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2/11

MISSION 2――委ねたら、終わる

その週の土曜日。


次の小包が届いた。


そして水曜日、二十一時。


莉央は箱を開けた。


中には、前回より明らかに本格的な装具が入っていた。


スマートフォンの画面が切り替わる。


《MISSION 2-1 CONTROL》


《すべての指定装備を装着してください》


《作動開始から10分間、規定反応へ到達しないこと》


《作動内容・停止・組合せ・周期はシステムが決定します》


《MISSION中、参加者による変更はできません》


《未達成の場合、登録済みペナルティー条件が成立します》


莉央は最後の一行を、もう一度読んだ。


登録済みペナルティー。


あの画像だ。


失敗すれば、自分だと否定できない一枚が使われる。


莉央は箱の中を覗き込んだ。


前回とは、明らかに違った。


黒い装具がいくつか、形に合わせた窪みの中へ収められている。


最初に目についたのは、二本のバイブだった。


挿絵(By みてみん)


片方は、あそこに挿入するもの。


長さは十センチを少し超えるくらい。


太さは直径三センチほどある。


もう一本は、それより少し短く、太さもひと回り細い。


お尻に挿入するものだと、すぐに分かった。


莉央は二つを交互に見た。


「……これ、入るのかな」


思わず口に出した。


性行為の経験はある。


けれど、自分でこういうバイブを使うのは初めてだった。


莉央は、バイブを手に取った。


思ったよりしっかりしている。


柔らかさはある。


けれど、人の身体とは違う。


形も、太さも、最初から決まっている。


外側へ伸びたアームの先に、小さな吸引部がある。


莉央は指先でそっと触れた。


「……これも初めてだな」


外側から使う振動型の玩具なら、以前付き合っていた相手が使ったことがある。


莉央自身、そこを刺激されるのは嫌いではなかった。


むしろ、好きな方だった。


けれど、吸引するタイプは初めてだった。


莉央は一度、手を止めた。


それから、箱の隅に入っていた専用ジェルを取った。


蓋を開ける。


「……やるんだ」


小さく呟く。


莉央は、あそこに挿入するバイブへジェルをなじませた。


そして、一度だけ大きく息を吐いた。


身体へ受け入れる。


「……っ」


思わず息が止まった。


驚くほどではない。


性行為のときに知っている感覚と、遠くはない。


けれど、やはり違った。


人の身体のような柔らかな変化がない。


一定の太さ。


一定の輪郭。


それが身体の中に、そのまま残る。


莉央は少し身体を動かした。


中にあるものの存在が、そのままついてくる。


「……変な感じ」


痛いわけではない。


ただ、機械が自分の中にある。


その事実だけが、妙にはっきりしていた。


莉央は、次のバイブへ視線を移した。


お尻に挿入する方。


大きさだけなら、前のものより小さい。


なのに、手がすぐには伸びなかった。


こちらは、本当に初めてだった。


経験がない。


どんな感覚になるのかも知らない。


莉央は指先で持ち上げた。


もう一度、専用ジェルを手に取った。


挿絵(By みてみん)


