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完成の光と未完成の心

知らない場所へ行く。


知らないものを見る。


知らない味を知る。


それだけの一日が、


少女にとっては、


初めての「自由」だった。

調律装置の低い唸りだけが、この実験室の空白を満たしていた。


目の前、封じ込め磁場の中に浮かんでいる魔術装置が、ようやく振動を止めていた。その表面は小さな宝石のような形に落ち着き、水晶質のプラチナ色――天井の蛍光灯をまるで永遠の氷の欠片のように映し込むほど、磨き上げられた輝きを持っていた。作業台の向こう側では、ファウスティーヌが野外調査のメモを確認しながら、最後の数式の調整を羽ペンで書き込んでいた。


その宝石を、じっと見つめた。


私のすべてが、この一ミリの物質に集約されている。絶対的な効率を叩き込まれた私の頭脳は、自動的に構造スキーマを再検証し始めた。このプロジェクトの目的は、絶対魔術触媒の製造にあった――使用者の魂、魔力、そして肉体との完全同期装置。生きている触媒。これは魔法の杖でも、アクセサリーでもない。多層魔術陣の超複雑な絡み合い、亜原子レベルに刻み込まれた秘奥の署名、高密度魔力貯蔵核、そしてアナログ式の霊的共鳴システム――その機能は厳密に二値的だ。四つの変数が完全な均衡に達するまで、この魔術装置は不活性状態のまま眠り続ける。


魔力――肉体再構築を起動するための最低エネルギー閾値。魂――唯一の霊的署名の読み取り。この魔術装置は一途だ、認識するのは所有者ただ一人。意志――欲求の臨界量。行動したいという願望だけでは足りない。論理的かつ絶対的な決断が必要だ。


そのすべての変数が収束した瞬間、変身が起きる。魔力の流れが最適化され、適応型魔術鎧が顕現し、外見が変化し、そして触媒は使用者の精神に基づく固有の武器を生成する――剣、槍、鎖、盾。二つと同じものは存在しない。身体能力を増幅し、魔術エネルギーの熱損失をゼロにまで抑える。


これは極めて内密なシステムだ。研究、技術、外部の魔術式の実行に依存する魔術師の従来の魔術とは異なり、これは自分自身をどれだけ深く理解しているかにかかっている。己の存在との絶対的な同期に。


……しかし、私の方程式にはまだ異常が残っている。何かが欠けている感覚が消えない。余分な封じ込め術式の円か、新しいルーン紋様か、あるいはより効率的な魔力触媒か……。


「春花!」


ファウスティーヌの声が、私の分析ループを断ち切った。


「インジケーターを見て。もう点滅していないわ」


宝石が、一定の温かいパルスを放っていた。ファウスティーヌの言う通りだった。データはすべて一致している。これ以上調整する必要はない。魔術装置は完成した。


明日は魔術師の議会の前で公式プレゼンテーションを行う――地上に降りた魔法使いたちも交えて。


横目でファウスティーヌを見た。彼女の顔に刻まれた疲労の色を見て、奇妙な圧迫感が胸の中に広がった。彼女は私の友であり、師であり、私がまだ目的のない計算機に過ぎなかった頃に、私の知性に初めて方向性を与えてくれた唯一のベクトルだった。彼女がいなければ、この触媒は決して存在しなかった。公式に、私は自分が持つすべてを彼女に負っている。


……それでも。


このプロジェクトが終わった後、私を待っている人がいることを、知っている。


エレノア。


その名前を思い浮かべるだけで、深い混乱が生まれた。昨日、「正式な謝意を伝える」という厳密に論理的な名目で彼女に会いに行った。だが、論理は都合のよい嘘だ。会いたかった。彼女が存在することを確認したかった。


初めて一族の集会の際にあの公衆トイレで交差した日から、彼女は私にとって奇妙な存在だった。あの不合理なまでの悪意の欠如が、むしろ私に寒気を与えた。その後、彼女は陰陽師たちから私を救った。なぜそこにいたのか。頭脳は確率の線を引こうとする。監視していたのか。守っていたのか。ウィンターフォール一族の霊的魔術を専門とする魔術師が、ナイトシェイドの一員を保護しようとする、その大局的な経済的または政治的目的は何なのか。


