第29話 女神セレスティアと2つの願い
《聖なるマップ》が、眩しいほどの光を放った。
「――あなたが、聖なるマップを持つ者ですね」
氷の中にいる女性の声が、今度ははっきり聞こえた。
私は動けなかった。
長い銀白の髪に、透き通るような青い瞳。巨大な氷に閉じ込められているというのに、その表情には苦しんでいる様子がない。
ただ静かに。
ずっと私を待っていたような目で、こちらを見つめている。
「私のこと……知ってるんですか?」
女性はすぐには答えなかった。
代わりに、その視線が私の持つ《聖なるマップ》へ落ちる。
「その地図を持つ者が、いつかここへ来ることは知っていました」
「じゃあ、私自身を知ってるわけじゃない?」
「……はい」
胸の奥に生まれかけていた期待が、少しだけ萎んだ。
でも。
それでいい。
メビウス村でも学んだ。
自分がそうであってほしいと思うことと、本当のことは同じじゃない。
「フール」
オラクルが隣から声をかけてくる。
「決めつけんなよ」
「うん。分かってる」
私はもう一度、氷の女性を見る。
《聖なるマップ》には新しい表示が現れていた。
【UNKNOWN ENTITY】
【生命反応:あり】
【状態:時間凍結】
【解除条件:解析中】
その下には警告。
【CAUTION】
【外部からの強制破壊を推奨しません】
「やっぱり壊しちゃ駄目なんだ」
昼間、ガルドから聞いた話を思い出す。
青い氷へ炎を当てた男は、右腕だけが老人のようになった。
この巨大な氷も同じなら、下手に壊した時に女性へ何が起こるか分からない。
「メリー」
「うん」
肩にいるメリーへ尋ねる。
「この人、助けられそう?」
メリーは氷をじっと見つめた。
しばらくして、小さな手を前へ伸ばす。
でも、触れない。
慎重に。
氷の周囲へ魔力を広げていく。
「……いっぱい絡まってる」
「何が?」
「時間」
メリーが眉を寄せた。
「この人だけ、ずっと昔にいる。でも身体は今にもある」
分かるような。
分からないような。
オラクルが頭を掻く。
「つまり普通に氷割ったらヤバいってことだけ覚えときゃいいか」
「たぶん」
「雑!」
でも、今はそれしかない。
その時。
女性の青い瞳がメリーへ向いた。
「精霊……」
メリーも女性を見る。
「あなたも精霊?」
女性は少しだけ微笑んだ。
「そう呼ばれていた時もありました」
「今は?」
「人々は私を――女神と呼びます」
私は目を丸くした。
「女神様!?」
オラクルも僅かに眉を上げる。
「本物か?」
「その問いに答えるのは難しいですね」
女性の微笑みが少し深くなった。
「神であるかどうかは、呼ぶ者によって変わりますから」
何だか難しい。
でも。
名前くらいは聞ける。
「あなたの名前は?」
女性は静かに答えた。
「セレスティア」
《聖なるマップ》が反応した。
【ENTITY UPDATED】
【セレスティア】
【グラティスに封じられた女神】
名前が表示された。
「セレスティアさん……」
私は氷へ一歩近づく。
「どうしてここに閉じ込められてるんですか?」
セレスティアの表情から笑みが消えた。
「封じられたからです」
「誰に?」
沈黙。
でも。
私はもう見ている。
青い氷が映した過去。
時計の紋章を持つ黒衣の人物。
精霊たちを閉じ込めた魔物。
そして、セレスティア自身が氷へ封じられる瞬間。
「TIMEですか?」
セレスティアの青い瞳が僅かに揺れた。
それだけで。
少なくとも無関係ではないと分かった。
「……その名を、あなたはどこで?」
「ずっと追ってるんです」
「なぜ?」
私は一瞬迷った。
でも。
「お父さんとお母さんに関係してるかもしれないから」
セレスティアが黙る。
その反応を見て、胸が高鳴った。
「もしかして、何か知ってるんですか?」
「フール」
またオラクル。
分かってる。
期待だけで先走らない。
それでも。
「お願いします。何か知ってるなら教えてください」
セレスティアは長い間、私を見つめていた。
やがて。
「今の私には、あなたへ答えることができません」
「どうして?」
「この氷は、身体だけを封じているのではありません。私が持つ力も、記憶も、時間の大半も凍結しています」
「じゃあ……」
「私をここから解放できれば、話せることもあるでしょう」
それなら。