こちらにも、十分になじませる。


それからすぐには進めなかった。


身体の緊張が抜けるのを待つ。


呼吸を整える。


力が入っているのが、自分でも分かった。


急がない。


少し待つ。


それから、もう一度自分で選ぶ。


進める。


途中で、身体がきゅっと拒むように強張った。


莉央はそこで止まった。


「……っ」


前とは、まるで違う。


あそこ側には、まだ知っている感覚の延長があった。


こちらには、それがない。


身体が最初から警戒している。


莉央はそのまま、しばらく動かなかった。


呼吸をする。


肩の力を抜く。


急がず、身体の強張りが少しずつほどけるのを待った。


それから、また自分で続きを選んだ。


少しずつ受け入れる。


最後まで収まったとき、莉央は目を閉じた。


前。


後ろ。


二つとも、自分の身体の中にある。


その事実が、思っていた以上に重かった。


お尻側には、前にはない圧迫感があった。


身体の奥というより、まず入口から続く存在感が強い。


しばらくすると、それが少し落ち着いてくる。


前と後ろ。


別々の場所に入っているはずなのに、思ったより近い。


身体の中で、二つの硬い輪郭が前後から同じ場所を占めているような、妙な密度があった。


「……両方って、こうなるんだ」


莉央はゆっくり息を吐いた。


まだ、何も動いていない。


それなのに、もう身体の中は普段とはまるで違う。


少し姿勢を変えるだけで、前にも、後ろにも、装具があることが分かった。


次に、莉央はあそこに挿入したバイブから伸びるアームを手に取った。


先端の小さな吸引部を見る。


これが三つ目。


莉央は鏡へ視線を移した。


秘部の上にある、敏感な突起の位置を確かめる。


指で少し周囲を開く。


そこへ、小さな吸引部を合わせた。


柔らかな縁が、ぴたりと密着する。


莉央は指を離した。


ずれない。


まだ作動していない。


吸われる感覚もない。


ただ、敏感な部分に小さな装具がぴたりと張りついている。


それだけだった。


なのに、妙に気になった。


「……これで三つ」


莉央は鏡を見た。


挿絵(By みてみん)


あそこにはバイブ。


お尻にもバイブ。


そして外側には、吸引部。


全部、まだ静かだった。


それでも、もう身体の三か所が装具に占められている。


莉央はしばらく、その姿を見ていた。


怖さはある。


でも、それ以上に。


――本当にここまで来た。


そんな感覚が強かった。


そのまま、莉央は薄い固定ハーネスへ手を伸ばした。


前と後ろのバイブ。


そして、外側の吸引部。


三つを、その位置から動かさないためのものだった。


莉央は身体へ沿わせた。


鏡を見る。


「……これで固定するんだ」


一度、手が止まった。


それから、小さく息を吐いて、自分でハーネスを締めた。


挿絵(By みてみん)