……あるいは、もしかして――いや、違う。これは論理的な思考ではない。彼女を測ろうとすると、分析が破綻する。次に会った時、直接聞けばいい。


入院中に見舞いに来てくれた時のことも覚えている。あの時の私は精神的に酷くやられていた、死の近さに心が砕けていて、彼女の姿を見て理不尽な恐怖を感じた。私の軸を取り戻してくれたのは、彼女の人形のリリウムだった――その謎めいて温かな存在が。そして二度目の会話で、彼女のあの癪に障る癖を発見した。自分を否定し続け、天才ではないと誓い続ける癖を。腹が立つ。測り知れない生まれながらの才能を持つ人間が、他者の基準に合わないからといって自分を小さくする姿が、私はどうしようもなく嫌いだ。


目を閉じると、彼女の像が網膜に驚くほど鮮明に投影される。ほとんど暗い栗色の髪。灰色の瞳――色は私のものと似ているのに、その温かさがまるで違う。話を聞く時に顔を傾けるその仕草。私を見る時の柔らかさ。昨日、彼女に「本当の友人」と嘘をついてしまった。私たちの間に永続的な絆を強制するために。罪悪感がある。ファウスティーヌが最初の友人だったのに、師弟関係という階層がその定義をずっと曇らせてきた。同じ年頃の友人を、今まで一度も持ったことがない。


エレノアを見ていると、近づきたいという生物学的とも言える衝動が湧いてくる。彼女の軌道に引き込まれる重力のような緊迫感。非論理的だ。ほとんど言葉を交わしていないのに、傍にいたいと思っている。


「春花!」


肩に手が置かれた。ファウスティーヌの手袋の感触が思考を遮った。


「完全に上の空ね。それはあなたらしくないわ」


「何でもありません」


即座に答え、喉を軽く鳴らした。


「明日のデータを再検証していただけです」


「プレゼンの準備はすべて整っているわ」


彼女は微笑みながら手を引いた。


「ミスはないわ。私たちのプロジェクトよ、春花。私たちの人生の仕事」


真の幸福の波が押し寄せ、背骨を震わせる振動が走った。


やり遂げた。


だが、私の頭脳はイベントの計画における空白を即座に検出した。


「ファウスティーヌさん、運用上の問題があります」


腕を組みながら言った。


「明日の参加者は経験的なデモンストレーションを要求するでしょう。私たちは魂の拒絶反応のリスクから、生体実験は行っていない」


「それは対応済みよ」


彼女は神秘的な声色で答えた。


「デモンストレーションに個人的に志願してくれた方がいるの」


「志願者ですか。名前を記録に登録する必要があります」


「内緒よ」


ファウスティーヌは笑い、羽ペンで私の額を軽く叩いた。


「明日のお楽しみに。その日になれば分かるわ」


「サプライズは嫌いです、ファウスティーヌさん。データ予測の欠陥ですから」


眉をひそめながら反論した。


「私は何でも知りたがる生徒が眠らないのが嫌いよ」


彼女は冗談めかしてメモをしまった。


「これは"科学的魔術師の休養実験"と考えなさい。あなたの頭は飽和状態よ。休みなさい、今日は残りを自由に使っていいわ。これ以上、今日の課題はないわ」


頭が真っ白になった。


自由な時間? 私の日課に空白は存在しない。ルーン光学レンズの調整について言い訳を探そうとしたが、ファウスティーヌは確固たる微笑みを浮かべながら、半ば私を研究室の出口へと押し出した。


「私は大丈夫だから、行って休養しなさい。分かった、春花?」


ジャケットのポケットに両手を突っ込んで、ナイトシェイドの屋敷の廊下を歩いた。普通の人間は自由な時間に何をするのだろう。部屋に戻って魔力流れ密度に関する書籍を開き、日が暮れるまで読み続けることもできる――それは今まで何千回もしてきたことだ。だが今日は……今日は、この日が日常の中に溶けてほしくない。