やることは決まった。
「どうすれば助けられるんですか?」
セレスティアが目を閉じる。
「この山に閉じ込められた精霊たちを、ここへ」
「精霊たちを?」
「彼らの力は奪われています。しかし、完全に失われたわけではありません。あなたたちがここへ来るまでに通った氷の中にも、多くの精霊がいるはずです」
メリーが頷いた。
「いっぱいいた」
「彼らの声を繋いでください」
「繋ぐ?」
セレスティアがメリーを見る。
「あなたならできます」
メリーは自分を指差した。
「メリー?」
「はい」
珍しく。
メリーが緊張した顔をした。
「……できるかな」
私は肩にいるメリーへ指を差し出す。
「一人でやらなくていいよ」
メリーが私を見る。
「私たちもいるから」
「俺、精霊魔法なんか使えねぇぞ」
「気持ちの話!」
「最初からそう言え!」
セレスティアが小さく笑った。
その笑顔を見て。
少しだけ。
大丈夫な気がした。
◇ ◇ ◇
私たちは巨大な氷塊の前へ並んだ。
メリーが空中へ飛ぶ。
「どうすればいい?」
「山に残る精霊たちへ呼びかけてください」
セレスティアの声。
「帰る場所はまだある、と」
メリーは目を閉じた。
小さな両手を胸の前で合わせる。
淡い桜色の光が身体を包む。
「……みんな」
声は小さい。
吹雪さえない静かな山頂で。
その声だけが響く。
「聞こえる?」
返事はない。
「メリー、帰ってきたよ」
私は黙って見守った。
「塔もある。お母さんもいる。みんなも待ってる」
桜色の光が広がっていく。
山頂から。
斜面へ。
もっと遠く。
私たちが通ってきた青い氷の方角へ。
「だから」
メリーの声が少し震えた。
「帰ろう」
一瞬。
何も起きなかった。
でも。
遠く。
山の中腹で。
一つの光が灯った。
「あ……」
さらに。
もう一つ。
また一つ。
青い氷に閉じ込められていた精霊たちの光。
それらが山中で次々と輝き始める。
《聖なるマップ》にも変化が起きた。
【精霊反応――共鳴開始】
無数の光が。
地図上で。
一本の道を作る。
全部。
山頂へ向かっている。
「メリー!」
「うん!」
メリーの身体から溢れる光が、さらに強くなる。
山が震えた。
ゴゴゴゴゴ……。
青い氷に。
亀裂が走る。
一つ。
二つ。
何十。
何百。
山中の氷から、色とりどりの光が飛び出した。
精霊たちだ。
赤。
青。
緑。
金。
無数の光が夜空へ舞い上がり。
星のように。
グラティスの山頂へ集まってくる。
「すごい……」
私は見上げた。
精霊たちが。
巨大な氷塊の周囲を飛び始める。
円を描くように。
一周。
二周。
そして。
一斉に光を放った。
パキッ――。
セレスティアを閉じ込めていた氷に、一本の亀裂が入る。
今度は。
時間を乱すような嫌な感じがしない。
パキッ。
パキパキパキ――。
亀裂が広がる。
「離れろ!」
オラクルの声。
私たちは数歩下がった。
次の瞬間。
巨大な氷が。
眩しい光とともに――砕け散った。
◇ ◇ ◇
青い光が雪山いっぱいに舞った。
その中央。
セレスティアの身体が、ゆっくり地面へ降りてくる。
長い銀白の髪が風に揺れた。
白い足が雪へ触れる。
氷の中にいた時には分からなかった。
背中には。
透き通るような大きな翼があった。
セレスティアが目を開く。
そして。
私たちを見た。
「ありがとう」
声が。
もう氷越しじゃない。
「あなたたちのおかげで、長い眠りから解放されました」
メリーの周囲には、助け出された精霊たちが集まっている。
「よかった……」
メリーが笑った。
私はその頭を指先で撫でる。
「メリーが頑張ったからだよ」
「フールもいた」
「俺は?」
オラクルが聞く。
メリーは少し考える。
「……いた」
「扱い!」
思わず笑った。
でも。
その直後。
《聖なるマップ》が強く光った。
【???】
表示が。
変化する。
【IDENTIFICATION COMPLETE】
私は息を呑んだ。
セレスティアの手元。
そこに。
淡い光が集まり始めている。
「待って」
セレスティアが私を見る。
「あなたたちは私を解放してくれました」
「はい」
「その礼として」
彼女は両手を胸の前で重ねた。
「願いを二つだけ、叶えましょう」
「……え?」
願い。
二つ。
頭の中が一瞬でいっぱいになった。
お父さんはどこ?
