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生きずらさに、名前をつけるなら  作者: あーちゃん


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第116ページ  最初に渡したい言葉

凛は、完成とは「評価されるため」だけのものではなく、途中で置き去りにしてきた自分たちを最後まで連れていくことなのだと気づいた。

怖くても、一文ずつなら進める。

そう思えた凛は、作品の最初の章を本格的に書き直し始める。


今回は、凛が読者に最初に渡したい言葉を探すページです。

それは励ましでも、正論でもなく、ただ「あなたが悪いだけではなかったのかもしれない」と、静かに隣へ置くような言葉だった。

朝の部屋は、しんと冷えていた。


 凛は厚手のカーディガンを羽織り、机の前に座っていた。


 デスクライトをつけると、白い光がパソコンのキーボードと青いノートの表紙を照らした。


 昨日、凛は「完成させること」の意味を少しだけ変えられた。


 完成は、誰かに評価されるためだけのものではない。


 途中で置き去りにしてきた自分たちを、最後まで連れていくこと。


 大丈夫じゃなかった自分。


 許せない自分。


 怖がる自分。


 誰かを大事に思ってしまう自分。


 未来を少し信じたい自分。


 その全部を、途中で捨てないこと。


 そう考えたら、完成は少しだけ怖いものではなくなった。


 もちろん、怖さが消えたわけではない。


 でも、その怖さの隣に「書きたい」という小さな熱が残っていた。


 凛はパソコンを開いた。


 作品ファイルを開く。


 『生きづらさに、名前をつけるなら』


 そのタイトルの下に、昨日整理した目次が並んでいる。


 第一章。


『普通になりたかった私へ』


 今日は、この章を書き直すつもりだった。


 作品の入り口。


 読者が最初に触れる場所。


 そこに何を書くのか。


 それを考えるだけで、凛の胸は少し緊張する。


 最初の言葉は大事だ。


 でも、大事だと思いすぎると、書けなくなる。


 うまく書こうとすると、凛の言葉はすぐ硬くなる。


 読まれるため。


 評価されるため。


 共感されるため。


 そう考え始めると、自分の呼吸から遠ざかってしまう。


 凛はパソコンから目を離し、青いノートを開いた。


 まず、自分へ戻る。


 真白にもらったこのノートは、今の凛にとって、作品へ向かう前の深呼吸みたいな場所になっていた。


 凛はペンを取り、新しいページへ書いた。


『最初に、何を渡したい?』


 その問いを書いた瞬間、胸が少し静かになった。


 何を書けば読まれるか。


 どう始めれば上手く見えるか。


 そうではなく。


 最初に、何を渡したいのか。


 凛は目を閉じた。


 思い浮かぶのは、夜の部屋だった。


 かつての自分。


 布団の中でスマートフォンを握りしめ、誰にも送れない言葉を何度も打っては消していた夜。


 大丈夫じゃないのに、大丈夫と返信した夜。


 母を責めたいのに、母も大変だったからと自分を黙らせた夜。


 就活の画面を開いて、息が詰まって閉じた夜。


 真白へ会いたいと思いながら、重いと思われるのが怖くて何も送れなかった夜。


 そういう夜の自分へ、もし一番最初に言葉を渡せるなら。


 凛は何と言いたいだろう。


 少し考えて、ノートへ書いた。


『あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。』


 その一文を書いた瞬間、胸の奥が熱くなった。


 これだ、と思った。


 励ましではない。


 頑張れでもない。


 大丈夫でもない。


 明日は良くなる、でもない。


 そんな言葉を言われても、昔の凛はきっと受け取れなかった。


 頑張れと言われるたび、もう頑張っているのにと思った。


 大丈夫と言われるたび、大丈夫じゃない自分が置き去りにされた気がした。


 明日は良くなると言われても、今日の夜をどう越えればいいのかわからなかった。


 だから、最初に渡したい言葉は、もっと静かなものがいい。


 断定ではなく、少しだけ余白のある言葉。


 あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。


 そのくらいの言葉なら、夜に崩れそうな人の隣に置ける気がした。


 凛はパソコンへ向き直り、第一章の冒頭を開いた。


 昨日書いた文章がある。


『この文章を開いてくれたあなたが、もし今、自分だけがうまく生きられないと思っているなら、私は最初にこう言いたい。

あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。』


 凛はそれを読み返した。


 悪くない。


 でも、もう少しだけ、息の温度を入れたいと思った。


 読者へ直接話しかけるように。


 でも押しつけないように。


 凛はゆっくり書き直し始めた。


『この文章を開いてくれたあなたへ。