エレノアの顔が再び頭をよぎった。


会いたい。しかし公式な口実がない。招待状はもう昨日届けてしまった。そこで、極めて初歩的な発想が浮かんだ。自由な時間があるなら、彼女を外に誘えばいい。ただ時間を過ごすために。同じ空間に存在するだけのために。


一族の運転手に車の準備を命じ、ウィンターフォールの屋敷に向かうよう指示した。市内の渋滞のせいで車がひどく遅いペースで進む中、胃に正体不明の圧迫感を感じた。


緊張している。


誰かを外に誘うという、どんな若者でも成人でも難なくこなす初歩的な行動で、緊張している。頭脳が幼少期の記憶へと引きずられる。静まり返った部屋の連続、作法の家庭教師、魔術の本、暗い壁。両親の声すら、ほとんど覚えていない。今頃、彼らは世界のどの象限でその研究に没頭しているのかすら分からない。ずっと一人だった。


その孤独の確かさが、エレノアを思った瞬間に真正面から激突する。なぜ、こんなにも正反対の在り方を持つ彼女を、対等な存在として見ているのだろう。彼女には私の論理を挑発する何かがある。それを解明したいのだと、自覚している。


車が屋敷の門前に停まった。私はドアを開け、石畳に足を下ろす。入口に立つ使用人が、私の姿を認めると静かに頭を下げた。


「エレノア様は只今ご不在でございます、春花様。数時間前にアカデミーでの重要な会議にお出かけになりました」


冷たい空洞が、胸の中に根を張った。


失望だ。


表情を中立に保ったまま、頷いた。当然のことだ。エレノアには彼女自身の用件があり、複雑な生活があり、支えるべき一族がある。一族の屋敷の研究室という空白の中を漂う衛星のような私とは、違う。


車に戻り、ドアを必要以上の力で閉めた。


「次はどちらへ、春花様?」


運転手がバックミラー越しに尋ねた。


「どこでも」


不機嫌に答えた。


「走らせてください」


「もう少し具体的にお願いできますか、春花様?」


「あなたが決めてください!」


純粋な苛立ちから声が上がった。


運転手は黙って頷き、車を発進させた。窓の外を見つめながら、建物がぼやけた閃光のように流れ過ぎていくのを眺めた。彼女に今日会いたかった。明日のプレッシャーのない状態で話したかった。少なくとも、プレゼンには出席すると分かっている。


やがて車が大きな駐車場に停まった。


「市内で最も人気のあるショッピングモールでございます、春花様。気晴らしになるかと思いました」


バックミラー越しに運転手が言った。


窓越しに巨大なガラス張りのビルを眺めた。車を降り、入り口へと歩を進めた。回転扉をくぐった瞬間、都市の空気が既に春の匂いをまとっていることに気付く。時間は飛んでいく、止められない変数だ。


モール内は人で溢れ返っていた。人間の密度に即座に圧倒される。ゆっくりと歩きながら周囲を観察した。私には理解できない理由で笑い合う家族、騒々しく会話する友人グループ、袋を抱えた一人歩きの人々。これが人間社会だ。ここまで深く浸かったことは、今まで一度もなかった。これほど奇妙に疎外されながらも、同時にこれほど魅了されたことも。


季節物の衣料品店の前で足を止めた。店内に入ると、店員が恐ろしい速度で近寄ってきて、春のコーディネート、軽い生地、割引情報について途切れなく話し続けた。その言語的な圧迫感があまりにも強く、踵を返して店を飛び出した。あの多弁さは侵入者を追い払うための精神技術なのか、それとも購買を強制する戦略なのか。なんと非効率なシステムだ。


歩き続け、宝石店の前で立ち止まった。魔術師にとって宝石は魔力の容器であり、魔術導くの道具だ。人間にとっては美学に基づいた装飾品に過ぎない。中に入り、ショーケースを観察する。ネックレスの中に、小さな透明なクリスタルをあしらったシルバーのものが目に留まった。