「……っ」


前と後ろから、同時に圧がかかった。


二本のバイブが、ぐっと身体の奥へ押し込まれる。


反射的に、莉央の背筋が伸びた。


前にも。


後ろにも。


さっきより、硬い輪郭がはっきり残る。


外側では、吸引部も敏感な部分へぴたりと押しつけられた。


まだ動いていない。


莉央は少し身体を動かしてみた。


今度は、何もずれない。


「……すごい」


小さく呟いた。


三つの装具は、完全に身体へ固定されていた。


莉央は、次にニップルクリップを手に取った。


これはもう知っている。


前回、一度使った。


左右に装着する。


胸の先に、覚えのある刺激が戻ってくる。


けれど、今回は前回とは違った。


身体の中には、すでに二本のバイブがある。


外側には吸引部。


それらはハーネスで固定されている。


同じクリップなのに、前回より存在感が強く感じられた。


最後に残ったのは、口枷型デバイスだった。


莉央はそれを手に取った。


鏡を見る。


胸にはクリップ。


腰まわりには、薄いハーネスが身体に沿っている。


外側の吸引部も、ぴたりとその位置に収まっている。


見えない身体の内側には、前と後ろのバイブが固定されたままある。


そして、手の中には口枷。


これをつければ、準備は終わる。


莉央は一度だけ息を吐いた。


「……十分だけ」


口枷をつける前に、小さく呟いた。


十分耐えればいい。


それだけだ。


前回と同じものだ。


そのまま口元へ装着する。


これで、すべての装具がそろった。


莉央は一度だけ鏡を見た。


それから、スマートフォンへ視線を戻した。


準備を終えると、画面の表示が順番に変わった。


《装着状態を確認》


《接続確認》


《開始条件を満たしました》


莉央は一度、大きく息を吸った。


《10:00》


開始直後は静かだった。


何も起こらない。


そのことが、かえって落ち着かなかった。


どこから来る。


いつ来る。


そう考えているうちに、外側の敏感なところへ最初の刺激が来た。


莉央の肩が小さく跳ねる。


「んっ……」


刺激が続き、呼吸が少しずつ浅くなる。


――あ。


だめ、だめ。


まだ始まったばかりだ。


そう思ったところで、外側の刺激がふっと止まった。


莉央は思わず息を吐いた。


けれど、安心できたのはほんの一瞬だった。


次の瞬間、今度はあそこの中へ意識を奪われる。


「ん……っ」


莉央は眉を寄せた。


――そういうこと。


一定の刺激に耐える課題ではない。


あそこの中なのか。


お尻の奥なのか。


外側の敏感なところなのか。


一つが止まる。


ほっとする。


その瞬間に、次が来る。


身体が流れを覚えかけたところで、その順番まで変わる。


先を読もうとするほど、外される。


途中から莉央は、予測すること自体を諦めかけた。


そこで、ぞくりとした。


諦める。


委ねる。


その二つが、自分の中でひどく近い意味に感じられた。


これは耐えるミッションだ。


委ねてはいけない。


莉央は画面へ目を戻した。


《残り時間 06:12》


まだ四分近くしか経っていない。


挿絵(By みてみん)