もし今、あなたが「自分だけがうまく生きられない」と思っているなら、私は最初に、ひとつだけ言葉を置きたい。

あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。』


 そこで一度手を止める。


 静かに読み返す。


 少しだけ、届く気がした。


 凛は続ける。


『私もずっと、そう思っていた。

人より疲れやすいのは、私が弱いから。

空気を読みすぎて苦しくなるのは、私が考えすぎるから。

母の言葉に傷つき続けるのは、私がいつまでも子どもだから。

働くことを怖いと思うのは、私が甘えているから。

誰かを必要としてしまうのは、私が重い人間だから。

そうやって私は、苦しさの理由を全部、自分の中だけに探していた。』


 打ちながら、凛の胸は少し痛んだ。


 でも、手は止まらなかった。


 これは読者へ向けた言葉であると同時に、過去の凛へ向けた言葉だった。


 凛は続けて打つ。


『でも、少しずつわかってきた。

苦しさには、名前がある。

寂しさには、過去がある。

怖さには、理由がある。

人の顔色を読みすぎるのは、そうしなければ安心できなかった時間があったからかもしれない。

大丈夫と笑ってしまうのは、大丈夫じゃない自分を見せる場所がなかったからかもしれない。

未来を期待するのが怖いのは、期待して傷ついた記憶を、心がまだ覚えているからかもしれない。』


 凛はそこまで打って、深く息を吐いた。


 胸が熱い。


 少し泣きそうだった。


 でも、これは悲しいだけの涙ではなかった。


 自分の苦しさを、ただの欠点としてではなく、理由のあるものとして見つめ直す。


 それは、凛にとってとても大きなことだった。


 凛は画面を見つめながら、小さく呟いた。


「……責める前に、名前をつける」


 その言葉を、本文にも入れたいと思った。


 凛は続きを打つ。


『この作品は、そんな私が、自分を責める前に苦しさへ名前をつけようとした記録です。

普通になれなかった私が、普通になれないまま、どうにか生きる方法を探し始めた記録です。

明るい答えは、まだありません。

すべてを乗り越えた人間として、あなたを励ますこともできません。

でも、同じ暗さの中で、少しだけ隣に座ることならできるかもしれない。

そう思って、私はこの文章を書いています。』


 凛は手を止めた。


 画面に並んだ文章を、最初から読み返す。


 怖い。


 でも、悪くない気がした。


 誰かを無理に励ましていない。


 自分を大きく見せてもいない。


 ただ、自分が渡したい言葉を、静かに置けている気がした。


 スマートフォンが震えた。


 灯からだった。


『今日、書いてる?』


 凛は少し笑った。


 最近、灯も七海も真白も、凛が書いている時間をなんとなく察しているように連絡をくれる。


『第一章を書き直してる』


『最初に読者へ渡したい言葉を考えてる』


 既読。


『何渡すの?』


 凛は少し迷った。


 でも、灯には伝えたいと思った。


『あなたが悪いだけではなかったのかもしれない、って言葉』


 送信。


 少し間があった。


 それから灯が返した。


『それ、めっちゃいい』


『断定じゃないのがいい』


 凛は画面を見つめる。


『断定じゃないのが?』


『うん』


『苦しい時に「あなたは悪くない!」って強く言われると、いやでも私にも悪いところあるしって拒否したくなる時ある』


『でも「悪いだけではなかったのかもしれない」なら、少し受け取れる』


 凛はその言葉を読んで、胸がじわりと温かくなった。


 自分が感覚で選んだ言葉を、灯がちゃんと読んでくれている。


 それが嬉しかった。


 凛は返信する。


『私も、強い励ましは受け取れない時がある』


『わかる』


『凛ちゃんの文章は、押してこないから好き』


 押してこない。


 その言葉は、凛にとって少し意外だった。


 でも、嬉しかった。


 凛は誰かを無理に前向きにさせたいわけではない。


 立ち上がれと言いたいわけでもない。


 ただ、隣にいたい。


 夜を越えるまで、ひとりじゃないと思える言葉を置きたい。


 それが少しでも伝わっているなら、凛は嬉しかった。


 大学へ向かう支度をしていると、母からメッセージが届いた。


『今日も寒いね。学校?』


 凛は画面を見つめた。


 母からの日常的な連絡。


 以前なら、それだけで少し身構えていた。


 何か言われるのではないか。


 ちゃんとしているか確認されるのではないか。


 そんなふうに思っていた。


 今も少しだけ身構える。


 でも、以前より少しだけ柔らかく受け取れる。


 母もまた、距離を測っているのかもしれない。


 凛へどう話しかければいいのか、母なりに探しているのかもしれない。


 凛は返信した。


『学校。朝、少し作品書いてた』


 送ってから、少し緊張した。


 母に作品のことを言うのは、まだ怖い。


 母はどう思うだろう。


 暗いことを書いていると心配するだろうか。


 そんなものより就活をしなさいと言うだろうか。


 数分後、母から返事が来た。