お母さんはどこ?
二人はどんな人?
TIMEって何?
地図を持っていた男は誰?
聞きたいことが。
山ほどある。
「二つ……」
何を願えばいい?
迷った。
その時だった。
肩に戻ってきたメリーが、《聖なるマップ》を覗き込んだ。
そして。
目を大きくした。
「フール」
「何?」
「出た」
「え?」
地図を見る。
今までずっと。
【???】
だった場所。
そこに。
初めて名前が表示されていた。
【古の目覚めの笛】
私は息を呑んだ。
「これが……」
四つの【???】の一つ。
ずっと追ってきたもの。
セレスティアが静かに微笑む。
「望むものを」
私は。
もう迷わなかった。
「一つ目の願い」
セレスティアを見る。
「《古の目覚めの笛》をください!」
セレスティアが右手を差し出した。
「分かりました」
掌の上に。
光が集まる。
白。
青。
金。
眩い光が一つの形へ変わっていく。
そして。
現れた。
古い意匠が刻まれた、美しい笛。
《聖なるマップ》が強く輝く。
【??? IDENTIFIED】
【《古の目覚めの笛》】
「……やった」
胸が熱くなった。
ついに。
一つ目。
セレスティアの手から、笛がゆっくり雪の上へ降りてくる。
「フール!」
メリーが嬉しそうに飛び出した。
「うん!」
私も一歩踏み出す。
あと少し。
手を伸ばせば。
届く。
その瞬間だった。
背後から。
空気そのものが爆発した。
ドゴォォォォォォン――ッ!!
「――っ!?」
何が起きたのか。
分からなかった。
熱。
衝撃。
轟音。
身体が浮く。
雪原を何度も転がり。
背中から氷へ叩きつけられた。
「がっ……!」
息ができない。
全身が痛い。
耳鳴り。
視界が揺れる。
「オラクル……メリー……!」
顔を上げる。
オラクルも離れた場所へ吹き飛ばされ、雪の上に血を落としていた。
メリーは。
「メリー!」
小さな身体が雪の上に倒れている。
羽の一枚が傷つき。
動かない。
「メリー!!」
這ってでも近づこうとする。
その時。
雪を踏む音がした。
ザク。
ザク。
白煙の向こう。
一人の男が歩いてくる。
大柄な身体。
黒い衣服。
背中には。
身の丈ほどもある巨大な大剣。
その刀身を見た瞬間。
《聖なるマップ》が警告を表示した。
【WARNING】
【☆4反応】
【《幻神の剣オベリスク》】
男が立ち止まった。
そして。
ゆっくりと左手を上げる。
手の甲。
そこに刻まれた数字は――。
【10】
「……TIME」
私は痛みに耐えながら呟いた。
男は答えない。
ただ。
雪の上に落ちた《古の目覚めの笛》へ視線を向ける。
そして。
初めて口を開いた。
「それを渡せ」
TIME No.10
爆発の衝撃に吹き飛ばされ、私は雪原を何度も転がった。
背中から硬い氷へ叩きつけられた瞬間、肺の中の空気が一気に押し出される。何が起きたのか理解するより先に全身へ激痛が走り、起き上がろうとしても腕にまともな力が入らなかった。
「……オラクル……メリー……!」
霞む視界の中で二人を探す。
オラクルは私から少し離れた場所に倒れていた。額から流れた血が白い雪へ赤い染みを作り、左腕を押さえながら苦しそうに身体を起こそうとしている。
そしてメリーは、《古の目覚めの笛》まであと少しという場所で倒れていた。
「メリー!」
小さな身体は雪の上へ投げ出され、四枚の羽の一枚が傷ついている。それでも私の声が届いたのか、メリーの指が僅かに動いた。
「……フール……」
「よかった……!」
生きている。
でも、安心している場合じゃない。
