--第1章 後編-- 出会いあればオタクあり ~ファーストコンタクト~
衝撃的な転校生、深美 美海。
彼女と今後直接関わることは無いと思っていた渚だったが、香先生の誘導により、学校に慣れるまでのサポート役に任命されてしまった。
どうしようか悩んでいた所に、1人三波間をよく知る助っ人が加わり、、、。
登場人物
渚の友人グループ
主人公:三波間 渚
青島 加奈
児島 有志
渡口 亜美
泉 寛也
転校生
深美 美海
渚の担任教師
香
キュッキュッ
体育館に響くシューズの音、ボールを突く音を聞きながら、俺は今朝の転校生の事を思い出していた。
「私は2次元で生きてます!!」
ガンッ!
さっきまでリズムよく入っていたシュートが、深美のあの奇行を思い出した瞬間外れてしまった。
それだけなら、まだ良かった。
俺から関わる事は無く、俺の作り上げた高校生活に影響は無く、ただ変わり者がクラスに一人増えただけだと思っていた。
「はぁぁぁ~なんで俺が、、」
深いため息をかき消すように、有志が俺の肩に手を回してくる。
有志「案外お前と深美がくっついたりしてwww」
「やめろ。お前はマジで人の災難が好きだよな。その下手すぎるシュートの前に性格から直してくれ。バスケはチームスポーツだからな。お前にパスできなくなるわ」
有志「wwマジでおもろいわ~ww あっ部長が集合かけてたぜ!お前だけ上の空で聞こえてなさそうだったからw」
コイツがヘラヘラしているのには理由がある。
俺と深美のあるはずがない接点が生まれたからだ。
話しは部活に行く準備をしていた時、放課後に遡る
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香先生「三波間、ちょっといいかー?」
「はい?」
ホームルームを終え、教壇から降りた香先生が俺を相変わらずデカイ声で呼んでいる。
香先生「その~なんだ、文句の前に聞いてくれ」
分かりました。しっかり聞いた後にしっかり文句を言いますね。
「なんですか?」
香先生「深美の事、学校に慣れるまでサポートしてやってくれないか?」
「、、、」
香先生「、、、、」
「、、なんでお」
香先生「なんで俺!?だよな!分かる!」
分かる!とは?
香先生「ほら、お前はクラスで周りから好かれているタイプだし、青島や渡口とも仲良いだろ。あのメンバーの中心にいるお前が気にかけてやってほしいんだ。それに、深美は、、な?変わってる奴だから初めはあまり馴染めない気がするんだ」
「言ってる意味は分かりますが、俺に言ってる意味が分かりません」
香先生「お前が適任だと思うんだけどな、、。それに今朝のホームルームで深美が暴走してた時、一人だけ動揺せずに見てたから」
なんであの状況で俺を見ている?俺の事好きなの?
「絶対嫌です。それに、同じ女子に頼んだ方がいいかと」
香先生「そうしたいんだが、あーゆうタイプの女子はこの学校にあまりいないからな~。無理に女子にお願いすると、深美のようなタイプは、、弾かれる気がしてな」
「はぁ、、。有志は」
香先生「あいつは絶対にダメだ!」
ですよね~。それは共感出来ます。
香先生「それにお前、進路希望浜乃大だったよな?」
「はい。それが何か?」
香先生「上の連中に上手く言っといてやるぞ~。この学校は成績優秀者多いからな。学力以外の内申点や欠席状況とか結構反映されるぞ。毎年推薦枠は数人の候補が上がるし、人数も別に制限があるわけじゃない」
「あの、それを脅しって言うんですよ?先生の道徳の点数は0点ですね」
香先生「深美の為にこーやって働きかけてるんだ。0点は無いだろ。なぁ!頼む!」
「はぁ、、。分かりましたよ」
実際、この人はこーみえて2年の学年主任も務めている。上に言ってくれるとなれば、それなりに期待出来そうだ。
香先生「ほんとうか!?嬉しい!あ、り、が、と♡」
うわぁ~。こーゆう事するから仕事しかしてないんだろうなこの人。
「で、具体的に何をすればいいんですか?」
香先生「さぁ?試しに放課後話しかけてみたりとか?」
学年主任任せんなよこんな他力本願系女子に。
「あの、」
香先生「じゃあ話は以上だ!宜しく頼んだぞ!三波間君!!」
「っ、、、、。」
一人取り残される俺。
振り返ると、あいつらはとっくに消えていた。先生との話が長くなっていたからだろう。
おのれ薄情な奴らめ。
とりあえず深美の席に視線をやると、彼女は一人帰り支度をしていた。
クラスメイトも何人かまだ残って談笑しているし、話しかけて変に勘違いされても困る。
今日の所はグッバイさせていただき、何か良い作戦を考えるとしよう。
そう自分に言い聞かせ、教室を後にしようと廊下に出ると、他力本願系女子 (アラサー)が俺の行動を読んでいたかの様に階段前に居座っていた。
なにこの人、、やり方は任せる的な雰囲気だったのに、監視はすんのかよ。
仕方ない。とりあえず自己紹介と、恐らくJAPAN社交辞令ワード第8位の「何か困ってる事があったら言ってね」ぐらいは済ませておくか。
俺は教室内へ戻り、丁度席を立つその瞬間の深美に声をかけた。
「深美さん、今日からよろしくね。俺は三波間 渚。何か困ってるこ」
美海「よろしくお願いします!深美と申します!声かけてくれたって事は、まさか三波間さんも私と同じ趣味が!?」
断じて違う。とは言えないが、とりあえず人の話は最後まで聞こう。特に初対面の場合は。後半面倒くさくなって途中でスキップするチュートリアルじゃないんだから。
「そっそれは良く分からないんだけど、、とりあえず転校して来たばかりだし、何か分からないことがあれば聞いてね」
俺は今まで鍛え上げてきた、リア充式爽やかスマイルで対応した。
美海「そうですか、、。ありがとうございます。以後宜しくお願い申し上げます」
深美は礼儀正しく頭を下げた。うむ。オタクって上下関係とか結構厳しいの?