『作品を書いてるんだね。無理しすぎないでね』


 それだけだった。


 でも凛は、その文章を見て少しだけ息を吐いた。


 否定されなかった。


 詳しく聞かれなかった。


 それが少しありがたかった。


 母との関係は、まだ近づきすぎると怖い。


 でも、こうやって短い言葉を交わせる日がある。


 それだけで、今は十分なのかもしれない。


 大学へ向かう電車の中、凛は今朝書いた冒頭を何度も読み返した。


 誤字を直す。


 少しだけ語尾を整える。


 でも、整えすぎないように気をつける。


 文章はきれいすぎると、凛の痛みから離れてしまう気がした。


 傷のある言葉。


 真白が言ってくれた言葉を思い出す。


 凛の文章には、ちゃんと傷がある。


 痛い。


 でも、その痛さが同じように痛い人へ届く。


 凛はその言葉を大切にしていた。


 教室に入ると、七海がすでに席に座っていた。


「おはよ」


「おはよう」


「今日、書いてきた顔」


「顔に出すぎじゃない?」


「出てる」


 七海は笑った。


「何書いたの?」


「第一章の冒頭」


「おお、入り口」


「うん。最初に渡したい言葉を考えてた」


「何?」


 凛は少し照れながら言った。


「あなたが悪いだけではなかったのかもしれない、って」


 七海は少し黙った。


 そして、真面目な顔で頷いた。


「それ、いいね」


「ほんと?」


「うん。凛ちゃんっぽい」


「灯ちゃんにも言われた」


「でしょ。凛ちゃんの文章って、慰めてくるっていうより、横に座ってくる感じする」


 横に座ってくる。


 灯は押してこないと言った。


 七海は横に座ると言った。


 その二つの言葉が、凛の胸で重なる。


 自分の文章が、そんなふうに読まれている。


 それは、凛が目指したいものに近かった。


 凛は誰かを無理に救いたいわけではない。


 けれど、夜の隣に座るような文章なら書きたい。


「……横に座る文章」


 凛が小さく呟くと、七海は笑った。


「そうそう。凛ちゃんの文章、人の腕引っ張って立たせる感じじゃなくて、隣で一緒に体育座りする感じ」


「体育座り」


「夜の体育座り」


 凛は思わず笑ってしまった。


 でも、その表現が妙にしっくりきた。


 夜に崩れそうな人の隣で、無理に立たせず、一緒に座る文章。


 それが凛の書きたいものなのかもしれない。


 講義中、凛はノートの端に書いた。


『私は、誰かを立たせる文章ではなく、隣に座る文章を書きたい。

朝まで一緒に黙っていられるような文章。

その人が自分で立てるまで、急かさずにいる文章。』


 この言葉も、作品に入れたいと思った。


 昼休み、凛は図書館へ行った。


 パソコンを開き、第一章の続きを書く。


 朝書いた冒頭の下に、七海の言葉から生まれた文章を足した。


『私は、誰かを無理に立たせる文章を書きたいわけではありません。

頑張れと背中を押すことが、必要な時もあるのだと思います。

でも、少なくとも私が本当に苦しかった夜に欲しかったのは、強い励ましではありませんでした。

隣に座ってくれる言葉でした。

大丈夫じゃないままでも、ここにいていいと言ってくれるような言葉でした。』


 書きながら、凛は昔の夜を思い出していた。


 母に言えなかった夜。


 友達に置いていかれた気がした夜。


 就活のサイトを開いて、息が詰まった夜。


 そういう夜、凛が欲しかったのは、正論ではなかった。


 もっと頑張れ。


 気にしすぎ。


 みんなそうだよ。


 そんな言葉ではなく。


 苦しかったんだね。


 大丈夫じゃなかったよね。


 あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。


 そういう言葉だった。


 凛は続きを打った。


『だから私は、この文章を読むあなたを、急いで明るい場所へ連れていこうとは思いません。

暗い場所にいるなら、まずその暗さを一緒に見たい。

そこにいるあなたを、責めないでいたい。

明るくなることより先に、今夜を越えることが必要な日もあるから。』


 打ち終えたあと、凛はしばらく画面を見つめた。


 少しだけ、第一章の入口が見えてきた気がした。


 読者へ最初に渡したい言葉。


 急がなくていい。


 責めなくていい。


 あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。


 それを、作品の扉に置きたい。


 夕方、凛は『cafe 月灯り』へ向かった。


 店内には静かな音楽が流れていた。


 真白はカウンターで、いつものようにカップを拭いている。


「いらっしゃい」


「こんばんは」


「今日は何か、いい顔してる」


 凛は少し笑った。


「第一章の冒頭を書き直しました」


「おお」


「最初に渡したい言葉が少し見えました」


 真白は嬉しそうに目を細めた。


「どんな言葉?」


 凛はカウンター席に座り、バッグから青いノートを出した。


 パソコンの文章を少し写してきていた。