メリーのすぐ先には、セレスティアが一つ目の願いによって出現させた《古の目覚めの笛》が落ちている。
まだ誰も触れていない。
当然――私たちのものにもなっていない。
その向こうで、爆発によって巻き上がった雪煙がゆっくり晴れていった。
ザクッ。
雪を踏む音。
ザクッ、ザクッと一定の間隔で、誰かがこちらへ歩いてくる。
やがて白煙の向こうから姿を現したのは、大柄な男だった。
黒を基調とした衣服に、身の丈ほどもある巨大な大剣。その男が一歩近づくだけで、空気そのものが重くなったように感じる。
そして何より。
左手の甲。
そこに刻まれている数字を見た瞬間、私は息を呑んだ。
【10】
「……TIME」
声が震えた。
間違いない。
以前にも見たことがある。
左手の甲へ刻まれた番号。
時計を思わせる意匠。
私たちが追っている組織――TIME。
けれど。
「じゅ……10番……?」
オラクルの声が聞こえた。
いつもの軽い調子じゃない。
雪の上へ片膝をついたまま、男を見上げるオラクルの顔には明らかな緊張が浮かんでいた。
「おい、フール……冗談じゃねぇぞ」
「オラクル……?」
「前に会った1番とは比較にならねぇ。あいつは……本物の化け物だ」
背筋が冷たくなった。
No.1。
私たちが以前遭遇したTIMEの構成員。
あの時だって、簡単な相手ではなかった。
なのに。
目の前にいるNo.10は。
その比じゃない。
それは説明されなくても分かった。
たった一撃。
たった一度の攻撃だけで、私もオラクルもメリーもまともに動けないほどの傷を負わされた。
もし。
今の攻撃が本気じゃなかったとしたら――。
考えたくもなかった。
「メリー……」
私は歯を食いしばり、腕へ力を込める。
動け。
少しでいい。
メリーのところまで。
「フール、動くな……!」
オラクルが止める。
「でも、メリーが!」
「分かってる! けど今あいつの前で動いたら――」
男が背中へ手を伸ばした。
ガシャン。
重い金属音とともに、巨大な大剣が引き抜かれる。
その瞬間。
《聖なるマップ》が激しく震えた。
鞄の中から光が漏れ、警告が表示される。
【WARNING】
【高位武装反応】
【☆4《幻神の剣オベリスク》】
「☆4……?」
今まで見てきた武器とは、明らかに格が違う。
黒銀の巨大な刀身には複雑な紋様が刻まれ、剣そのものから押し潰されそうな魔力が溢れている。
No.10は《オベリスク》を片手で構えた。
そして。
私たちではなく。
雪の上に落ちている《古の目覚めの笛》へ視線を向けた。
「……それが目的?」
私は聞いた。
返事はない。
男は笛へ向かって歩き始める。
「待って……!」
身体を起こそうとする。
駄目。
力が入らない。
「それは……!」
やっと見つけたんだ。
四つある【???】の一つ。
精霊たちが探していた。
私たちも、ここまで追いかけてきた。
なのに。
手を伸ばせば届きそうな場所にあるのに。
身体が動かない。
「フール……!」
メリーも必死に起き上がろうとしていた。
傷ついた羽を動かそうとするたび、小さな顔が苦痛に歪む。
「メリー、動いちゃ駄目!」
「でも……笛……」
「いいから!」
メリーまで傷つくのは嫌だ。
いや。
もう十分傷ついている。
No.10の男は、そんな私たちを気にする様子もなく歩き続ける。
そして。
「さあ」
静かな声が聞こえた。
セレスティア。
彼女だけは、こちらを真っ直ぐ見ていた。
「あと一つです」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「……え?」
