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俺(仮)のコンプレックスのはなし聞く?  作者: 元会長リーマン


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--第3章-- 住めば都。しかしオタクが歩けばオタクに当たる

またしても香先生の誘導により、突如誕生した同好会。


そんな中クラブ名も決まり、部長の深美を中心に活動を開始。

最初はどうなる事かと思っていた渚だったが、徐々に3人でいるこの空間も居心地の良いものになって来た。


毎週月曜の、この生活にも慣れて来た頃、

とある人物が部室を訪ねてきて、、、


登場人物

同好会メンバー

三波間ミハマ 渚ナギサ

深美フカミ 美海ミウ

青島アオシマ 加奈カナ


渚の友人グループ

児島コジマ 有志ユウシ

渡口トグチ 亜美アミ

泉イズミ 寛也ヒロヤ


渚の担任教師


渚の妹

三波間ミハマ 楓カエデ


青島の母

青島アオシマ 美紀ミキ



「べっ別にアニキの為じゃないんだからねっ!ついでに買って来てあげただけなんだから!」


テレビの中の2つ下の妹は"ついで"に買ったにしては派手な買い物袋を主人公である兄に渡している。

この【妹がなにやら企んでいるが俺はフラグを回避します】は名作だ。

ひたすら妹ルートに引き込もうとする妹と、それを回避しながらも心が揺れ動いていく主人公、、、


なんだこれ。


だがその「なんだこれ」をいかに面白く、視聴者を引き込めるかが重要だ。

見事に引き込まれている俺は、自室のドアが開いている事に気づかなかった。


楓「お兄ちゃーん」

「おっどうしたー?」

楓「アイス、もう1個食べて良い?」

「いいけど、これで最後だぞ。歯磨きもちゃんとして寝るんだぞ?」

楓「はいはい。ありがと大好きだよ」

棒読み過ぎてフラグ所じゃ無さそうだ。安心した。やっぱり妹はこうでなきゃな。


楓「またなんのアニメ観てるの?」

「これはだな、、」

妹に説明していい内容なのか?全くなんなんだこのアニメは。不健全すぎる作品だ。


「兄妹仲良くね!って感じだな」

楓「ふーん。よく分からないや」

知らなくていい事もあるのだ、妹よ。


そういえば、お兄ちゃんもよく分からない事を思い出した、、、


「月曜さ、俺の部活休みだっただろ?」

楓「うん」

「来週から学校での活動が増えてしまってな。今までより少しだけ帰り遅くなるかも」

楓「えー、、分かった、、」


スタスタスタ、、

「ちっ、、バーカ」

楓が階段を下りていく音と同時に、舌打ちと溜息が聞こえた。


おいおい聞こえてるぞ~。

まあ寂しい思いはさせてしまうのかもしれないが、楓ももう小学5年生だ。

母さんも家にいないわけじゃないし、大丈夫だろう。


というか、だ。

そもそも、あれはなんの同好会なんだ?


-----


「今日も元気に学校いってらっしゃい!」

楓「、、行って来まーす、、、」

この1週間、楓はずっと機嫌が悪かった。

まあちゃんと「行って来ます」を言ってくれる辺りまだ可愛いか。


学校に着くと、靴箱の前で同好会メンバーの1人が待っていた。

加奈「おはよー!渚!」

「おはよー」

加奈「今日は記念すべき同好会の初活動日だね!」

「あのなー、同好会って言ってもなんの集まりなんだ?」

加奈「なんのって、渚がやりたいって言ったんでしょ?」

そうだった。あのアラサー独身教師 (ヒマ人)のせいで、俺が発起人という事になっているんだった。


はあ、、加奈には言っとくか。

「それがな、あの同好会は香先生が勝手に言い出した事なんだ」

加奈「えぇえ!?」

「だから俺は何も聞いてないんだよ、、」

加奈「そーだったんだ、、アタシてっきり渚は深美さんの事、、」


亜美「おはよー!お2人さん!」

加奈「お、おはよー!」

「うっす」


亜美「あっお邪魔しちゃった、、?先教室行っとくねー!」


「そういえば同好会の話、渡口にどう説明したんだ?加奈が深美と同好会やるって言ったら、流石に色々と言われなかったか?」

加奈「そこは、まぁ、大丈夫!気にしないで!」

「本当か?アイツ深美の事嫌ってるし」

加奈「本当に大丈夫だって!勿論嘘もついてない。正直に言ったよ!正直に、、」

何か引っかかる所はあるが、俺が深く突っ込む事でも無いだろう。


加奈「そ、それにほら!アタシが深美さんの事で渚の手伝いしてる事もみんな知ってるじゃん!」

「分かった。まあ加奈と渡口の関係性に影響が無ければそれでいいんだが」


加奈「そういえば同好会の事なんだけど、香先生がこの前言ってたよ。はいっ」

加奈は創設の申請書を渡してきた。


【2次会】


クラブ名の欄に、達筆な字で大きく書かれていた。

これクラブ名?で合ってる?

