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俺(仮)のコンプレックスのはなし聞く?  作者: 元会長リーマン


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--第2章-- 隣のオタクはイタイ

深美の事を気にかけながら過ごしていく中で、渚は彼女に手を差し伸べる必要は無いんじゃないかと思い始めていた。

それでも、やけに深美を気にかけている青島に誘われ3人で話す事になった渚達。

そんな中、またしても"あの人"によって3人の話は思わぬ方向へ進んでいき、、

新たな「活動」が始まる事に、、、?


登場人物

渚の友人グループ

主人公:三波間(ミハマ) (ナギサ)

青島(アオシマ) 加奈(カナ)

児島(コジマ) 有志(ユウシ)

渡口(トグチ) 亜美(アミ)

(イズミ) 寛也(ヒロヤ)


渚のクラスメイト

深美(フカミ) 美海(ミウ)


渚の担任教師

(カオル)


「三波間さん、おはようございます」


急に側から声を掛けられてハッとなる。


声がした方に目をやると、深美が笑顔で立っていた。


「ふぁ~~~~!あっ深美さんおはよう」

俺は窓を見て、大きいあくびと伸びで声にならない声を上げた。


週明けはいつもこうだ。

日曜は部活も無い。夕方から夜中まで俺の花園タイムである。

昨日は【らぶりぃらいふぅ】の第2話を観た後、寝ようか迷った挙句、

もうすぐアニメ版2期が始まる作品の1期おさらいの巻。

を繰り広げていた。


深美「寝不足ですか?」

「ちょっとね。友達と遅くまで遊んじゃって」

2次元の、ね?


深美「そーなんですね。青島さんや児島さん達とですか?」

「いやっ、まぁ別の友達だよ」

変な嘘をついて話がややこしくなっても困る。


「それで、朝変に早く起きてしまって。二度寝したら確実に遅刻するかもと思っていつもより早く家を出たんだ」

深美「なるほど!それでいつもより早く登校されたんですね」

「そう。てか深美さん敬語!もうそろそろやめてよ」

彼女は少し俯いて難しい表情をした。


深美「うん、、、いやなぜか自然と敬語になってしまいます。やはり現実の方とお話しする時は少し自分に蓋をしてしまいますね」

俺も良く分かる気持ちだ。俺もリアルで友達と話すときは言葉使いなど結構意識してしまう。

深美のそれとは違うが。


深美は純粋に2次元を愛し、純粋にリアルを「苦手」としている。

裏表のない、真実の表れだ。


俺の場合はただの嘘、創り物だ。深美の気持ちは分かるが、理解者として振る舞う資格は俺には無い。


「蓋、か。」

深美がリアルそっちのけで夢中になっている事を俺は堂々と「好き」と言えない。

急に襲い掛かってきた深美への罪悪感をかき消すように俺は言葉を繋げる。


「ごめん。やっぱりそのままでもいいんじゃないかな」

深美「なんで謝るんですか?」

「いや敬語をやめてとか。もっと気軽にとか。そーゆうの人に言われて変える事じゃないと思うし、それで変えたら深美さんが深美さんらしくない気がしてさ」

深美は少しキョトンとしていた。


深美「私らしいって何でしょうか?人から言われたことが無く、自分でも言葉にするのが難しくて」

「うーん、、なんて言うんだろう」

この男 (俺)は何を言っているのだろうか。

まだ1週間ちょっとしか関わりのない女子に、「らしさ」を語るとは、、、

何を分かった気になっていたんだ、、、ごめん少しキモイよね?


「出会ってまだ1週間でこんな事言うのは変かもしれないけど」

俺はしっかり前置きを入れつつ、深美の表情を伺いながら言葉を続けた。


「深美さんってリアルな人と話すのが苦手ってちゃんと素直に言うじゃん」

深美「それが何か?」

「その上で助けを求めるわけでも無く、私は私。って感じで、変にカッコつけずに過ごしてるように見えてさ。それが堂々としてて、カッコいいっていうか、、」

深美「カッコいい、、、」


-----


深美が転校してきてから、かれこれ1週間程経った。

クラスでたまに女子から話しかけられていたが、あまり上手く話せてはいなかった。


昨日の昼休みも、深美と女子が何か話していたが、

深美の席から離れていく2人組の女子はなにかクスクス笑いながら、小声で話していた。

普通の高校生だと、それなりに察する場面ではあった。

話しかけようかと深美の方に目線を戻すと、深美は2人組を目で追う事もせず、鞄から取り出したライトノベルを読んでいた。


明らかに普通のミステリー小説などでは無い事が分かる、派手なイラストが見える表紙カバーを外す事も無く。

強がりではない。時折ニヤけてるし。

苦手な事は苦手、でも彼女は恥ずかしいを理由に嘘をつかない。

そんな深美の行動の数々をこの1週間で目にして来た。


-----


「苦手とか、恥ずかしいとか、マイナスの感情じゃなく『好き』のプラスの感情で生きてる深美さんが良いと思う」


深美「、、、そーやって言われたの初めてです、、」


俺は何を言ってるの?深美ルートを攻略しようとしてるの?

