妹、だけじゃ終われない
「・・・どうなの? 私、気が短いから返事は早めに聞きたいんだけど」
朱莉は俺を押し倒したまま、じっと眼の中をのぞき込んできた。
もう絶対に逃がす気はないと言わんばかりだ。
「・・・私って、凛斗にとって魅力的に見える?」
そんなことを問われ、俺は一瞬あっけにとられてしまう。
魅力的というよりは、可愛らしく思えていたというか・・・。
いざ恋愛的な目線で見られるかと問われると、どう答えればいいのか分からないというか・・・。
しかし俺が黙っていたことを、朱莉は否定に近いものとして捉えたようだった。
「・・・いいわよ、魅力的に見えないなら、見させるまでだから」
朱莉はもう引き下がる気などないようだった。
すると朱莉は俺の両頬を手で捕まえ、そしてそのまま顔を近づけ・・・。
「・・・!」
それは一瞬のことだったが、しかし朱莉はすぐに連続でキスをしてきた。
「・・・!」
俺は悲鳴にならない悲鳴を上げたが、朱莉の猛攻になすすべがない。
「ふふふ、凛斗、逃げられないなんて意外と弱いのね」
「ぷはっ、いや、逃げられないって言うか、朱莉が逃がさないんでしょ・・・!」
しかし俺が反論する間もなく、さらに追撃が入る。
せ、積極的にもほどがあるだろ!
「朱莉、ちょっと待ってくれよ! 頼むって!」
「待ったらどうなるのよ。ここから逃げるつもりなら、待つつもりなんかないわよ」
「逃げないって! 逃げないから・・・!」
「ふうん、そうかしら」
俺は一旦時間を確保したものの、朱莉の目は未だぎらぎらと俺のことを捉えて離さない。
なんかもう食べられそうだ!
朱莉の目つきがあまりに鋭いので、俺はすっかりベッドに縫い付けられてしまったような気すらする。
「ほら、どうよ、ここまでされて、それでも私のことを女の子として見られない?」
「待ってよ、まだ答え出してないじゃん!」
「答えるのが遅いのがいけないのよっ」
俺は何とか朱莉をなだめようとしたが、朱莉は一向に停まる気配を見せない。
もはや俺の上に馬乗りになり、そしてそのまま食らいつくようにして襲い掛かってくる。
「ちょっと、朱莉っ、朱莉っ!」
「待たないわよ!」
朱莉は楽しげに笑いながら、まったく怯む気配すら見せない。
首筋に顔をうずめ、そのまま俺の服に手をかけて来る。
さ、流石にそれは・・・!
まさかの行動に顔に血が集まるのを感じる。
「朱莉、それはちょっと待つんだっ・・・!」
「なによ、急に恥ずかしがって~!」
朱莉は事態をまったく重く見ていない様子できゃはきゃはと笑っている。
それこそ悪酔いしたかのような態度だ。
しかしこればかりは兄として止めなければならない・・・!
なぜなら朱莉はまだ若いし、第一女の子なのだ。
自ら男を襲うようなことがあっていいんだろうか、と妙な焦りが腹の底から込み上げる。
「朱莉、タンマ、タンマ・・・!」
俺は何とか朱莉を止めようと、彼女の腕などを掴んで抵抗した。
「ちょっと、暴れないでよ・・・!」
「暴れないでも何も、朱莉が急にやって来たんじゃないか・・・!」
何とか彼女を落ち着かせようとするが、朱莉も朱莉で諦めないようだ。
俺に食らいつこうと必死になっている。
「ちょっと・・・!」
「きゃっ・・・!」
そして俺が朱莉をようやく落ち着けたと思った時だった。
俺はより状況が悪化したことに気が付く。
「・・・あら、凛斗からこうしてくるなんて・・・積極的なのはどっちなのかしらね」
何と俺は朱莉をベッドに押し倒すような形になっていた。
先程とは形勢逆転と言った様子だろうか。
というか、冷静に分析している時間などないのだ!
朱莉はしてやったりとでも言いたげにほくそ笑んでいるが、これでは完全に俺が朱莉を押し倒したみたいになっている!
いやまあ、実際そうしたんだけど、そこに至るまでの経緯と言うか・・・!
「私、積極的なのは好きよ?」
朱莉はにんまりと微笑むと、そのまま俺の首の後ろに手を回してきた。
そして顔同士を近づけるかのように抱きしめて来る。
これでは否応がなしにドキドキする。
「・・・ねえ、これでも私のこと、ただの妹だと思う?」




