持たない、いや意識すら持たない人形が、僕に目線を向けているだけのような…
悪い子には思えない。でも、人間らしくない感じがした。
僕は全く話さないその子に、どう対応すればよいのか分からなくって正直困ってしまった。
「じゃあ、またなんかあったら声かけてね…」
僕はそう言うと元の席に戻った。
考えてみたらあのツインテールの子が、クラスメイトと話しているところは全く見たことがないな。
いつも1人でいるし、でもあんな感じだったらみんな絡みにくいよね。
僕は気になってその子を振り返ったんだけど、その子は全く表情を変えず僕のことを見続けていた。
その子のツインテールが窓から注ぐ光に反射し、開いた窓から入る風にキレイになびく。
僕はそれに底知れぬ恐怖を感じ、何ごともなかったようにその子から目をそらした。