美海「でも、同じ趣味でも無いのに初対面の3次元の人が自分から話しかけてくれるんですね!」
ほんとね。自分でもびっくりです。あと君も3次元の人です。まあ進学がかかってるなんて事は胸にしまっておこう。
美海「あと私、今朝自己紹介の時に皆さんから距離を置かれた気がしたので、、」
元々遠い距離から来てアレをされると距離を更に遠ざけたくなるのは当然なのだよ深美さん。
美海「それでも、そーゆう風に気遣っていただけるのはありがたいです!」
「とりあえず、何かあったら言ってね。俺の周り良い奴ばかりだから」
美海「はい。ありがとうございます」
明るい表情で深美が微笑む。
「深美さんは、その、アニメとかそーゆう世界が好きなの?」
わざと無知な聞き方をしてる自分がなんだか恥ずかしくなってくる。
美海「はい!大好きです!でも、無理しないでいいので。きっとお優しい方なんですね。三波間さんは。現実世界の人たちは少し苦手で、、何を考えているのか分からないので」
「クラスのみんな優しいよ。周りを頼ってね」
俺だけじゃなくてね?
美海「周り、ですか、、」
深美が少し暗い表情に変わった気がした、、。がすぐに俺の方を見て笑顔になった。
深美「はい。ありがとうございます!」
よしっ。初回のコミュニケーションとしてはまずまずだろう。
「ごめんね。帰ろうとしてた所。じゃあ、また明日」
深美「いいえ。また明日お会いしましょう!」
深美が教室を出た後、俺も続いて部活へ向かおうと廊下へ出ると、加奈が立っていた。
「どーした?」
加奈「香先生と長話しした後に、深美さんに話しかけてたから、なんかあったのかなって」
えー。話し聞いてたなら助けろよ。
体育館までの道中、俺は加奈に事の経緯を説明した。
加奈「なるほどー。まあ渚優しいし、確かに適任かもね」
「それで、これからどうしようかなーってね」
加奈「んー。ウチは亜美がいるからねー。あーゆう子は受け付けないだろうし。すごく可愛いのにね。渚もそー思う?」
「確かにそーだな。」
加奈「へぇ~。やっぱ渚もあーゆう清楚な見た目の子可愛いって思うんだ」
「いや、じゃなくて渡口の事」
加奈「あっそっちか!ごめんごめん!」
「とりあえず、1週間くらい様子をみるか」
加奈「そっ、、そーだね!アタシも手伝うよ!」
ありがたいお言葉。遠慮なく甘えさせていただこう。
「いいのか?」
加奈「うん!なんか渚と深美さんが2人でいるのも変だし、アタシも含めて3人で手助けしよう!」
「助かる。ありがとな」
加奈「いいって事よ~。今度ステバのカフェ奢ってね!」
「はいはい。じゃあ、部活少し遅れてるから行くわ。また明日な。加奈」
加奈「うん。頑張ってね!また明日!」
体育館に入る前にもう一度加奈の方を振り返ると、なぜか一人で「ヨシッ」とガッツポーズを決めていた。
そーゆうのは俺がちゃんと振返ってからじゃないと意味ないぞ。
俺も、負けじと「部活いってくるわ!」的な感じでガッツポーズを決めたが、加奈はこっちを見もせず振り返り、スタスタ歩いて行った。
お互い誰にも見られてないガッツポーズをする時間って何なの?
「はぁぁぁ。」
今日は深いため息ばかりだ。それとも俺の今までの日常が浅かったのか?
そんな事を思っていると、部長の声が聞こえた。
部長「おい児島!三波間はまだ来ないのかー?」
有志「俺に聞かないでくださいよー。アイツ放課後先生に呼び止められてたんで、多分なんかやったんだと思いますw」
また適当な事を言いやがってアイツは。
「すみません遅れましたー!」
俺は急いで更衣室から出ると、部活用のシャツに片腕を通しながら、有志に手招きをして事情を話しながらウォームアップのランニングに参加した。
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