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最近のお笑いはつまらない? だったら俺/僕たちが面白くする  作者: 柿井優嬉


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9/10

演出

「へー、あずさ、『まだ』が好きなんだ」

「うん」

「特にどっちが?」

「そりゃあ、千堂でしょ」

「違うよ」

「え? 白川なの?」

「うん」

「どこがいいの?」

「優しそうじゃん」

「そうかなー? 頼りなさそうだし、ムッツリスケベって感じもするけど」

「ひどーい」

「うそうそ。からかうのでわざと言ったんだよ。そんな、漫画みたいに可愛らしくほっぺたを膨らませないの。さっすが、モテる女は違うねえ」

「もー」

「だから、ごめんって」

「それにしても、『まだ』って、基本的にフリーでしゃべる番組に全然出ないから、本当の人間性が謎だよね。どんな性格なんだろう?」

「今はさ、そういう疑問はAIに訊けばすぐにわかるんだよ」

「千堂の言い方、誇張しすぎ! ウケるー。キャハハハハハ」

 ……。

「おい」

「ん?」

「昨日の『まだなの?』、観た?」

「わかりきったことを訊くなよ」

「悪い。コント、めちゃくちゃ面白かったな」

「まあな」

 俺の名前は、柴田公平。今は、自分が通っている高校のクラスの教室で、休み時間であり、話しかけてきた相手は西留直樹という男だ。

「なあ、あの女子たちの会話、聞いた?」

 西留は、少し離れた位置でしゃべっている本人たちには聞こえないように、声のボリュームを落として俺に尋ねた。

「……ああ、聞こえたけど、それが?」

「前から思ってたけど、お前って白川に似てるよな。顔も雰囲気も、何より、お互いに笑いの才能があるし」

「えー? 似てねえだろ、別に」

「似てるって。つーことは、唐沢が白川のことを好きなんだから、お前も脈があるってことじゃん。よかったなー。おめでとう」

「なんで俺が唐沢に好かれておめでたいんだよ?」

「とぼけたことを言うなよ、わかってるくせに。付き合えたら嬉しいだろ?」

「別に」

「嘘言えよー。ああ、うらやましい」

「付き合ってねえのに、うらやましがられてもな」

「しかし、ほんと、『まだ』って、実際はどんなキャラなんだろうな? 芸人なのにしゃべるのが苦手だから、フリーのトークが中心の番組に出ないらしいけど」

「それ、嘘じゃねえかな」

「え? 何が?」

「しゃべるのが苦手っていうの。フリーで話すのが基本の番組に出ないのは、どういう人間なのかを見せない、演出の一環なんだと思うぜ」

「ええ? そんなことをする意味ある?」

「あるだろ。よくキモいキャラで登場して人気になったのに、フリーでしゃべる番組に出まくって、普通の善い人だっていうのがバレちゃうから、消えていく羽目になるんだよ。『何かまだみんなが知らない引き出しがあるな』って思わせて、世間に興味を持たせ続けるのがミソで、それを『まだ』の二人はわかってるゆえに、プライベートもまったく見せないし語らないんだ」

「へー。そっかー」

「って、そうじゃないかっていう、俺の予想だぞ」

「でも、合ってるよ、多分。俺、すげえ納得したもん」

「……」

「ん? どうした?」

「いや、それを確かめてみるのも面白いかなと思って」

「はあ? それって?」

「あいつらの本性をさ」


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