その数字を見た瞬間、あの画像が浮かんだ。


顔が出ている。


薄いTシャツと、短いルームショーツ。


腕も脚も大きく出ていて、部屋着なのに妙に無防備に見える。


しかもブラをつけていないせいで、薄いTシャツ越しに胸の丸みが出ている。


先端の小さな膨らみまで、はっきり分かる。


短いショーツからは、太腿があらわになっている。


勤務先の誰かが見れば、すぐに桐生莉央だと分かってしまう。


自分で撮り、自分でAIへ渡した一枚。


失敗すれば、それが使われる。


分かっていた。


ずっと分かっていたはずだった。


それでも今までは、どこか現実味がなかった。


AIの中に保存されているデータ。


失敗したら発動する罰。


ただの条件。


でも。


もし、本当に会社の人間が見るとしたら。


A課長。


あの人なら、まず顔を見るだろう。


間違いなく桐生莉央だと分かる。


会議室で資料を説明している自分。


部下の相談に乗っている自分。


きちんとした服で、いつもの声で話している自分。


その人間が、どうしてこんな画像を自分で撮ったのか。


どうして、それを誰かの手へ渡したのか。


A課長なら、まず心配する。


何かに巻き込まれたんじゃないか。


脅されているんじゃないか。


「桐生さん。本当に大丈夫なのか」


いつもの落ち着いた声まで浮かんだ。


違う。


巻き込まれたんじゃない。


脅されたんでもない。


自分で撮った。


自分で送った。


そこまで知られたら。


心配していたA課長の目は、どんなふうに変わるんだろう。


外側の刺激が止まった。


莉央は浅く息を吐いた。


すぐに、今度はあそこの中へ意識を奪われる。


「ん……っ」


画像。


あれを思い出す。


失敗したら本当に使われる。


そうやって自分を戻そうとした。


次に浮かんだのはBだった。


同僚のB。


彼ならA課長とは違う。


普段の職場では絶対に見せない自分を知ってしまう。


いつもの落ち着いた桐生莉央とは違う姿。


一度知ったら、知らなかった頃には戻れない。


翌朝、普通に話せるのだろうか。


会議で向かい合ったとき。


廊下ですれ違ったとき。


何でもない顔をしていても、頭の中ではあの画像を思い出すんじゃないか。


そこで、お尻の奥へ意識を奪われた。


莉央の身体が強張る。


「んっ……」


画面を見る。


《04:37》


まだある。


画像。


もっとちゃんと考える。


怖くなれば戻れる。


そう思った。


そしてCが浮かんだ。


後輩のC。


きれい好きで、清潔好きで、そういう話題には明らかに距離を取る。


仕事では、いつも自分を頼ってくれている。


そのCが画像を見る。


顔が分かる。


自分で撮ったとしか思えない。


しかも、それを自分からAIへ渡している。


何も言われなくても、目は変わるだろう。


尊敬していた先輩を見る目から、距離を置きたい人を見る目へ。


莉央はぞっとした。


返事が少し短くなるかもしれない。


相談に来なくなるかもしれない。


今まで自然だった会話に、ほんの少し間ができるかもしれない。


誰も何も言わなくても、分かる。


見る目が変わった。


それだけは、きっと分かってしまう。


莉央はそこで、あの画像を送った夜を思い出した。


失敗しなければいい。


使われなければいい。


そう考えていた。


でも違う。


もう存在している。


自分の手元だけにあるものではない。


自分以外の何かが持っている。


取り戻せない。


送る前には戻れない。


――私、とんでもないもの渡した。


その事実が、初めて現実の重さを持った。


外側の刺激が戻った。


「ん゛……っ」


莉央は目を閉じかけた。


けれど、想像はそこで終わらなかった。


A課長。


B。


C。


いつの間にか三人は、画像を見ているだけではなく、莉央を囲むようにこの部屋に立っていた。


三方向から視線が集まっている。


A課長は、心配そうに眉を寄せていた。


「桐生さん。本当に大丈夫なのか」


その声が痛い。


違うんです。


誰かにやらされているんじゃない。


自分で始めたんです。


頭の中でそう答える。


もし、本当にそう言ったら。


A課長はもっと心配するのか。


それとも、理解できないという目に変わるのか。


その隣ではBが目を逸らさない。


驚いている。


でも、それだけではない。


普段は冷静な莉央が、今は反応を隠しきれなくなっている。


そのこと自体に、明らかに目を奪われている。


「桐生さん……ほんとに感じてるんだ」


莉央は、その言葉にも頭の中で答えていた。


――そう。もう、気持ちよくて、変になりそうなの。


そこまで考えた瞬間、自分でもぞくりとした。


もし、本当にそう答えたら。


Bはどんな顔をする。


驚くのか。


それとも、もっと目を離せなくなるのか。


自分の反応を隠すどころか、自分から教えている。


なのに莉央は、その先のBの顔まで想像しようとしていた。


そしてC。


Cだけは、はっきり顔をしかめている。


「先輩……気持ち悪いです。そんなものをいくつも体につけて、自分でこんなことしてるなんて、本当に信じられないです」


胸の奥が冷たくなる。


それなのに莉央は、また心の中で答えてしまう。


――そう。これが本当に私なの。


Cの表情がさらに硬くなるところまで想像する。


