56話 待ち合わせ
長い休載をしてしまい申し訳ありませんでしたが投稿を再開致します。
京都駅を出た瞬間、私は少し足を止めた。
人が多い。
音も多い。
山木屋とは何もかも違っていた。
行き交う人の流れが途切れない。
誰も立ち止まらない。
私は鞄を持ったまま、しばらく周囲を見ていた。
雪は、ここにいる。
だが場所は分からない。
スマホを開く。
『着きました』
送信。
既読はすぐについた。
だが返事は来ない。
私は小さく息を吐き、駅の外へ出た。
冷たい風が吹く。
北海道よりは暖かい。
だが湿った寒さが残っていた。
とりあえず、泊まる場所を決める必要がある。
私は駅近くの安いビジネスホテルを探した。
観光客らしい人間に混じり、フロントで手続きを済ませる。
部屋は狭かった。
ベッドだけ。
窓の外には、知らない街の灯りが見える。
鞄を置き、私はそのままベッドへ座った。
静かになると、急に現実感が薄れる。
本当に来てしまった。
私はスマホを見る。
通知はない。
しばらく待ったあと、こちらから送った。
『どこへ行けばいいですか』
既読。
返事は数分後に来た。
『京都って広いんだよ』
昨日と同じだった。
私は眉をひそめる。
『それは知ってます』
送信。
少し強くなった。
返事はすぐ来た。
『怒ってる?』
私は画面を見る。
ふざけているようにも見える。
だが、そういう感じとも違った。
『探させてるんですか』
既読。
しばらく返事が止まる。
私はスマホを机へ置き、窓の外を見る。
知らない街だった。
車の音が遠くで続いている。
数分後、通知が鳴った。
『もし簡単に会えたら、怖くない?』
私は少し黙る。
その感覚は分かった。
最初から全部を明かされる方が、むしろ異常だ。
だが。
『今も十分怖いです』
送信。
既読。
返事は少し長かった。
『だよね』
『でも、会いたいなら来た方がいい』
『あなたはたぶん、もう戻る気ないから』
私は目を細める。
戻る気がない。
そんなつもりはない。
京都へ来たのは、話を聞くためだ。
確認するためだ。
だが、その言葉を否定しきれない自分もいた。
私は立ち上がり、顔を洗う。
鏡を見る。
疲れていた。
移動だけでかなり消耗している。
それでも頭は妙に冴えていた。
部屋へ戻り、再びスマホを見る。
『明日、どこへ行けばいいですか』
送信。
今度は返事が早かった。
『鴨川』
私は少し驚く。
初めて、具体的な場所が出た。
『鴨川のどこですか』
返す。
既読。
だが返事は来ない。
私は小さく息を吐き、ベッドへ倒れ込んだ。
天井を見上げる。
試されている気がした。
ここまで来るか。
それとも途中で諦めるか。
雪は、ずっとこちらを見ている。
そんな感覚が消えなかった。
窓の外では、
知らない街の夜が続いていた。
仕事が繁忙期にはいってしまい中々執筆できていなかったのですが、これからは毎週土曜日の週刊で少しずつ書いていこうと思います。よろしくお願い致します。