2次会会場の案内じゃないよね??


俺が無言で加奈の顔を見ていると、何やら察してくれたみたいで、

加奈「その下の備考欄!」


【2次元同好会:親しみやすいように略して「2次会」とします】


いや高校生には親しみにくいです。


「なるほどね、、2次元同好会、か」

加奈「なんか良いじゃん!シンプルで、分かりやすいし!」

深美「私も気に入っております!」


加奈「うわっ!」

  「おはよう。深美さん」

深美「おはようございます!」

あらとっても素敵な笑顔。今日が待ち遠しかったんだね深美さん。


深美「昨日はなんだか眠れなくて!私、学校で同い年の方とこうやって何かを共同で取り組むのが初めてで、、すごくワクワクしております!部室のレイアウトや備品などはお任せください!!」

加奈「よっ!さすが部長!よっ!」

サラリーマンの2次会かよ。


初めて。確かに深美はそう言った。

俺は深美と一緒にいると新鮮な気持ちになる。今まで俺が出来なかった事を深美は堂々とやっているからだ。

深美も、俺や加奈と一緒にいる事によって何か新鮮な気持ちになれる事があるとすれば、彼女にとっても良い事なのかも知れない。


-----


活動初日


深美「えー、じゃあ改めてよろしくお願いします!」

加奈「よろしく!」

「よろしくです」


加奈「んで?何をしたらいいの?」

うむ。右に同じく。

俺としては、出来る事なら少しだけ趣味を楽しんでみたい気もするのだが、深美はまだしも加奈がいる前じゃな、、。


深美「ふっふっふ。ご安心を。部長としてまずは、これを見てもらいます!」

深美が鞄から1枚のBlu-rayディスクを取り出した。


【夜空と星】


なんだ超名作じゃないか。


加奈「これ知ってる!有名だよね?」

深美「さすがにご存じでしたか!でもご安心ください。無理に私の趣味を押し付けたりはしません。共有出来る範囲で、お二人とこうゆう作品を一緒に観れる。今はただそれだけでいいんです。作品やテーマなどは今後もちゃんとチョイスしますので、その、もし宜しければ、ご一緒にいかがでしょうか、、?」

