仲直り
「……ご主人様、もう大丈夫ですか?」
夕食。椅子に座った私に、カータは小さな湯気が立つお椀をそっと差し出した。その声にはいつもの優しさがあり、彼なりに「いつもの日常」へ戻そうとしてくれている気遣いが窺えた。
お椀を受け取りながら気まずそうに視線を彷徨わせる。
「……ああ。体内の魔素も抜け、熱も下がった。……それと、その」
一口お粥を口に含み、喉を通してから、深く静かに息を吐いた。今度は逃げることなく、まっすぐにカータの目を見つめる。
「カータ。昨日は……本当にすまなかった。自分の不甲斐なさに苛立ち、君に酷い言葉を投げつけ、傷つけた。薬師としても、君の保護者としても失格だ。……許してほしい」
真剣な面持ちで頭を下げる。
カータは一瞬驚いたように目を丸くしたが、すぐに柔らかく目を細め、モルガンの膝の上にぽんと自分の手首を乗せた。少しだけ赤みが残る手首——昨日、私が振り払ってしまった場所だ。
「謝らないでください、ご主人様。僕、最初はすごくショックでしたけど……ご主人様がどれだけ一人で抱え込んでいたか、分かっていなかったのは僕の方です」
カータは首を振ると、いたずらっぽく微笑んだ。
「それに……昨夜、僕にたくさん甘えてくれたじゃないですか。『行かないでくれ』って。あんなに頼にされたの、初めてで……実はちょっとだけ、嬉しかったんです」
「〜〜っ! それは……その、錯乱していたというか……!」
再び顔を真っ赤にして狼狽する私を見て、カータはくすくすと声を立てて笑った。
「ふふ、だから、もうお互い様です! 仲直り、ですね?」
差し出された小さな手。自分の大きな手でそれを包み込むと、胸の奥にじんわりと広がる温かさを噛みしめるように、ゆっくりと頷いた。
「……ああ。仲直りだ。ありがとう、カータ」
「はい。仲直りのぎゅー…しましょ?」
「そっ…それは…」
「はい!ぎゅー!」
「ぎゅー…」
不器用で、失敗して、それでも手を取り合ってくれる少年の温もりが、何より温かいものだった。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます!
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挫折や、自身の弱さを少しずつでも乗り越えていくモルガンと、懸命にお世話をするカータの二人は、これから父の残したものを探しに、パビリオンへと向かいます…!