即座に、エレノアの像がそのネックレスに重なった。


彼女の首元に、美しく映えるだろう。彼女が着るドレスの落ち着いた色調に合っている。


「プレゼント用にお包みしますか、お客様?」


店員が笑顔で尋ねた。


一秒間、考えた。耳に馬鹿げた熱を感じた。


「はい。お願いします」


言いながら、クレジットカードを取り出した。


外に出て、光沢紙で包まれた小さな箱を手に持った。なぜ買ったのか、分からない。この衝動は論理的なニーズには対応していない、ただ彼女の反応を見たいという動機だけに応えている。


甘い香りが思考を遮った。振り返ると、伝統的な菓子の屋台が見えた。形や色に興味を引かれて近寄った。私にとって、これらはすべて「甘い物」という汎用ラベルに分類されるが、好奇心から尋ねることにした。


「これらの商品の名称を教えてもらえますか?」


店員に尋ねた。


女性は微笑みながら一つ一つを指差した。


「こちらが金平糖、あちらが団子、こちらが羊羹、鯛焼き、抹茶飴、そしらこちらが桜餅です。地元のお菓子もございます。クリームやお酒、ナッツ入りのボンボン、色とりどりのグミ、マカロン、アイシングクッキーなど」


砂糖の分類学の多様さに感嘆した。普段は研究室の時間を最適化するために栄養バーとコーヒーしか摂取しない。甘い物はほぼ食べない。しかし今はこの環境を探索しているのだから、桜餅を指差した。春はもうここにあり、市内の桜の木もまもなく開花し始める。日付として数学的に適切な選択だ。


食べる場所を探して通路奥のテーブルエリアを見つけた。座り、宝石店の小箱を脇に置いて、葉に包まれたピンクの甘い物を眺めた。


奇妙な衝動が起きた。スマホを取り出した――普段は一族からのアラートを受信するためだけに使う装置だ――そして生まれて初めて、厳密に個人的な目的のためにそれを使った。写真を撮った。


画面の中の画像を見ながら、エレノアのことを考えた。もし彼女がここで向かいに座っていたら……何を注文しただろう。彼女の性質から判断するに、きっとアイシングクッキーか、彼女の人柄に合った何か伝統的なものを選んだだろう。


小さく笑いが漏れて、誰にも聞こえないよう即座に口を覆った。


一口齧った。甘く、葉の味でわずかに塩気がある。悪くない。


噛みながら、また桜のことを考えた。このプロジェクトが終わって、本当の自由な時間が生まれたら、中央公園の桜の開花を見に誘えるかもしれない。私は手が空く。彼女も空いていてくれれば、いい。


食べながら周囲を眺めた。人々が通り過ぎ、それぞれの物語を生き、触れ合わずに交差する無数の小さな宇宙たち。彼らの誰もが、二メートル以内に魔術師が春の菓子を食べているとは知らない。もし人間たちが私たちの存在を知ったら、社会はどうなるだろう。陰陽師たちの暴露があって、魔術師に「説明のつかない現象」として分類された。人間は人間に秘密を持ち、魔術師は魔術師に秘密を持つ。両社会は、その偽善において構造的に同一だ。


この世界にまだどんな暗い秘密が埋められているのだろう。いつか、一族のためではなく、この普通の人々が自分を守るための道具となる魔術装置を設計すべきかもしれない――


突然、激しく予期せぬ咳が思考を遮った。真後ろのテーブルから来ている。奇妙な衝動に駆られ、自分のコードには存在しないはずの共感から、即座にその音の発生源へと振り返った。


「大丈夫ですか?」


後ろのテーブルの男性は布のハンカチで口を拭いながら、息を整えた。よく見ると、驚くほど背が高く、がっしりとした体格の、四十代ほどの男性だった。しかし最も衝撃的なのはその服装で、私の一般教養データが正しければ、それは宗教関係者が着る暗い色の衣服と白い首元だった。


