決断。
年末年始の休みが終わってしまい小説のUPが遅れることもあるかと思いますが温かく見守って貰えれば幸いです。
火魔法を手にいれた俺は喜びを隠して息を潜めた。
スキルを奪ったことなど簡単にばれないだろうが、不審な行動をとっている事を知られるのは絶対に避けたい。
火魔法が使えなくなったゴルチは、突然の出来事に何が起きたのか未だに理解できず、
「ライトファイア!ファイアボール!ファイアランスーーー!!」
半狂乱になりながら自分がこれまで使用できたはずの魔法を放とうとしていた。
スキルは俺が奪ったので、もちろん魔法が発動することはない。
盗賊団はいつもと違う様々なトラブルの連続で襲撃どころの雰囲気ではなくなっていた。
俺としては『このままだと襲撃は中止になるかもしれないな』などと思い始めていたのだが。
「お前ら!黙らねぇとぶっ殺すぞ!!」
突然、頭領のゴンゴルが叫んだ。
さっきまで居眠りをしていたはずだが、さすがに騒ぎが大きくなったことで起きたらしい。
混乱していた盗賊たちはゴンゴルの一喝で静まり返った。
襲撃前の大事な時に居眠りしているような男だが、さすが頭領である。
コイツただの馬鹿なんじゃないかと思っていたが、いざと言う時にはカリスマを発揮できる人物だったようだ。
ゴンゴルは静かになった盗賊たち全員へ声を張り上げ続ける。
「何が起こってるか分からねぇが、それを今考えても仕方ねぇ。俺らは盗賊だ。何が起ころうと、やろうと決めた襲撃は必ず成功させる。それが俺たち“死肉のハゲタカ”の絶対の掟だ。お前らにその誇りはねえのか!」
新入りの俺は知らなかったが、この盗賊団にはどうやらそういった掟があったようだ。
恰好良さげに言っているが、もちろん俺にそんな誇りはない。
それどころか、異世界来ていきなり犯罪とか勘弁して欲しいな。なんて思ってるくらいだ。
だが盗賊たちは頭領の言葉に感化され、先ほどまでの混乱状態を完全に回復させたようだ。
盗賊団一混乱状態にあった副頭領のゴルチも既に平静を取り戻しており、ゴンゴルに告げた。
「兄貴。村に出してた斥候が戻ってきたみたいだ」
その後、戻ってきた斥候を交えゴンゴル、ゴルチと幹部連中は村の襲撃作戦の練り直しを始めたらしい。
盗賊たちの下っ端は命令が下されるまで待機となった。
俺はその間にステータスを確認する。
実は先ほど、ゴルチの[火属性Lv3]を奪った後に、特殊スキルの[神眼]がLv2になっていたのだ。
そしてLvアップしたことによって出世でもしたのだろうか?
[神眼]に入っていたはずの[鑑定][アイテムボックス][異世界言語]がそれぞれ別の特殊スキルとして立派にステータスに表示されるようになっていてLv2として表示されていた。
俺は注視して内容を見てみる。
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[鑑定Lv2]
あらゆるものの鑑定ができる。
Lvアップするほど鑑定できるものの範囲が増す。
[アイテムボックスLv2]
非生物であれば、基本的にあらゆるものを収納・取り出しすることができる。
Lvアップするほど収納できる最大容量が増える。
[異世界言語Lv2]
あらゆる知的生命体と会話することができる。
Lvアップすることで伝説上の生物との会話も夢ではない。
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おお!さすが特殊スキルだけあってそれぞれ凄い!!
というか俺の中で地味なスキルだと思っていた[異世界言語]が、人だけでなく知的生命体全般が対象だったとは…お見逸れしました。
気分も盛り上がり他のスキルも見てみたが、結果的に他のスキルで敢えて説明するなら[火魔法]だろう。それ以外は見たまんまだった。
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[火魔法]
・ライトファイア(火魔法Lv1で使用可能)
小さな火球を掌に発現させる魔法。
火種として使うか灯りとして使われる。
・ファイアボール(火魔法Lv2で使用可能)
火球を飛ばすことが出来る。
火魔法の攻撃魔法としては下級に分類される。
火球の大きさや飛距離は使用時の火魔法Lvと込める魔力の量に依存する。
・ファイアランス(火魔法Lv3で使用可能)
火槍を飛ばすことが出来る。
火魔法の攻撃魔法としては中級に分類される。
火槍の大きさや飛距離は使用時の火魔法Lvと込める魔力の量に依存する。
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どうやらさっきゴルチが唱えていた3つの魔法を、そのまま俺が使えるようになったようだ。
やっぱ魔法使いたいな等と思っていたら、作戦を練り終えた様子のゴンゴルやゴルチから作戦内容が盗賊団全員へ告げられる。
内容は村まで静かに忍び寄り一気に襲撃。
それだけだった。
おい!!作戦練ってたんじゃないのかお前ら!?あの作戦練る時間って何だったんだよ!!?
心の中でつっこみを入れながらも俺は村への襲撃のときはどう行動すべきか考える。
盗賊ならばきっと“人を殺す”場面が必ずあるはずなのだ。
自分の命を脅かすような相手であればまだしも、自分から率先して“人を殺す”なんてまず俺にはできないし、一度でも盗賊に交じって犯罪行為をしてしまってはもう引き返せないかもしれない。
もしかすると何か特殊なスキルや魔法や道具によって過去の犯罪歴が分かるようなものがこの世界にはあるのかもしれない。
これはもう選択せねばならないだろう。
盗賊たちとアガット村へ静かに移動していく中、俺は一つの決意をした。
俺は逃げ場が無くなると立ち向かってく性格なんだよ。