急にとてつもなく恥ずかしくなってきた。


深美の方を見れず、窓を見ていた。

そう、外では無く窓を見ていた。外の景色なんか目に入って来てない。


「その、なんだ、とりあえず、、深美さんのタイミングで何かあったら相談して」


深美「なんだか恥ずかしいですね、、、あっこれはマイナスの感情ですか?」

チラッと彼女を見ると、少し照れ笑いしながらいつの間にか俺の顔を覗き込むように近づいていた。


フワッと香る柔軟剤の匂い。

こーゆう女子の匂いは、加奈や渡口などのおかげて慣れてるつもりだったが、不覚にもドキッとしてしまった。


深美「私の事、結構見てたんですね?」

「いやっそれは、、、」


深美「冗談です。ありがとう、、、ございます。三波間君」

「お礼を言われる事はなにもしてないよ」

深美「いえ。言葉にするのって難しいんです。私が良く分かります。それを先程の様にちゃんと伝えてくれるのは嬉しかったです」


なぜかは分からないが、少し深美との距離が近づいた気がした。


亜美「たしかに顔は可愛いけどさ、、アレは、、」

加奈「、、、でもさー、結構見てるんだよね~」


廊下の方で、加奈と渡口の会話が聞こえてきた。


深美「三波間君、眠いと思いますが居眠りしないよう頑張ってください。それじゃ」

「お、おう、、」

深美は足早に自分の席の方へ去っていった。


気づけばちらほらクラスメイトも登校して来ていた。

俺は朝のホームルームまで、少しでも仮眠を取ろうと机に突っ伏した。

まあ、有志が来たらすぐに起こされるんだが、、、。


-----


亜美「はぁマジでお腹空いた~。やっと昼だわ」

有志「おい渚!購買行こうぜ!」

野球しようぜ!みたいに言うな。


お昼は大体購買で済ませている。

俺的には弁当をガッツリ食べたい所だが、両親も共働きで忙しい上に、どうしてもまだ小学生の妹の事が優先だ。

勿論自分で作るなんて行動力は持ち合わせていない。


加奈「アタシと亜美はいつもの場所先行っとくねー!」

亜美「男子早く来いよ~」

男子一同「うーっす」


有志「さて、俺らも行きますか」

教室から出ようと廊下に向けて歩いていると深美と目が合い、笑顔で何か会釈のようなものをされた。

なんだ今の不自然な動きは?首が凝っているのか?