 凛はそのページを開き、真白へ見せる。


『あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。』


 真白はその一文を見て、しばらく黙っていた。


 その沈黙が長くて、凛は少し不安になる。


 でも真白の表情は柔らかかった。


 やがて真白は言った。


「これ、すごくいいね」


 凛の胸が少し緩む。


「灯ちゃんにも、断定じゃないのがいいって言われました」


「うん。わかる」


「強く言い切るのが、少し怖くて」


「でも、その曖昧さが優しいんだと思う」


 真白はノートを見つめながら続けた。


「苦しい時って、強すぎる言葉が入ってこないことあるから」


「はい」


「“かもしれない”くらいの余白がある方が、受け取れる人もいると思う」


 凛は小さく頷いた。


 自分が選んだ余白を、真白が肯定してくれる。


 それだけで、自信というほどではないけれど、少しだけ文章を信じられる気がした。


「あと」


 凛は少し恥ずかしくなりながら続けた。


「七海ちゃんに、私の文章は横に座る感じって言われました」


 真白は少し笑った。


「七海ちゃん、表現うまいね」


「夜の体育座りって言われました」


 真白はそこで本当に笑った。


「いいね、夜の体育座り」


 凛も笑ってしまう。


 カフェの中に、少しだけ柔らかい空気が広がる。


 笑いながら、凛は思った。


 こんなふうに笑いながら、自分の作品の話ができる日が来るとは思わなかった。


 少し前まで、作品なんて言葉を使うことすら怖かった。


 自分の文章を誰かへ見せるなんて考えられなかった。


 でも今は、灯に読んでもらい、七海に目次を見せ、真白に冒頭の言葉を聞いてもらっている。


 怖いけれど、少しずつ渡せている。


 それは大きな変化だった。


 真白はココアを凛の前に置いた。


「凛ちゃんの文章は、無理に救おうとしてないところがいいと思う」


「救おうとしてない?」


「うん」


 真白は静かに言った。


「“私があなたを助けます”じゃなくて、“私もここにいます”って感じがする」


 凛の胸がじわりと熱くなる。


 私もここにいます。


 それは、凛が書きたいことの中心にある言葉かもしれなかった。


 誰かを救うほど強くない。


 でも、同じ暗さの中で、ここにいるよと書くことならできる。


 凛は青いノートへ、真白の言葉を書き留めた。


『私があなたを助けます、ではなく、私もここにいます。』


 その一文を書いた時、凛の胸は静かに震えた。


 夜、家へ帰った凛は、パソコンを開いた。


 第一章の冒頭へ、今日カフェで生まれた言葉を足す。


『私は、あなたを救えるほど強くありません。

あなたの痛みを完全にわかるとも言えません。

でも、私もここにいます。

普通になれなくて、自分を責めて、何度も大丈夫なふりをしてきた私が、ここにいます。

もしあなたが今夜、自分だけがうまく生きられないと思っているなら、この文章が少しだけ隣に座れたらいいと思っています。』


 打ち終えた時、凛は深く息を吐いた。


 これだと思った。


 完璧ではない。


 まだ直すところはある。


 でも、第一章の扉に置きたい温度は、少し見つけられた気がした。


 凛は青いノートを開き、今日の最後に書いた。


『最初に渡したい言葉が見つかった。

あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。

私もここにいます。

この二つを、作品の入口に置きたい。』


 書き終えると、胸の奥が少しだけ満たされた。


 作品はまだ長い。


 完成までは遠い。


 でも、入口が見えた。


 読者へ最初に渡したい言葉が見えた。


 それだけで、凛は少し前へ進めた気がした。


 窓の外では、冬の夜が静かに広がっている。


 どこかに、今夜も眠れない人がいるかもしれない。


 自分だけが悪いと思っている人がいるかもしれない。


 凛はその人へ向けて、心の中でそっと言葉を置いた。


 あなたが悪いだけではなかったのかもしれない。


 私もここにいます。


 その言葉がいつか届くことを願いながら、凛は静かにパソコンを閉じた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


今回は、凛が作品の第一章を書き直し、“読者に最初に渡したい言葉”を見つけるページでした。


凛が選んだ言葉は、強い励ましではありません。

「頑張れ」でも「大丈夫」でもなく、

「あなたが悪いだけではなかったのかもしれない」

という、余白のある静かな言葉でした。


苦しい夜に必要なのは、背中を押す言葉だけではない。

隣に座ってくれる言葉。

大丈夫じゃないままでも、ここにいていいと言ってくれる言葉。


凛は、自分の文章がそんな場所になればいいと願い始めます。


次のページでは、第一章の入口が見えた凛が、作品をさらに進める中で、過去の自分に宛てた“手紙”を書くことになります。

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