第8話 TIME本拠地
第8話 TIME本拠地
【本の世界のどこか】
地図にも記されていない場所。
そこには、黒い巨大な城がそびえていた。
城の中心には、十二時を指したまま止まった巨大時計。
まるで。
この場所だけが、世界の時間から取り残されているようだった。
◇ ◇ ◇
城の最上階。
十二の席が並ぶ巨大な円卓。
すべての席に人がいるわけではない。
空席も多い。
集まっている者たちも、顔のほとんどが影に隠されている。
ただ一つ。
左手の甲に刻まれた数字だけが、彼らの立場を示していた。
【1】
【5】
【8】
【10】
【11】
そして。
最奥。
【12】
「報告を」
No.12の一言で、広間が静まり返る。
No.1が前へ出た。
昨日の戦闘で傷ついた左腕には、まだ包帯が巻かれている。
「各地への宣告は完了しました。複数の☆付きアイテムを追跡中です」
「続けろ」
「それと、一件」
No.1が僅かに間を置いた。
「古い羊皮紙を持つ少女と接触しました」
円卓の空気が、ほんの少し変わった。
「少女?」
誰かが聞く。
「幼い人間です。名前は確認していません」
「羊皮紙は?」
「詳細不明。ただし通常の魔導具ではありません」
No.12は黙っていた。
No.1が続ける。
「少女を守っていた三匹のゴブリンと交戦。予想外の力を使われ、負傷しました」
「三匹に?」
別の影が低く尋ねる。
No.1の目が険しくなる。
「三匹は死亡。少女には直接攻撃していません」
トン。
No.12の指が一度だけ、肘掛けを叩いた。
「その少女には手を出すな」
全員の視線が最奥へ集まる。
「……理由は?」
「羊皮紙が本物なら、持ち主を泳がせた方が我々の目的へ近づける」
淡々とした説明。
合理的。
それだけを聞けば。
「必要以上に近づくな。観察に留めろ」
No.1が頷く。
「承知しました」
会議はそのまま進む。
世界各地の秘宝。
古代魔導書。
幻獣。
星付きアイテム。
TIMEは、ありとあらゆる力を集めていた。
「いつまで集める」
円卓の一人が尋ねる。
「俺たちはもう十分強い。それでも足りないのか」
「必要だ」
No.12は即答した。
「何のために?」
少しの沈黙。
そして。
「取り戻すためだ」
「何を?」
No.12は答えない。
ただ円卓を見渡す。
「お前たちも同じだろう」
誰も否定しなかった。
失ったもの。
奪われたもの。
捨てられなかったもの。
理由は違う。
それでも。
その全員が。
ここにいる。
「TIMEは、過去を嘆くための組織ではない」
No.12は止まった巨大時計を見上げた。
「奪われた時間を、取り戻すための組織だ」
◇ ◇ ◇
会議が終わる。
構成員たちが、一人ずつ闇へ消えていく。
やがて。
広大な円卓には、No.12だけが残った。
彼はしばらく。
No.1が置いていった報告書を見ていた。
『古い羊皮紙を持つ少女』
名前はない。
年齢も詳しくない。
それなのに。
何故か。
その紙を捨てられなかった。
止まった時計は。
今日も。
十二時を指していた。
あとがき
初期TIME会議は、あえて番号と雰囲気だけ。No.8、No.10、No.11の正体や能力は、それぞれ本格登場する回まで伏せます。
お読みいただきありがとうございます!
初期TIME会議は、あえて番号と雰囲気だけ。No.8、No.10、No.11の正体や能力は、それぞれ本格登場する回まで伏せます。




