第68話「本物」の入学式終了wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「みんな!!!楽しかったよ!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww最高の戦争だった!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwまた絶対にやろう!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww我々は最強だ!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwリア充をまた殺そう!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwでもお別れだ!!!!いつでも会えるんだからすぐ解散しよう!!www…いつでも会えるんだからすぐ帰ろう…www…」
僕の沙織はいつの間にか目に涙を浮かべながら、病んだすすり泣きをし始めていた。
他の沙織達も僕の沙織につられて泣き出したり目に涙を浮かべていた。
みんなめっちゃ楽しそうだったし、別れも名残惜しいんだろうな。
僕の沙織もこんなにいっぱい友達ができた。
でも友達ができたからこそ、お別れする辛さも初めて知った。
失うものができたからこそ、悲しみを知り、人の気持ちがわかるようになる。
それは人間として当たり前に備わっている気持ちかもしれないんだけど、意外と考えている以上に重要なもののような気がする。
「何泣いてるんだwwwwwwwwwwwwwwwwwいつだって会えるんだから大丈夫だwwwwwwwwwwwwwww今日の戦争写真や動画のデータはなるべく早くみんなに送るからなwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の世界線上の未来から来た看護服の沙織が寄りそうにように近づくと、励ますように優しく僕の沙織の肩を抱いた。
「ごめんよ…wwwwww本当に楽しかったんだ…wwwwwwwこのままみんなとここにいたい…wwwwwww」
僕の沙織が病んだ寂しそうな目で看護服の沙織を見ると、看護服の沙織はゆっくりと微笑みながら頷いた。
それは僕の沙織のお母さんのように、全てを受け入れてくれそうな優しい笑顔だった。
「ああそうだなwwwwwwwwwwwwwでも過去の私よwwwwwwwwwwwwwwwwwwwここにいたら楽しい未来はやってこないぞwwwwwwwwwwwwwww過去はいつでも振り返れるんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwだけど未来は自分で頑張って歩き出さないと何も起こらないんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれから『本物』の事件があの腐れ高校でたくさん待っているwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww辛くなったらいつでも話は聞いてやるwwwwwwwwwwwwwwwwwさあ今日はこれで帰ろうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
看護服の沙織が優しく諭すようにそう言うと、僕の沙織は病んだ笑みを浮かべながら頷いた。
「わかりました…wwwwwママ…wwwwwwwwwwww」
僕の沙織が甘えたようにそう呟くと、看護服の沙織がめっちゃ慌てた様子で僕の沙織から手を放した。
「ちっ違うっ!!wwwwwwwwwwwwwわっわっわあああああああ私はっ!お前のママなんかじゃないからな!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
妙に動揺した様子でバタバタしながら看護服の沙織は答えた。
それを僕の沙織はじっと見ていた。
あれは僕の沙織が疑いを抱き、本当かどうか確かめている時の目。
みんな似たような顔をしてるんだけど、看護服の沙織は24歳だからか他の沙織達よりちょっと年上に見える。
まさかな…何となく僕もそんな気がしてたんだけど…
あのお淑やかな僕の沙織のお母さんが…
いや、そんなことはない…あってはならない…
でも、面影どころか、見れば見るほど僕の沙織のお母さんそっくりだな…
しばらく看護服の沙織をじっと見ていた僕の沙織だったんだけど、そのうち病んだ笑みを浮かべ始めた。
「わかりましたwwwwwwwwwwwwwwwエロナースの沙織は私のママではありませんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwママはお家で待っているwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の沙織が納得したようにそう言い落ち着き始めた。
そろそろ本当にこの「本物」の戦争も終わりだ。
もしかすると、僕の出番が来たのかもしれない。
この楽しくっていつまでたっても終わらない戦争を終わらせることができるのは僕しかいなそうだ。
僕は僕の沙織にいつものように歩み寄ると、やはりいつものように僕の沙織の手を握った。
出会った頃からずっと変わらない一緒に帰るための暗黙のルール。
僕が手を握ったら、それは帰る時が来たというサイン。
それは僕の沙織にとって当たり前のことであって、僕の沙織もそれを待っていたのかもしれない。
とてもとても深い心の奥で、無意識の世界が広がるところで。
僕の沙織は僕の手を握り返すと、僕の横にしっかりとくっついてきた。
「沙織、そろそろ帰ろう。また今度みんなで戦争しよう」
「わかったwwwwwwwwwwwwwwwwそろそろ差身と帰るのんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の沙織は僕にしがみついたまま満足そうに病んだ笑みを浮かべていた。
「じゃあそろそろ帰ります。今日はありがとうございました。僕も楽しかったです」
僕が他の沙織達にお別れの挨拶をすると、みんな口々に軽い感じでお別れの挨拶を返してくれた。
それはこの別れが永遠のものではないと否定するかのようなものであった。
またきっとみんなで会って楽しいことをするという意思表示にも思えた。
「私達も私達の差身の所に帰るよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww話すことがたくさんできたしなwwwwwwwwwwwwwwwwwwじゃあなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
宇宙服の沙織はそう言うと軽く手を上げてどこかへ歩いて行った。
他の沙織達も別々な方向へ向かって歩いて行く。
終わった…終わったんだ…
去りゆくみんなを見て終わりを実感した。
でもそれは破滅を迎えるようなものではなくて、新しい夜明けがやってくるような希望に満ちたものだ。
この「本物」の戦争は僕達にとっての「本物」の入学式だったのかもしれない。
僕と僕の沙織と佐藤さんは高校の入学式に参加することはできなかった。
だけどそんなものはどうでも良かったんだ。
こうしてみんなで集まり考え企画し戦争をやり遂げたことが凄く重要だった。
何のルールも何の保証もない戦国時代。
自分達の力だけで太田道灌を蹴散らし生き延びた。
僕の世界線の世界でも、うまくいかないことがあっても他人のせいにせずに、自分の力だけで生き延びなくてはいけない。
そしてみんなで力を合わせ苦難を乗り越えることを知り、その楽しさも知った。
義務教育ではない世界。「本物」の世界へ歩き始める第一歩。
僕達はその自己責任で生きるサバイバルな世界へ入るために「本物」の入学式を今終えたのだ。
「のわああああああああああああああああああっ!!!!沙織だけずるい!!!差身君!!!私も引っ張ってー!!!」
佐藤さんが怒ったうようにそう言うと、僕の沙織が佐藤さんを病んだ笑みを見ながら振り返った。
「しょうがないなあwwwwwwwwwwwwwwww若菜ちゃんは差身の空いてる手を握ってくれwwwwwwwwwwwwwwww」
「わかった!!!そうする!!!」
佐藤さんはそういうと僕の空いてる手を握り僕に飛びついてきた。
最初に会った頃と違い、佐藤さんはめっちゃ良い笑顔になっていた。
結果的に僕の沙織も佐藤さんも仲良くなって良かったな。
あのままだったら収集がつかなかったよ。
そして僕にも「本物」の友達が2人に増えた。
ま…まあ…嫌な予感がするけど、そのうち考えることにしよう。
僕は両手で「本物」の友達を引きながら、お堂の下にあるニャンパスの穴へと向かった。




