第37話「本物」の大広間にてwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「本物」の熱い視線を交わし合う沙織と小机さんであったが、沙織はふとわざと気を緩めたように病んだ笑みを浮かべた。
それは沙織が「楽に行こうぜwwwwww」と相手を気遣って、自らリラックスしたように見えた。
何でだろう?この世界に来てから沙織が変わってきている。
いつも自分のことばかりで誰とも接触しようとしない沙織が、こうして初めての相手でもしっかりとしゃべってるし、相手のために何かしようとさえしているのだ。
僕にはこの短時間で沙織がどんどん成長しているように見えた。
それは本当に偶然なんだけど、たまたま沙織が気乗りする事件が目の前で起きて、一緒に行動する仲間ができてバタバタしているうちに、沙織の心に変化が訪れたのだ。
なんでも良いから大勢で色々行動していくうちに、人間の心は成長するんだろうね。
多分あれなんだろうな。
12人の沙織が行ったニャンパス会議というのも沙織に良い影響を与えてるんだろうね。
何というか12人の自分と話し合って、自分を見つめなおすことができたんだと思う。
自分を理解してくれる自分、自分の間違いを指摘してくれる自分、自分と一緒に頑張ってくれる自分、自分の失敗を許してくれる自分…
たくさんの沙織がお互い心の欠けた部分を補い合うのと同時に、逆に自分も相手に何かを与えることができるようになったのではないだろうか?
何にしても良いことだ。沙織もこのままじゃ高校卒業したら引きこもりかねない。
それに沙織が大人になるということは、僕が死ぬ確率も減るわけだしな…
「とにかくだwwwwwwwwwwwwwww今すぐ城のみんなに飯をたくさん食わせてくれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwなあに心配することはないwwwwwwwwww食料はまだまだやってくるぞwwwwwwwwwwwwwww詳しい話はそれからだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が小机さんにそう言うと、小机さんは従者に指示し、その従者は走って伝令に向かった。
そして小机さんは心苦しそうに沙織に一礼すると、それを見ていた佐藤さんがまた「ぐぬぬぬぬ」と沙織を睨んでいたんだけど、佐藤さんは小机さんのことを心から尊敬してるみたいだな。
僕達が来るまでの間に、2人は何かあったのかもね。
「沙織様、何もかも申し訳ありません。本来、我々が沙織様を丁重にお出迎えしなくてはならないところを、こうして力を貸して下さる…」
そんな感じで小机さんが話している向こうに、見たことがある人影が見えた。
あれ?また僕の沙織じゃない沙織がいるぞ…
ゴスロリみたいな黒い服を着て髪を縦カールにしてるんだけど、バタバタと武士達に何か指示を飛ばしていた。
さらにさらに、その向こうで城の内部を計測しているヘルメットと作業着の沙織がいた。
あれ?こいつらいつの間に城の中に入ってきたんだ?
チラチラと視界に入ってくる沙織たち。
さっきの宇宙服みたいのを着ていた沙織とは服装が違うのもあるんだけど、どことなく雰囲気が違うからさっきの沙織とは別人なんだろうね。
何してるのか分からないけれど、予め準備されていた仕事を的確にこなしているように見えた。
いったい、何するつもりなんだこいつら…
「それから間もなく医療班がここにやってくるから怪我をしているものや体調が悪いものは名乗りでるようにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww健康でなければ充分に戦うこともできまいwwwwwwwwwwwwwwwwwとりあえずみんなで飯だwwwwwwwwwwwwww酒もあるから大いにやってくれwwwwwwwwwwwwwwwww」
「沙織様。ありがとうございます。大広間に沙織様をお迎えする宴を準備致しました。よろしければお越し下さい…若菜、沙織様を大広間までご案内しなさい」
小机さんが佐藤さんにそう言うと、佐藤さんはあからさまに嫌な顔をした。
「え!!!嫌だよ!!!勝手に歩かせればいいじゃん!!!!!」
「若菜よ。姉妹とは尊いものである。この世で心から信頼できる人間は少ない。若菜は沙織様の妹なのであれば仲良くしなさい。いずれ私が何を言っているのかお前にも分かるはずだ」
「わ…わかりました…小机様…」
小机さんに歯向かってなにか言い返すのかと思ったんだけど、佐藤さんはしおらしく小机さんの言うことを聞いた。
これは何か佐藤さんに頼み事をする時は、小机さん経由で話をしてもらった方が良さそうだな。
「沙織様、私も準備がありますので後ほどまた。失礼致します」
小机さんは沙織に一礼すると従者を従えて去っていった。
「おい、沙織。沙織と同じ奴が城の中を歩いてるんだけど、いつ入ってきたんだ?」
めっちゃ疑問だったので小机さんが去ると同時そう聞くと、沙織はどおってことないっていう様子で話し始めた。
「ああ?あれか?wwwwwwwwwwwwwwwさっき一緒に城の中に入ってきたんだwwwwwwwwwwwww部隊の後方を守らせていたんだが気がつかなかったか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwあいつらにも飯食わせないといけないなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「そうか。慌ててたから気がつかなかったよ。太田道灌とはいつ戦うんだ?」
「明日だwwwwwwwwwwwwwww朝日が登ると同時に戦うwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「え!!!もう戦うの?!」
「そうだぞwwwwwwwwwwwwwwwだからみんな急いでるんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww相手は城攻めをしてるんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwさっさと潰しにいかないとこっちが殺されるwwwwwwwwwwwwwwwwww」
そんなこと当たり前だろうと言わんばかりに沙織は話すんだけど、僕には展開が早すぎてついていけなかった。
「差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww最高の戦争をしようwwwwwwwwwwwwwwwwww差身が絶対に私のことを忘れないステキな戦争にするんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwその胸の中に死んでも刻み込まれ消えることない思い出を作ろうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織は病んだ笑みを浮かべながら、いつの間にか取り出したコンバットナイフを僕の胸に突きつけた。
戦いは目前に迫ってきた。
本当に2度と忘れることなんかできることのない戦争が、沙織の「本物」の胸の高まりとともに加速していた。




