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CALL  作者: スピカ
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45/190

●(41)wound

半年経って…

 晴れた休日、一人で紅葉を見ながら散歩した帰りに一夜(いちや)は目を疑った。

 通りの先に威咲(いさき)が立っていた。

 人を待っているようにして、向こうを見ている。

 こっちには気がつかないのか。人違いだろうか。

 いや、まさか自分が威咲を見間違えるはずは無い。それに珍しい青灰色(せいかいしょく)の髪とハシバミ色の目。髪型も変わっていない。黒い裾(すそ)の長い服とスカートを着ている。

 一瞬立ち止まってしまったが一夜は歩き出す。

 無視してすれ違ってしまうつもりだった。

 だが偶然に視線をずらすと、建物の間から出てきた人が服の内から拳銃を出すのが見えた。その拳銃は威咲に狙いが定められる。

 男が引き金に指をかける。

 一夜は反射的に駆け出して威咲をかばって突き飛ばす。それと乾いた銃声が響いたのは同時だった。

 帽子を目深(まぶか)にかぶったその男は踵(きびす)を返して立ち去った。

 一夜は腕の付け根に痛みを感じた。一夜と威咲は折り重なって倒れた。

 威咲は知らない人を見るようにして一夜を見ている。

 良かった。無事か。

挿絵(By みてみん)



 肩から胸にかけてがどんどん温かいもので塗れていく。当たり所が悪かったのか、出血多量だ。

 出血を見て威咲の目が丸く見開かれる。

 血。目の前が真っ赤に染まる。

 同時に激しい頭痛に襲われる。

「あ…っ!」

 耐えきれず頭を押さえた瞬間、威咲の中で何かはじけたようになり、一瞬視界が真っ白になる。

 通行人が集まってくる。

 威咲は全て思い出した。目の前で一夜が倒れている。

「一夜!?しっかりして」

 恐らく出血のショックで気を失っている。威咲は一夜を抱えて叫んだ。

「誰か、手を貸して下さい!」

 集まった人が一夜を抱えてくれ近くの家に頼み込み、運び入れる。家の人は板の間を貸してくれた。

 医者だという人がたまたまいて駆け付けてくれた。

 鞄(かばん)からピンセットを出して弾を取り出す。弾は右肩口に当たっており、割と太い血管を損傷したため出血多量だったのだ。だが幸(さいわ)いに動脈ではなかった。

 止血を施して様子を見る。一夜は目を閉じたままで、顔は血の気が失せている。

「だめだ、血が足りない」

 その言葉を聞いて威咲が顔を上げる。

「あの…良かったら私の血、使って下さい!」

 医者が威咲を見る。

「そうですか」

 幸い抗体反応は無かった。チューブが繋がれて、威咲の血が一夜の中に流れ込んでいく。

 無意識下で一夜は感じた。熱い。血が、沸き立ってくみたいだ…

「一夜…頑張って」

 祈るように一夜を見つめた。


 少しして威咲から針が抜かれる。

「…よし、後足りない分は生理食塩水を足そう」

 威咲は処置が続くのを見ながら壁に寄りかかった。血を抜いたことで少しだるかった。

 良かった。一夜は生きている。目の前に一夜がいる。

 涙が出てきた。涙は止めどなく出てくる。

 また…会えた…――――――――




 一夜は目を覚ました。貧血からか軽い頭痛がする。

 うっすら目を開けると見慣れない天井が見える。窓から柔らかい光が射し込んでいる。

 そうか、俺、撃たれたんだ…。

 包帯が巻かれ、右腕は首から吊られてあった。痛み止めが打ってあるのか痛みは無い。

 視線をずらすと威咲がいた。ベッド脇に座って俺の顔を覗き込んでいる。

 目が合うと威咲の目から涙が溢れ出た。

 一夜は目を細めて左手を伸ばすが届かず、威咲がその手をとった。

「……威咲…?」

「…そうだよ。威咲だよ」

 涙はそのままに、微笑(ほほえ)んだ。

 その瞬間、一夜は全身水に打たれたような、光を浴びたような、そんな感覚に包まれるのを感じた。

 そして、はっきり自覚する。

 もう誤魔化せない。俺は―――――――――


挿絵(By みてみん)




wound(わうんど)とは傷、弾傷などに使う単語です。何はともあれ再会出来ましたね。

ヘブンズサインて曲名で検索しても歌詞しか出ないと知り、改めて。アルバム名14soulsで検索すると一覧出るよ☆最初聴いた時、まるで天使が舞い降りてくるように感じた名曲。ここ読んだら是非聴いてみて☆☆


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