深美の顔を見れば分かる。これでも勇気を出して言ったセリフに違いない。

というか、上目遣いで俺を見るな。


加奈「もちろん!」

「いいんじゃないか?」


深美の事だ。てっきりゴリゴリ本格的なジャンルを押し通してくるかと思ったが、俺達に対してちゃんとラインを引いて来た。

共有出来る範囲で、とは俺と加奈も抵抗なく参加でき、尚且つ深美の趣味範囲で楽しめるモノ。という意味だろう。

勢いだけで出来たこの会を、何とか成立させていく方法を模索しているんだろう。

健気でなんか可愛く見えてきちゃったよ、、、


深美「ありがとうございます、、!」

1週間前には無かったはずの大きい最新型テレビを、深美が満面の笑みで引っ張ってきた。


「これ、、」

深美「購入しました!お気になさらず!」

加奈「さ、さすがお金持ち、、」


確か転校初日も高級車の送迎で来てたよな。

2次元の話題が出ない限り、佇まいや言葉使いからも教養が感じられる。

正式な部活ではなく、あくまで同好会。

部費は一切出ないが、部長がここぞとばかりに財力を見せつけてきた。


-----


パチパチパチ


エンドロールの黒い画面に、3人揃って拍手している姿が写っている。

こうやって見ると、改めてこの3人が同じ部屋でアニメ鑑賞なんてどう転んでも予想できない展開だよな。


加奈「いや~良かった!感動!」

深美「これは劇場版ですからね!アニメ版の名シーンを凝縮して、初見の方でも見やすいように編集されております。本当に何度見ても素晴らしいです!!」


さすが名作。しかし学校でアニメ鑑賞も案外悪くないな、、、

それに、誰かと一緒に観るのは俺も初めてかもしれない。


深美「三波間君は、、どうでしたか?あまり面白くなかったですか?」

「いや、面白かったよ。少し余韻に浸ってた」

加奈「最後の伏線回収すごかったよね!!主人公が報われて良かった~。アタシ、ハッピーエンドの映画しか見れないから」

深美「そうですよね!あそこで死んだと思ってたカナエが登場ですよ?信じられます!?何度観てもあのシーンは興奮せずにはいられませんッ!!」

「深美さんはずっと初見と思うくらいのリアクションしてた」

深美「すみません!うるさかったですか!?」

加奈「うん!うるさかったよ!」

「いやそんなストレートに言うなって」


Blu-rayディスクを鞄にしまいながら、深美はふと振り返った。

深美「こうゆうの、憧れてました」

加奈「どうゆうの?」

深美「こうやって、観た後に皆さんで感想を言い合ったり、好きな事でクラスの方と盛り上がれたりする事です!今日はこの学校に来て初めて帰宅するのが惜しいと感じます」


加奈「深美さん、、」

俺と加奈は顔を見合わせて少し笑った。


加奈「深美さん、そういえばLINE!交換しよ!2次会の連絡事項とかあったら楽だし!」

深美「えぇ、、それもそうですね、、」

深美は取り出したスマホを慣れない手つきで操作している。


深美「その、、どうやって交換するんですか?」

加奈「え!LINEやってないの!?」

言うな。察してやれ。


深美「やってはいるのですが、、好きな作品の公式アカウントなどしか登録してませんので、、」

加奈「アタシやるから貸してごらん?」

加奈がスマホを2台操作している間、なにか視線を感じた。


深美「いや、その、私から青島さんに連絡をして、青島さんが三波間君に伝えるという方法で」

いやめんどくせぇよ。


「深美さんのスマホ、俺も借りていい?」

深美「は、はい、、嫌じゃなければ、、」

「なんでだよ。嫌じゃないからこうして一緒に活動してるんだよ。それに、3次元では連絡手段は必須だろ」

深美「そ、それもそうですね!ありがとうございます」


-----


活動初日は思ったよりラフに楽しめた。

俺と加奈は、深美が迎えの車の後部座席に乗り込んだのを確認し、角を曲がるまで2人で見送った。


「さてと、俺らも帰るか」

加奈「久しぶりに近くまで送ってよ!少し遠回りになるけどさ」

確か半年くらい前に一緒に帰ったか。そういえば、、、


「近くまでっていうか、久しぶりに加奈の家寄ってもいいか?」

加奈「え!?い、良いけど、、部屋散らかってるし、、」

「いやそうじゃなくて、ケーキ。1個買って行ってもいいか?」

加奈「あ!ケーキか!そうゆう事なら先に言ってよもう!」

分かったから殴るのヤメテ。暴力反対。


加奈「でもなんで?甘いもの好きだっけ?」

「妹にな、お土産買ってやろうかと思って」

アイツの大好きなショートケーキでご機嫌を取ろう。誕生日でも無い、何でもない日に急に現れたショートケーキに興奮しない子供などいないのだ。

しかも青島家が経営している店のケーキはめちゃくちゃ美味い。この俺が実食済みだ。


加奈「そっか。妹ちゃん、まだ小学生だったよね?お父さんは出張続きの仕事って言ってたもんね、、」

「まぁな。しっかり働いてくれてます」

加奈「お母さんは?まだ忙しい感じ?」

「ライターなんて、在宅と聞こえはいいが、常に締切に追われてるしな。家事してくれてるだけでありがたい」


