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CALL  作者: スピカ
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(42)fall,date

 一夜(いちや)の傷は全治1ヶ月で、傷口が開くといけないので安静にということだ。(弾を取り出す際に少しだけ切った)


 威咲(いさき)が食事を運んできた。

「いいよ、自分で食える」

 食べさせようとしたのを制して左手でスプーンを持つ。

「俺割と両利きだから」

 スープにごはんが入った猫まんまだ。豆とベーコンをすくって食べた。


 ここは垂華(すいか)達の借りた家でクチナに隣接するホラスの校外、ウェストヒルだそうだ。

 すぐにオッサンに手紙を出さないといけない。それに職場に電報も。

 威咲が代筆をして書いて出した。

 内容は、怪我をして今は知人宅にいるから心配しなくていい、その内帰るというものだ。

「怪我が治るまで居ればいい」

「そうよ、そうして?」

 垂華と多摩(たま)にも言われた。

 それなら、とそうすることにする。


 もう二度と会うことは無いと思っていたのをまたこんなことになって、変な気分だった。


 垂華の部屋に行って聞いてみた。

「どうして威咲が狙われたんだ?」

「それは…」

 すぐには言わず、(しば)し沈黙した。

「今はまだ一夜には教えられない。ごめん」




 2週間過ぎ、腕は吊らなくてよくなった。だが動かすと痛い。まだ使えない。

 荷物類は無いので垂華の服を借りている。(そで)は長めだしズボンの(すそ)は一回折らないといけないのが少し悲しかったが仕方ない。(一夜は身長165㎝、垂華は174㎝だ)


 自分の服の時、威咲と散歩に出てみた。

 黄色い葉が歩道を覆っていて綺麗だった。

「お前と散歩するの久しぶりだな」

 威咲は幾分(いくぶん)大人びて、いつもの無垢な笑顔がなぜか少しだけ哀しげに見えた。


 威咲が気に入った葉を1枚拾い指先でクルクル回している。

 小春日和で日向ぼっこをしている猫を見つけて近寄ると逃げず、指を出すと匂いを嗅いできたので撫でてやる。

 猫は起き上がって体を擦り付けてきた。しばらく遊んでから猫にバイバイと言ってまた歩き出す。

 風が吹いて葉が散り舞い落ちてくる。立ち止まって眺める。

「巫女とか、そういうのどうなった?」

「変わり無いよ。ただ、教わるのはもう全部済んだって。だけど私のままじゃ相変わらず何の力もなくて。二人になんだか申し訳ない気持ちになるよ」

「そっか、だけどそれはしょうがないよな」

 また歩き出す。

「一夜は?これまでどうしてた?」

 威咲が前に出て一夜の顔を覗く仕草をする。

「俺は…普通に仕事して仲間と遊んでって感じかな」

「そう。私達のこと思い出したりした?」

「ああ、たまにな」

 威咲がにっこり微笑む。

「良かった。忘れられてたらどうしようと思ってた」

 言いながらくるりと先を向く。

「あの内ポケットのメモ見たから」

「うん」

 また風が吹いて何枚か葉が散る。午後の光が(まぶ)しくて目を細める。

 なぜか少し切なくなる気がしたが、それから出てくるのはたわいない話ばかりだった。

 そして、暖かい光の中を帰る。何も無い穏やかさが逆に切なく感じさせるんだと思った。




 カードが無いのでよくあやとりをした。

 今は部屋が別なので、威咲と二人で長い時間過ごすことは無い。

 もう自分が保護者じゃないんだなと思った。全くそんなことは無いのだが、どこかに距離を感じた。

 また自分も、重ねた月日が距離に変わる気がして。威咲が余りに無垢で、綺麗過ぎて。




 一夜とまたこうしていられて嬉しい。もう二度と無いと諦めていたことが叶って嬉しい。

 だが自分の想いを伝えることは無い。きっと私はその内消えてしまうから。なぜかそんな気がするから。

 それに好きだと伝えても、きっと迷惑なだけ。なら黙ってこのまま、この時を数えたい。

 どうか私の気持ちには気づかないで。このままこうしてただ仲良くしていたい。

 きっと、一緒にいられる時はすぐに終わってしまうから。




 4人でするあやとりは楽しかった。

 垂華と威咲は引っかからないが、多摩はごくたまに引っかかり、一夜はよく引っかかった。

 あとよく話した。たわいもないことを沢山。





今回もいいこと言ったけど、前回も言ったから、一緒にそっちも見てね☆重ねた月日が~の台詞が好き。fallは秋、dateはデート。切ないです☆☆

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