寛也「てかさ、最近深美さんはどーなの?」

「あー。まあ一応大丈夫かな。クラスでは1人だけど、そこに変に干渉する必要も無い人だと思う」

有志「そーいえば今日の朝2人で話してたんだろ?」

なんでコイツ知ってんの?って顔をしていたんだろう。有志は続けて口を開く。


有志「加奈が言ってたんだよw 深美が笑顔でお前の席から離れて行ってたんだって」

朝の廊下からの2人の声は思っていたより近かったらしい。


「お前が言いたい事は分かってる。それはねーよ」

有志「ふーん。でも俺はまだ深美の笑顔見た事ねーし!」

「うっせーなー。お前みたいな奴が深美に絡んだら、それこそ現実に戻ってこなくなるぞ」

有志「ひどっ!!」


寛也「青島も手伝ってるんだろ?」

「まあ一応な。でも特別俺たちが何かしてやってる事はないぞ」

まあ加奈の場合は、あからさまに話しかけになどは行きづらいだろう。

渡口は明らかに深美に対して拒否反応を示しているし、無理に話しかけたりして2人の板挟みになっても良くない。


有志「加奈がどう思ってるかだよなーw」

「そーだな。渡口は学校でも目立つしな」

有志「いや違うって、お前の事だよ」

「はぁ?」


コイツとは中学からの腐れ縁だ。

基本はいつもヘラヘラしてるが、たまにこーやってしっかり俺の目を見て話す時がある。


「急になんだよ」

有志「まあ今はまだいいや。とりあえず、もう少し俺は楽しませて貰いますww」


なんだコイツは。まあ中学の頃からずっと「なんだコイツは」と思っていたし今更深堀する事では無い。

そんな事より俺は、長く連れ添って来てくれた焼きそばパンなのか、新商品のカツサンドなのか。

今日のお昼を共にするヒロインを決めなければいけないのだ。


‐‐‐‐‐


香先生「三波間くーん三波間渚くーん」

はいはい。聞こえてますよ。


俺は手招きされた廊下の方へ重たい足を運んだ。

「加奈、悪い。ちょっといいか?」


どうせ深美の件のはずだ。

渡口と盛り上がってる所申し訳ないが、俺は加奈にも声を掛けた。


加奈「う、うんっ」


香先生は俺の顔を見るなり敬礼していた。


加奈「あのー、、何してるんですか?」

俺の後に続いて小走りできた加奈は状況が掴めていない。

いやホントに何してるんですか?


香先生「なんで青島が?」

「俺の事呼んだの深美の件ですよね?青島も協力してくれる事になったので」

香先生「なんだそーゆう事か!ありがとな、青島」

加奈「いえ別に、大した事は何もしていないですし、、」

いつまで敬礼してるんですか?


香先生「深美の様子はどうだ?」

「なんていうか、深美と2人で話したりもしたんですが、無理にみんなの輪の中にって言うよりは、深美のペースを尊重した方がいいかと」


香先生「そうか」

「はい。彼女自身がそう望んでいる気がします」

加奈「そーだね。特に困ってる様子は無さそう、、だけど、」

香先生「だけど?」

加奈「困ってはいないけど、楽しんでもいない気がします」

まあ、それはそうだよな。


転校初日のあの奇行。

あれ以来、深美はああゆう姿を見せていない。


香先生「ふむ。なるほどな」

加奈「何か、深美さんにとって余計なお世話にならない程度でいいので、楽しめる空間とか、環境って作れないですかね?」

加奈はやけに心配していた。

やはり渡口の事が気がかりなのか?


香先生「そーゆう事なら、3人で話してみたらどうだ?」

「え~、、もういいんじゃ」

加奈「そーですね!聞いてみます、、!今日は月曜だから、、渚も部活無いよね?」

部活は無いが、2人とも俺の帰宅時間とか考慮しないんだ?

かなりのブラック企業だな、、、。


「無いけど、、」


香先生「なら、決まりだな!B棟の空き教室、良かったら使っていいぞ」

「え~、、、」

加奈「はい!ありがとうございます!」

香先生は上機嫌で職員室へ向かって行った。


「話すって、、何か提案とかあるのか?」

加奈「ん~、、、まだ何も浮かんでないけど、、」

「やけに深美の事気にかけてるよな。加奈もああいうタイプの女子は苦手だと勝手に思ってた」

加奈「なんかほっとけない、、っていうかさ、、」

加奈は香先生から借りた空き教室の鍵を指で回しながら、苦笑いしていた。


「そうか。俺は助かるからいいんだけどさ。とりあえず、渡口に何か一言声かけて来いよ。加奈の事待ってるだろ?俺は深美に声かけてくるから」

俺はあまり深くは聞かなかった。


加奈「う、うん!先行ってて!」


-----


深美「どこへ行くんですか?」

B棟へ続く渡り廊下は静かで、深美の控えめな声が響いている。

「深美さん、加奈と話した事ある?」

深美「さぁ、、挨拶くらいですかね?」

「深美さんと仲良くなりたいみたいでさ、紹介してもいいかな?」

深美「そーゆう事なら構いませんが、青島さんは私とは違うタイプな気がします」

「違うタイプも案外良いと思うよ?それに、加奈は自分の価値観と違うからってその人を否定するような事はしないよ」

深美「んー、、。まぁ三波間君が言うならいいですけど」

思ってたより信頼されてて良かったです。


空き教室に入ると、しばらく使っていない部屋の独特なこもった匂いがした。


「少し換気するか」

深美「そーですね」


窓を開けながら、やけに物音がうるさいのが気になり深美の方を振り返ると、なぜか机の上に立って高窓まで開けようとしていた。


「おいおい。机も埃被ってるし、滑るとあぶないぞ」

一応あなたJKでしょ?スカートとか気にしなさいよ、、男の子ですよ僕。


深美「大丈夫です!着地には自信がありますので」

「いや着地は落ちた時にするものだ。普通に降りてくれ」

深美「ほらっ!開きましたよ!」

分かったから、ドヤ顔で仁王立ちして無いで早く降りてくれないかな?


ガタンッ!