加奈「そっか、、それじゃあ渚の帰り遅くなるの申し訳ないな」

「気にするな。これから毎週月曜は兄じゃなく、ケーキが帰ってくるという認識に変わる」

加奈「アハハ、、渚らしいや。そっか。毎週、か、、、!そうだ毎週月曜だ!」


「それがどうしたんだ?」

加奈「なんでもない!毎週購入していただけるお客さんが増えました!毎度!」


-----


青島 美紀「あ!加奈お帰りなさーい!ってあれぇー?渚君じゃない!」

加奈とそっくりな全力笑顔でお客さんを見送った後、加奈の母親が駆け寄ってきた。


「ご無沙汰してます」

美紀「こちらこそー!ってなんで?なんで一緒なの?もしかしてデート?デートでしょ?」

加奈「ちょっとお母さん違うって!うるさいってもう」

美紀「いや否定する事ないじゃなぁ~い!アハハハ」

ほら。娘さん怒ってますよ。


「いや、、ケーキ買いに来たんです」

美紀「あらやだ渚君までもう~ この前も家で渚君の話してたのよこの子!」

加奈「もうお母さん!ほんと怒るよ?」

美紀「ハイハイ。分かりました~。それで?何にする?」

「ショートケーキを1カットお願いします」

やっと奥に下がってくれた、、、


美紀「はいっ!ありがとうございます」

「ありがとうございます」

美紀「それで?本当にデートじゃないの?」

加奈「しつこいってば!渚ごめんね!もう無視して帰っていいよ?」

美紀「アハハハ!また来てね~!」

「また来ます!それじゃあ、、」

俺はこれ以上絡まれないように、足早に切り上げる事にした。


-----


「ただいま~」

楓「、、おかえり、、」

リビングで今座ったかのような体制。もしかして、兄が帰ってくるの待ってたか?コイツゥ


「ほら。これお土産。遅くなってごめんな」

楓「え!ケーキじゃん!やったー!ね、今食べて良い!?」

やだ可愛い。


「食べていいよ。これから毎週月曜はお土産を買ってくる。お前の為に、な」

楓「ふん!楓の為なら仕方ないね!学校の事ばっか優先するのはムカついたけど、ちゃんと考えてるなら別にいいです!」

こんなに可愛い妹も将来は誰かのお嫁さんになるのか?そんな事あってはならん。この俺が全力で妨害しよう。


【妹の彼氏フラグを兄が横から回収していきます】

必見だな。


-----


はぁー疲れた。


ベッドにダイブして今日の事を色々と振り返っていると、スマホの通知音が鳴った。


「今日は送ってくれてありがとね!あとケーキも!妹ちゃん喜んでくれた?」

「超喜んでたよ。来週はチーズケーキだとさ。」

「そっかw 良かった!じゃあまた学校でね!」

「はいよー。また明日な。」


目を閉じかけた瞬間、またスマホが鳴った。


「どうも。お疲れ様です。深美と申します。よろしくお願いします。」


申さなくても知ってますよ。


「お疲れ様。よろしく。」

「ご返信ありがとうございます。」

取引先かよ。


「お知り合いの方にメッセージを送るのは初めてです。一度使ってみたくて。」

「初めてが僕で光栄です。」

「こちらこそ。また、月曜に部室でお会いしましょう。」

「明日教室で会うよ。」

「それもそうでした。ではおやすみなさい。遅い時間に失礼いたしました。」

「おやすみ。」


なんだこのやり取りは?


だが、これが深美の一歩なのだろう。

俺はまだ一歩も踏み出せていない。

彼女は不慣れな事でも自分から事を始める。

俺も、いつかは踏み出して、、いや今更無理か。


-----


そうして始まった2次会の活動は、深美部長の尽力もあり、楽しい時間だった。

加奈も思ったより深美と上手くやっていた。というかめっちゃ仲良くなってる。


かれこれ1ヶ月の内に、部室にもかなり物が増えたな。

深美は火曜日から金曜日までしょっちゅうこの部屋に出入りしてるんだろうな。


深美「今日は漫画では無く、ゲームをしませんか?」

先週は各々が持ち寄った漫画を交換して読む。という内容だったが、加奈は途中で寝てた。


加奈「ゲームってどんなの?アタシこう見えて結構ゲームは得意なんだよね!」

「意外だな。普段やるのか?」

加奈「え?いやっ、ほら弟に付き合ってたまにやるんだよね!アハハハ」


深美「それなら頼もしいですね。これです!!」


深美が意気揚々とゲームソフトを机に置いた。


と同時に、部室のドアがノックされた。


渡り廊下を挟んだB棟という事もあり、普段この時間にこの3人以外がここに来ることは滅多に無い。

ましてや来客などある訳も無く、俺達はなぜか固まってしまった。


加奈「今、、ノックの音しなかった?」

深美「確かにしたような、、香先生でしょうか?」


コンコンッ

「すみませーーん!入りますよー?」

聞き覚えのある声だ。いや、あり得ない。こんな所にいるはずが無い。


深美「ど、どーぞ、、」


「失礼しまーす」

俺は固まった。なぜコイツがここに?

 

「あっ!先輩!」


『だが俺は、どこか考えていた気がした。コイツの存在を忘れては行けない。と』


-----

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