↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
51/61

その10 冬、再び

(10)




 寒い冬は自転車乗りには酷だ。それは誰でもかもしれない。何せ、ハンドルを握る指先が寒さで痛くなるからだ。唯、夜の街は少しずつ色めき始めている。それはクリスマスが近いからだろう。街には色めくようなネオンが煌めき、また十三の卍楼も夏の頃の盛り場とは違うような、雰囲気になっている。その卍楼傍の電柱へロダンはランドナーを錠で括りつけると、背を丸めるようにして歩み出す。

 ロダンは久々に卍楼へ遣って来た。

 そう、夏のあの事件以来かもしれない。

 とはいえ、その事件は全く自分が抱えている本件とは別件であり、いや別件どころか、全くついでに関りを持った程度なのだが、何を云々かんぬん言うよりも、とりあえずロダンはそれ以来に卍楼にやって来た。

 足が止まる。それは卍楼へ入る細い路地の入口。夏、自分は此処で『百眼』こと事件の依頼主の西願寺亮介の代わりとして、此処に易者として座っていた。

 そして、そこに現れたのが…

 ロダンはふとそこにあの時の夏の影が残っていないか感じたが、軽く首を振ると、背を向けた。戻れない時間がそこにはある。それだけが分かれば…、と思った時だった。向けた背に夏が声を掛けてきた。それも巣分変わらぬ、艶めいた声で。

「何や、随分ご無沙汰遣ったな…ロダン」

 ロダンは大きく息を吐くと振り返った。そこには夏の頃と変わらぬ卍楼の案内人――通称『閻魔』が立っていた。

 ロダンはマリモの様に伸びた縮れ毛をポリポリと掻くと、にこりと微笑んで言った。

「燕さんも、その後お変わりなく。また一層艶めきましたねぇ。また戻ってきました、四天王寺ロダン。今度こそ、依頼された件を解決するために」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。