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妹たちと会議

第二話です

家族がぽつぽつ出てきます

家に帰ってきょうだいに仕事のことを伝えると、かなりばらばらの反応が返って来た。

上から順に俺の家のきょうだいは、俺、長女、次女、次男、三女、三男。

長女の朱莉は高校二年生だが、一番下の三男である悠斗は三歳だ。

かなり年齢に開きがある。


「あっそう・・・まあ、お兄ちゃんが良いって言うなら、いいけど」


まずは一番年齢が上の朱莉に伝えて見たのだが、案外そっけない返事が返って来た。

しかし、どうもすねているようにも見えた。


「朱莉、すねてる?」

「はぁ⁈ すねてないわよ! ・・・ちょっと寂しくなるかなって思っただけ」

「・・・なんだぁ、朱莉は優しいな」


朱莉は腕を組んだまま、つんと鼻を突き出してそう言ってきた。

素直ではないものの、ちゃんと本心は伝えてくれる。


「でも、これからは私とお母さんで料理や家事を主にするってことよね?」


朱莉は現実主義だ。

すぐにこれからの家事の分担に目が行ったらしい。


「まあ、確かにそうなるけど、俺が仕送りをするから朱莉はバイト減らしていいよ」


そう告げると、朱莉は驚いたように目を見開いた。


「そんな、でも仕送りって言っても・・・」

「給料がさ・・・」


朱莉の耳元に口を寄せ、秘密ごとを伝えるようにささやく。


「ええっ、そんなに・・・⁈」

「そうなんだよ、びっくりだろ?」


くすくす笑って朱莉を眺めていたが、なんだか朱莉はより一層すねたように見えた。


「朱莉?」

「・・・それ、怪しいやつじゃないわよね」

「あ、怪しいやつって?」

「いざ行ってみたら、なんか変な人体実験のバイトだった、とか・・・」


言っている側からしぼんでいく朱莉の声。

朱莉自身も、突拍子もないことを心配している自覚はあるらしい。


「大丈夫だって、塾長から紹介されたバイトだから、怪しいやつじゃないって」


俺がそう言い聞かせていると、次女の光莉が寄って来た。


「ふふ、お姉ちゃんって結構おにいちゃんのこと心配するよね。普段素直じゃないくせに」


光莉は今中学三年生だ。

学校から帰って来てすぐなのか、制服のままだ。


「なによ、いいからさっさと着替えてきたらどう、光莉?」


妹にからかわれて腹が立ったらしく、朱莉は威嚇するようにそう言いつけた。

全然怖くはないけれど。


「まあ、とにかく今日はお兄ちゃん遅かったから、私がご飯作っておいたから。まずはみんなで一緒に食べましょ」


朱莉はすぐに切り替えて、食卓に食事を並べ始めた。


「俺も手伝うよ」

「ねーちゃん、夜ご飯なぁに~」


キッチンに走って来たのは、小学五年生の陸斗。

朱莉がしっかり者だからこそ、反動でやけに幼く見える弟だ。


「カレーよ。あんたも運びなさい」

「え~、わかったよ~」


頬を膨らませながらも、陸斗は大人しくカレーを受け取る。

それから家族で揃って食卓に着き、食事を始めた。


「それにしても、そんなに高時給なんて、ホワイトな仕事なのに不思議ね」

「うーん、まあ塾講師ってそもそも時給は低くないし、それの延長だと思えば納得はできるんだけど・・・」


俺だって不思議な気持ちは拭えないままでいる。


「しばらくにいちゃんと会えないのさみしい」


陸斗は隠すこともなくそう言った。


「素直ね、あんたは・・・」

朱莉は陸斗を一瞥したけれど、朱莉だってさっき似たようなことを言っていなかったか。


「ていうか、衣食住付きってことは、住み込みってことだよね?」


そう光莉に質問され、俺はカレーを食べながらうなずく。


「相手って女の子?」

光莉の率直な疑問。

あ、それを聞くのを忘れていた。


「いやっ、女の子なわけなくない⁈」


光莉の質問に一番動揺したらしかったのは朱莉だった。


「だって一緒に暮らすのよ、しかも先生と生徒の関係性よ。それで女の子ってありえる・・・?」


やけに焦ったようにそう言っているので、俺も面食らう。

実際はどうなんだろうか、確かに女の子と一緒に暮らすのはハードルが・・・。

そして朱莉の言う通りに、第一に生徒と先生の関係性がある。


「女の子じゃないと思うぞ、それに朱莉は何をそんなに焦ってるんだ」

「あ、焦ってないしっ!」


頬をぱんぱんにするくらい、カレーを急いでかきこむ朱莉。

・・・その行動が余計に焦っているように見えるのは言わないでおいてやろう。


「でもお兄ちゃん、ホントに大変だったら辞めてもいいからね」

優しく微笑んで、光莉はそう言ってくれた。


「うん、無理だけはしないでおくよ。でも、できるだけがんばってみる」

俺としても怖い気持ちはあったが、家計を支えるには仕事は選べない。


「・・・光莉の言う通り、無理は禁物よ。これ、約束」

ずいっと朱莉から小指が突き出された。


「ゆびきりげんまんなんて、いつぶりだよ」

笑いながら小指を絡めてやると、またすねたように唇をすぼめられた。



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