急に強風が吹き深美が体勢を崩した。


「あぶないっ!」

深美「ひゃっ!」


とっさに俺は深美をお姫様抱っこしていた。


「大丈夫か?」

深美「すっすみません、、!」

「ほら、だから言っただろ~。はぁ、、まったく。どこかに座るか?」

深美「大丈夫です。あの、、それより、、早くおろしていただけませんか?その、、お尻に手が当たってます」

おっと俺はなんて事をしてしまったんだ。

おしりあい程度の女子のおしりを触ってしまうなんて、、ギャルゲーの世界に迷い込んだのか?


俺は急いで深美をその場に降ろした。

「すっ、すまん。これはとっさに、、」

深美「いいえ、、危ないことをした私が悪いので、、こちらこそすみません」


深美を降ろして、膝をついたまま顔を上げると、深美の顔が目の前にあった。


「っ、、、」

深美の顔がとてつもなく赤い。俺も自分の顔の温度が上がっている事は分かる。


ガラガラッ!

加奈「ごめーん!遅くなっ、、、た、、!?」


深美と俺はお互い渾身のバックステップで必要以上の距離を空けた。


-----


3つ向かい合わせで並べた机は、俺と深美だけ少し距離を空けていた。


「、、、、」


加奈「あの~一応確認なんだけど、深美さん、この男に何か変な事された?」

なぜ一発目の質問で犯人になっている。


深美「ち、違います!私が転んで、三波間君は助けてくれたんです」

「そーだそーだ!アクシデントだ。疑いをかけるのはやめろ」


加奈「そっか!ならよかった。最後にもう一つ質問!」

加奈は俺と深美を交互に見た。


加奈「2人ってもしかして付き合ってたりする、、?」

深美「ちちちち、違います!」

「おい。なに言いだすんだよお前は、そんな事よりもっと大事な話しあるでしょ」

加奈がハッとする。


加奈「それもそうだ!深美さんにもわざわざ時間取ってもらってるし」

深美「は、はい、、なんでしょうか、、」

深美はもう既に力尽きそうだが、構わず加奈は全力笑顔で話を続ける。


加奈「深美さんって学校楽しい?」

深美「楽しい、、と感じた事はないですね。それが何か?」

そーなんだ。そもそも深美は学校を『楽しむ』場所として捉えていない。

だからこそ、俺達が何か提案するのは違う気がしていた。


加奈「なにか困ってること無いかなって思って。渚と3人で話してみたくてさ。アタシも深美さんの事もっと知りたいし!」

深美「別に困っては無いです。私の何を知りたいんですか?」

加奈「何をって言われると難しいな~」

深美「知りたいけど何を知りたいかは分からない、、不思議な方ですね」

会話が全然かみ合っていない。


香先生「入るぞー!」

全ての元凶の人物が入ってきた。


香先生「調子はどーだ?」

深美「なぜ先生が?」

香先生「ここの空き教室を貸したのは私だ。そろそろ帰宅指導でもしようかと思ってね。話は終わったか?」

終わったどころか、何も始まっていません。


「いや、まだ、、、」


香先生「そーか。私は三波間から同好会を立ち上げたいと聞いたんだが。この3人でという事でいいか?」


「はいっ!!?」


加奈「そーだったの?それなら先に言ってよ~!」

深美「三波間君、、本当ですか?」

「いや、それはその、、」

香先生「その方が、深美も学校が楽しくなるんじゃないかって。な?三波間?な?」

アンタなに言ってんだ?


深美「三波間君、、、やっぱりお優しいんですね」

やめろ深美、その眼差しにこたえてやる自身は無い。


ただ、不思議と嫌では無かった。


『俺はもう少し、彼女と関わりを持っていたい。真っすぐな生き方を近くて見ていたい。そう思っていたのかもしれない』


はぁ、、、しかたない。

「ま、まぁな、、深美さんさえよ」

深美「楽しそうです!やりましょう!なんだか興奮してきましたッ!!」

転校初日をを超える勢いで鼻息が荒くなっている。

だが、久しぶりに楽しそうに笑っていた。


加奈「でも渚部活は大丈夫なの?」

香先生「活動はバスケ部が休みの月曜にすれば良い!この教室を好きに使っていいぞ!」

俺の月曜日、、返せ、、。


加奈「そっか、、、渚と一緒ならなんか楽しそう!」

深美「なぎ、、三波間君を2次元に染めて差し上げます」

もう十分染まっている。余計なお世話だ。


これからどうなる事か、、、。

俺は、力を振り絞って言った。


「よ、よろしく、、深美部長、、」


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