そこで止めればいい。


なのに、もう一言、続けたくなる。


もっと嫌われる言葉を。


もっと見る目が変わる言葉を。


莉央はそこではっとした。


三人は何もしていない。


言わせているのも。


答えているのも。


全部、自分だった。


――私、何してるの。


ようやく理性が割り込んだ。


最初は、三人を思い出せば止まれた。


失敗したら失うものを、現実として思い出すためだった。


でも今は違う。


A課長の心配が、いつ理解できないという目へ変わるのか。


Bがどこまで自分の反応を見続けるのか。


Cがどの瞬間に、本当に自分を嫌いになるのか。


その先を、自分から見ようとしている。


心配。


興奮。


軽蔑。


どれがいちばん自分を揺らすのか。


そんなことまで、知らないうちに試していた。


ぞっとした。


AIだけじゃない。


自分自身まで、自分を追い込む側へ回り始めている。


《02:03》


あと二分。


莉央は画面を見つめた。


もう三人の顔は見ない。


言葉も聞かない。


ここから先は使わない。


そう決めた。


AIが、また順番を変えた。


それでも莉央は耐えた。


委ねない。


考えない。


ただ残り時間だけを乗り切る。


ところが。


そこでAIの動きそのものが変わった。


それまで別々だった三つの刺激が、ほとんど同じタイミングで重なった。


「ん゛――っ!」


莉央の首が大きくのけぞる。


肩が上がり、背中が反る。


一瞬、息が止まった。


次の瞬間には、押し殺していた呼吸がまとめて漏れた。


「んっ…………ん゛ぅっ」


額にはいつの間にか汗が浮いていた。


こめかみを伝った汗が頬へ落ち、首筋にも細い筋を作る。


前髪は額へ張りつき、脚には力を入れているつもりなのに、膝が小刻みに震えていた。


だめ。


これは危ない。


三つが別々だったときは、まだ逃げ場があった。


一つに意識を奪われても、別のことを考える余地があった。


でも今は違う。


三つが重なる。


どこにも意識を逃がせない。


「ん゛……っ、んん……!」


また首が反る。


戻そうとする。


また反る。


呼吸を整えようとするたび、次の波が来る。


身体の反応が先に出て、そのあとから莉央の意識が必死に追いついていく。


――委ねたら、楽になる。


その考えが浮かんだ。


今までより、ずっと自然に。


もう考えなくていい。


A課長も。


Bも。


Cも。


画像も。


全部忘れてしまえばいい。


そのままAIに任せてしまえばいい。


一瞬、本当にそうしてしまいそうになった。


――だめ。


莉央は強く首を振った。


ここまで来た。


あと少し。


これは耐えるミッションだ。


委ねてはいけない。


画面へ目を戻す。


《規定反応への接近を検出》


《残り時間 00:14》


十四秒。


挿絵(By みてみん)


あと十四秒しかない。


安堵が走った。


その直後。


十四秒もある。


反対の言葉が浮かんだ。


三つはまだ止まらない。


首が反る。


肩が震える。


汗が頬を伝う。


呼吸はもう一定にならない。


それでも目だけは画面から外さなかった。


《00:08》


A課長。


B。


C。


名前だけ。


顔は見ない。


声も聞かない。


《00:05》


委ねない。


《00:03》


身体が大きく震えた。


「ん゛……っ!」


《00:02》


まだ。


《00:01》


《MISSION CLEAR》


《規定反応は検出されませんでした》


莉央は動かなかった。


何秒か経ってから、ようやく大きく息を吐いた。


終わった。


耐えた。


A課長も。


Bも。


Cも。


途中から、自分であの三人を使っていた。


それでも。


――私、耐えられた。


その実感が、ゆっくり胸の中へ広がっていった。


《装備を解除してください》


画面に表示されても、莉央はしばらく動かなかった。


その夜は、もう同じことはしたくないと思った。


けれど翌日。


出社してしばらくしてから、莉央はふとA課長を見た。


いつもと同じ顔で、いつもと同じように仕事をしている。


当然だった。


何も知らない。


そのことに、妙にほっとした。


少しして、廊下ですれ違ったBにも目がいった。


一瞬だけ、昨夜の想像が重なった。


――桐生さん……ほんとに感じてるんだ。


そんなことを言うはずもない。


Bはいつも通り軽く会釈して、そのまま通り過ぎた。


莉央は小さく息を吐いた。


そして午後。


質問に来たCが、いつものように資料を差し出した。


「先輩、ここだけ確認してもらっていいですか」


いつもの声。


いつもの顔。


それなのに莉央の頭には、一瞬だけ別のCが浮かんだ。


――先輩……気持ち悪いです。


莉央はすぐにその想像を追い払った。


「うん、ここね」


何事もなかったように答える。


Cも何も知らない。


A課長も。


Bも。


誰も知らない。


そのことに安心した。


はずだった。


仕事へ意識を戻してしばらくすると、莉央はまた三人の顔を思い浮かべている自分に気づいた。


終わったはずなのに。


頭の中では、まだ終わっていなかった。

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