何もかもわからない君
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「ごちそうさまでした…!」ピコピコ
可愛く耳を動かしながらフリフリと満足そうに尻尾を振っている。そして、彼は片付けようとスプーンと木の皿を持ちこちらにそれを持ってくる…が
「んーっ」
背伸びをして手を伸ばしても台所になんとか届く程度だ。あ、ぴょんぴょんしてる…。洗い物を済ませ、椅子に座っていた私は席を立つと彼から容器を取り、洗い出す。
「あ…あの…ぼくも」
「いいよ…座っていてくれ」
ピッピっと水を切って水気を布で拭き取る。そして棚に戻し彼の方を見ると、耳を垂らしていた…?
「今日は疲れただろう…ほら…ついておいで」
ギシ…ギシと音を立てながら二階への階段を上がり、寝室へと案内する。…今日は…どうするか。
「君は…今日はここで寝なさい」
そう言って私のベットを指差す。
「ごしゅじんさまは…」
「私はソファーで寝る。じゃあ、おやす…おい」
私がそう言って部屋から出ようとすると、その子は私の服の裾を掴んで引き留める。
「どうしたんだ?…」
「ぼくはソファーでだいじょうぶ…」
「何を言い出すかと思ったら…いいから、子供はちゃんと寝ないと育たないぞ?」ヨシヨシ
「でも…」シュン
「はぁ…では後から行くから…先に寝て待っていてくれ」
そういうと彼はパァ…!と顔を明るくすると耳をピコピコと動かしながらベットへと向かう。
「ほら…しっかり布団をかけてお休み」
「はい…ごしゅじんさま」
ご主人様って…はぁ。
机へと向かい立ててある羊皮紙を一枚取り出すとインクにペンをつけ、今日のできごとについて書き留める。
「…おい。耳がピコピコ見えているぞ。早く寝なさい」
しばらくするとそれも動かなくあり、すぅすぅと小さな寝息が聞こえ、ふぅ…と小さく息を吐く。
私はこれまでずっと独り身だし、男にもモテることもないばかりか多くのものに怖がられる始末だった。もちろんこんな小さな子なんてもってのほかである。いつまでも私のベットで寝させるわけにもいかないし、父の部屋の整理をしてひとまずそこで…というより親は一体どうしたのだ…工房の近くの森では魔物の噂も聞く、一人であてもなさそうなこの子を外に放り出すのはさすがに夢見が悪すぎる…。お金は王都で働いていた分もあるし、父の家業もなんとかなっている。この子がもし…もし望むなら…
「そんなこと…ないだろうけど」
ふぅ…と蝋燭を消し、いつもはいない存在のいるベットへと腰掛ける。
布団を捲ると可愛らしい寝顔をのぞかせる。
この子は一体どこからきたのだろう。
な…なるべく距離をとって…起こさないようにしてその日は眠りについた。
──どこからきたのだろう。邪推をしても意味はないか…とりあえず、明日改めて話を聞くことにしよう。これからのことについても。
1日目の日記 終了




