秘密の話は気になっちゃいます
朱莉の「ひみつ」とは・・・?
「ねえスグル、朱莉と何の話してたの?」
結局気になった俺は、朱莉ではなくスグルに聞いてみることにした。
しかしスグルはどこか気まずそうな顔をして、後頭部を掻く。
「い、いやはやそれは・・・言いたいのは山々なんですけども、多分言ったらボクが朱莉ちゃんに処刑されてしまうのでね・・・」
「そんな大ごとなのか⁈」
ばらしたら処刑されるほどの大ごとを、階段を降りるついでに話すって何なんだ!
俺は動揺したものの、今度はスグルから質問を返された。
「・・・それで言ったらボクも一つ聞きたいんだけど、朱莉ちゃんと凛斗は義理のきょうだいなのかな? あんまり聞いてほしくなければ、答えなくていいんだけど・・・」
それを問われて、俺も「ああ」と返事をした。
そう、朱莉と俺、というか光莉と陸斗もそうだが、その三人は血が繋がってない。
母さんは一度離婚をしたのちに再婚をしていて、その父さんとの間にできたのが今の三男と三女だ。
だから俺の家の事情はかなり複雑だ。
俺は母さんと一人目の夫との間にできた子供。
朱莉と光莉と陸斗は二人目の夫の連れ子で、三男と三女はこの二人目の夫と母さんの間にできた子供なのだ。
「でもそうは言っても、全員大切な家族であることに変わりはないよ。血が繋がってるかどうかなんて、何の関係もない」
俺は実際そう思っている。
血縁関係はないかもしれなくても、俺からすればきょうだい全員が等しく大切な存在だ。
「・・・なんか、凛斗って思ったより人たらし?」
スグルに微妙な目をされて、思わず首をかしげる。
「人たらし・・? そうかな?」
「・・・その反応もぽい感じするかもなぁ」
スグルはまるでからかうように俺の顔の周りをじろじろ眺めて、それからくすくすと笑う。
「なんだか、安藤家は思ったより面白そうな家ですな~」
銀色の髪をなびかせて、スグルはリビングの中央へ去っていく。
面白そうな家、とはどういうことなのだろうか。
興味を持ってくれたと言う事ならよいけれども。
だがひとまずはスグルが寝る部屋の準備をして、きょうだいたちを順番に風呂に入れていく。
光莉が下のきょうだいを風呂に入れている間に、スグルはリビングで陸斗と遊んでいた。
「陸斗はパズルが上手なんだねえ」
陸斗が机の上に散らばしているパズルに目をやり、スグルは興味深そうにうなずいた。
「じょうずじゃないよ~! 全然できないんだもん!」
しかし陸斗は頬を膨らませてスグルの方を振り返った。
実際、机の上のパズルはまだまだ完成する様子もなさそうだ。
「そうかぁ、じゃあボクがやってあげようか?」
「ほんとう? でも、むずかしいよ?」
パズルを代わりにやってあげようかと提案したスグルに、陸斗はぽかんとしたまま首を傾げた。
おそらく彼からすれば相当に難しいパズルなのだろう。
しかしスグルはさっと腕まくりをした。
「ふふん、問題ないよ。僕にかかれば、こんなパズルなんて一瞬さ」
「じゃ、じゃあ、やってみて!」
陸斗は目を輝かせ、パズルをスグルに譲った。
スグルは机の前に座り込むと、目にもとまらぬ速さで両手を動かしていく。
そしてまばたきを一回したかしないかの時間の間に、そのパズルは完成してしまっていた。
「えー! スグルくんすごーい!」
陸斗はすっかりスグルに魅了されたようで、目いっぱい手を広げて喜んでいる。
子供らしい仕草だ。
一方のスグルはまさにドヤ顔と形容できるような表情を浮かべて、俺の方を振り向いた。
「ふふふ、どうですか、凛斗。びっくりしたかな?」
キメ顔だが、なんだか息が上がっているようにも見える。
「・・・もしかして、スグルって運動苦手だったりする?」
パズル一つで息が上がっている様子に、なんとなくだがそんな気がして尋ねる。
するとスグルは大袈裟なくらい飛び上がった。
「ままま、まさか!」
「反応が怪しすぎるだろ!」
この反応からして、おそらくはスグルの運動神経は良くないのだろう。
「スグルくん、運動苦手なの?」
陸斗に純粋な瞳のまま尋ねられ、スグルは苦い顔をする。
「・・・き、聞かないでおくれ・・・」
さっきは朱莉を質問で困らせていたのに、今度はスグルが困らされているとは、これまた。
というか、本当にさっきの朱莉とスグルのやりとりは何だったのだろうと思う。
義理のきょうだいというワードが出ていただけに、俺としてもあまり看過できない気がする。
もしも朱莉が血縁関係のことを気にしているのなら、そんなものは気にしなくていいと言ってやらなければならないのだから。
朱莉が戻ってきたら、聞いてもいいかなとは思った。