「あなたには、もう一つ願いが残っています」
願い。
そうだ。
セレスティアは言った。
二つだけ、願いを叶えると。
一つ目は使った。
《古の目覚めの笛》を出してほしい。
その願いによって。
笛は今、雪の上にある。
そして。
二つ目。
まだ残っている。
「願い……」
頭の中に、いくつもの言葉が浮かんだ。
お父さんとお母さんの居場所を教えて。
二人が何をしているのか教えて。
TIMEの正体を教えて。
目の前の男を倒して。
《古の目覚めの笛》を私たちに渡して。
全部。
願いたい。
全部、欲しい。
でも。
その時。
「……っ」
オラクルが血を吐いた。
「オラクル!」
身体を支えていた腕から力が抜け、雪へ倒れ込む。
メリーも。
「フール……」
小さな身体を震わせている。
傷ついた羽。
雪へ落ちた血。
二人とも。
もう戦える状態じゃない。
私は自分の身体を見る。
私も同じだ。
次に攻撃されたら。
たぶん。
終わる。
No.10が《オベリスク》を持ち上げた。
その視線が。
初めて。
私たちへ向いた。
「TIMEの邪魔をする者は消す」
低い声。
それだけだった。
剣が振り上げられる。
逃げられない。
避けられない。
戦えない。
私はオラクルを見る。
メリーを見る。
そして。
二人目の願いを決めた。
お父さん。
お母さん。
ごめん。
また。
聞けなかった。
でも。
今は――。
「女神様!!」
喉が痛むほど叫んだ。
セレスティアが私を見る。
No.10の巨大な剣が振り下ろされる。
「私たちを――」
オラクルが顔を上げる。
メリーも私を見る。
「安全な場所に逃がして!!」
セレスティアの青い瞳が強く輝いた。
「その願い――聞き届けました」
次の瞬間。
世界が白く染まった。
No.10の《オベリスク》が振り抜かれ、私たちがいた雪原を叩き割る。
ドォォォォォン――!!
凄まじい轟音。
でも。
その音は。
急速に遠ざかっていった。
身体が温かな光に包まれる。
痛みも。
寒さも。
吹雪も。
全部が遠ざかる。
「オラクル……!」
光の中。
見えた。
オラクルもいる。
「メリー!」
メリーも。
ちゃんといる。
二人とも。
一緒だ。
それだけ確認できた瞬間。
身体から力が抜けた。
そして最後に。
私は見た。
雪の上。
セレスティアが出現させた――《古の目覚めの笛》。
そこへ。
No.10がゆっくり歩いていく姿を。
手を伸ばしたかった。
でも。
もう。
届かない。
視界が白く染まり。
グラティス山頂が消える。
私たちは。
《古の目覚めの笛》を手に入れることができないまま――。
雪山から転移した。
今回は、グラティス編の大きな転換点です。
女神セレスティアを目覚めさせたフールたちは、二つの願いを与えられました。一つ目の願いで、四つの【???】の一つ――**《古の目覚めの笛》**がついに姿を現します。
しかし、フールが受け取る直前にTIME No.10が強襲。
フール、オラクル、メリーの三人がかりでもほとんど何もできず、全員が重傷を負いました。
そして、最後に残った一つの願い。
笛を取り返すことでも、敵を倒すことでもなく、フールが選んだのは――
「私たちを安全な場所に逃がして」
という願いでした。
命は救われたものの、《古の目覚めの笛》はTIMEの手へ。
初めて【???】の正体を突き止めながら、手にすることができなかったフールたち。ここでNo.10との圧倒的な実力差もはっきりしました。
次の舞台は――ゴブリン王国です。




