第38話「本物」のチョコレートの奪い合いwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「おい!!!小机様に言われたから大広間に連れてってやるよ!ついて来い!」
僕と沙織が話しているとイライラした感じで佐藤さんが割って入ってきた。
ああ、佐藤さんのこと気にしないで沙織と話し込んじゃったし、佐藤さんが怒るのも無理ないな。
僕もちょっと無神経だったね。
「佐藤さん、ありがとう。あ、これ良かったら食べる?」
僕は背中に背負っているリュックから非常食として用意していたチョコレートを取り出すと佐藤さんに渡した。
佐藤さんはちょっと真顔になったかと思うと、わなわなと震え始め顔を赤らめながらチョコを受け取った。
そのまましばらくチョコレートをじっと見つめ続けてたんだけど、佐藤さんは慌てたように顔を上げて僕の目を見た。
「なにこれ!100円均一のチョコじゃん!」
佐藤さんが「ぐぬぬぬぬぬぬ」という表情で声を荒げた。
あれ?佐藤さんは怒ってるのかな???と思ったんだけど、もしかするとうまく返事ができていないだけで、そんなに怒っていないように見えた。
佐藤さんってどことなく気が強そうで怖い感じもするんだけど、それってただ慌てているだけで本当はそんなに悪い子ではない気がした。
このあたりは僕が理解してあげないと、佐藤さんとこれから仲良くできないだろうから気をつけないとな。
「ほらでも、佐藤さん、ちょっと疲れてそうに見えたからさ、食べると元気になるよ。しばらくお菓子もたべてないでしょ?」
僕がなるべく優しく佐藤さんをなだめると、佐藤さんは急にしおらしくなってチョコレートを持ったまま頷いた。
「え、うん、ごめん、ちょっと疲れてたから甘いモノが食べたかったんだ…ありがとう…」
佐藤さんは素直にかわいらしく笑った。
それは今までと違っていて、自分の心を守っていた鋼鉄の壁を取り払ったような感じだった。
ちょっと佐藤さんとも打ち解けたかなあ?と思った矢先、僕の横で沙織がどす黒い暗黒オーラを燃え上がらせていた。
目には黒い影がかかり、佐藤さんが手にしたチョコレートを睨みつけ恨みをつのらせていた。
あーあ、沙織もチョコレート1つで呪いをかけるような目つきにならなくてもいいのに…
何でそうすぐに、他人に殺意を持っちゃうのかなあ…
沙織もすぐ不安になっちゃう所があるから、チョコレート1つといえども気になっちゃうんだろうね。
「ニャンパスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwww私も疲れているwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwチョコを渡せwwwwwwwwwwwwwwww」
ヤンデレ女子力大発揮!!!
沙織は僕に暗黒に支配されたような呪いに満ちた低い声でつぶやいた。
目には凶悪な光が放たれ、今にも僕を殺しかねない勢いだ!!!!
「ああ、じゃあ、こっちのチョコを…」
チョコレートは何個か持ってきていたので、リュックから佐藤さんにあげたのと同じ種類のチョコを出して沙織に渡そうとしたんだけど、それでは沙織は満足できないのか沙織まで「ぐぬぬぬぬぬぬwwwwwwwwwwwww」とした病んだ顔になった。
「いいいぃぃぃいぃいいっ!!!!!いやだあああああっ!!!!!!!!!wwwwwwwwwwwwww若菜ちゃんにあげるチョコの方が良いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwそっちを私に渡すんだ!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
急に発狂し始めた沙織は佐藤さんが持っているチョコレートを指差して喚き始めたんだけど、佐藤さんは沙織の様子がおかしいのに気づいて目を丸くして凝視していた。
まずいな…これじゃあ沙織が「本物」だってバレてるだろうな…
あとで何とかするしかないけど、もう誤魔化しきれないだろうな…
「そうか?じゃあ、こっちのチョコを佐藤さんに…沙織はこっちな」
僕は佐藤さんに「ごめんね」と言って、佐藤さんの持っていたチョコレートと沙織に渡すつもりだったチョコレートを交換してもらうと、佐藤さんの持っていたチョコレートを沙織に渡そうとしたんだけど…
沙織は受け取らずに、佐藤さんが手にしたチョコレートを指差してまるで駄々っ子のように嫌々し始めた。
「やwwwwwやはりwwwwwwwwwwwwそっちのチョコが欲しいwwwwwwwwwwwいや駄目だ!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww両方とも私にくれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww若菜ちゃんにチョコをあげてはいけないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwヤダヤダ!あげちゃ駄目なんだ!wwwwwwwwwwwwww」
まずいなあ、かなり沙織が錯乱してきた。
家にも連れ帰れないしどうしようかなあと思ったんだけど、沙織の様子をじっと見続けていた佐藤さんが、沙織がいない側の僕の腕にすっと近づくと、急に僕の手を握りながら僕の腕に絡まるように抱きついてきた。
そして佐藤さんは大人びた小悪魔的な目で沙織を見ていた。
「『沙織』の差身君が、『私に』チョコをくれて凄く嬉しい!『私に』チョコをくれてありがとう!さ・し・み・く・ん♡『私の』ために『私に』優しくしてくれて、若菜は凄く嬉しかったよ!♡『沙織の』さ・し・み・く・ん♡」
ニヤリとした佐藤さんがめっちゃ沙織を挑発するようにそう言うんだけど、沙織は完全に怒りが頂点に達したようで肩にかけていたM3に銃弾を素早くカチャリと装填すると佐藤さんに銃口を向けた。
ああ…そうだよな…昔からこうだったからな…
ある一定距離以上僕に近づく女の子は、沙織が引き離しにやって来るんだよな…
これが良いか悪いか別にして、このせいで僕の恋愛スキルはないに等しい。
僕は沙織に関してはめっちゃ詳しいんだけど、普通の女の子に関してはあんまり良くわからないのだ。
「おい!!!wwwwwwwwwwwwwwwてめえ離れろ!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身は私のものなんだ!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身ごと撃ち殺すぞ!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織が完全に暗黒オーラを大噴火させ、その黒い影が悪魔のような形で浮かび始めた!!!
すると佐藤さんは僕に巻き付くように隠れ、沙織を僕の影から覗いていた。
「差身君、こわーい♡若菜は殺されちゃう♡差身君助けて♡あの人、なんで銃なんて持ってるの?怖いんですけどー♡」
甘えたような声でそう言う佐藤さんは僕を盾にすることで安全だと思ってると思うんだけど…
違うんだよ!!!佐藤さん!!!!普通の彼女なら僕には手を出さないよ!!!
君が見ているのは「本物」の彼女なんだよ!!!!
僕も君もあと数秒程度で死ぬか生きるか死線を踏み越えた先で逃げ惑うことになるんだよ!!!
この距離でマシンガンなんて2人とも逃げきれるわけないじゃん!!!!
佐藤さんも何でそこまで沙織を挑発するの?!
沙織もチョコレートくらいでどうして発狂するのよ?!
喧嘩しても良いんだけど毎回毎回ちょっとしたことで、僕を殺そうとするのはなんだかおかしい気がするんだあああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!
「ニャンパス!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww2人とも具の餌となれ!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
怒りで完全に「本物」が加速しまくっている沙織は、M3を構えたまま狂気に満ちた叫びを上げた。