神父だ。


「大丈夫ですよ、お嬢さん。ありがとう」


男性は深みのある穏やかなトーンで笑った。


「頼んだ料理が予想より熱かっただけですよ。スープで気道を焼きそうになってしまいました。はははは!」


「あ、そうですか……」


「咳いているのを聞いて心配してくれるなんて、感謝しますよ」


「衝動的でした」


視線をそらしながら答えた。若干の居心地の悪さを感じながら。


「あまりに突然で、驚いてしまいました」


神父は大きな笑い声を上げ、数人が振り返った。


「ははは! 今どきの人は他人の顔も見ないし、モールで咳している見知らぬ人を心配することもまずない。あなたは良い心を持っていますね」


それに対してどう答えたらいいか分からなかった。人間社会に属しているわけではないから、彼らの連帯感の統計を評価できる立場にない。男性は顎に手を当て、輝いた平和な目で私を分析した。


「一つ聞いていいですか……もしかして、有名人ですか?」


「いいえ。全くそんなことはありません。なぜそのようにお思いですか?」


「外見がそう見えたものですから」


高貴な仕草で詫びた。


「失礼な、あるいは出すぎた発言だったなら申し訳ないですが、あなたは本当に群衆の中で際立っています。特に顔立ちと眼差しが。重要な人物のような佇まいですね」


そのデータを処理しながら沈黙した。男性は深く息をつき、自分の手を組んでテーブルを見つめた。その姿勢に、ある種の重さがある。


「何かありましたか?」


尋ねた。民間人に関わらないという自分のルールを破りながら。


「実は……どうしたらいいか分からなくて」


神父はある種の諦めを滲ませた微笑みを浮かべた。


「今日、ちょっとした仕事のために外部の助けが必要でしてね」


「どのような種類の助けですか?」


神父は私を真っ直ぐに見つめ、その目に世俗的な才気の閃きが光った。


「よろしければ、手伝っていただけますかな、お嬢さん?」


「まず、作業の性質を明確にしていただく必要があります」


苛立ちを含ませながら答えた。


「実は、このモールでこちらの宣伝チラシを配りたいのですよ」


神父は紙の束を見せた。


「でも、わたくしのような大熊みたいな外見では、人々が逆方向に速く歩くだけでしてね。それでたった今、考えが浮かびました。あなたのような存在感のある方が配ってくださったなら、受け取り率は百パーセントになるでしょう」


この人物が言いたいことは、完全に理解できた。私の外見を広告ツールとして使いたい。


「断ります」


自分の立場を声だけで明確にするため、はっきりと言った。


神父は諦めた様子で溜息をついたが、右手を差し伸べて一枚の紙を渡した。


「分かりました、強要はしません。でも、せめてこれだけ受け取っていただけますかな」


紙を受け取らない論理的な理由はなかった。受け取って、見出しを読んだ。地元の教会の案内チラシだ。裏返してデザインを分析する。至高神と、そのいわく教派の名前――白の玉座教会――について書かれていた。


「あなたは全能の神の存在を信じている方々の一人ですか?」


科学的な好奇心を持ってに尋ねた。


神父は短く笑い、私の言い回しに面白さを感じている様子だった。


「その通りですよ。わたくしはバルトロマイと申します」


自己紹介しながら手を伸ばした。


「はい、その神と、私たちへの愛を信じることに生涯を捧げていますよ」


教会については歴史記録の中でぼんやりと聞いたことがある程度で、古代的な社会統制構造として分類されていた。神聖な存在や魔力の範囲を超えた神秘的な力の存在に、一ミリ秒も考えを割いたことがない。


バルトロマイ神父は、私の顔に霊的なものがゼロであることを見て取ったようだった。


「教会の教えについて、何も聞いたことがないのですかな?」


答えを知りたそうな探るようなトーンで尋ねた。


「いいえ。この話題に関心を持ったことがありません」


端的に答えた。


「そうですか」


神父は顎を撫でながら考え込んだ。


「少し時間があれば、私たちの信仰が提供するみことばと慰めについてお話しできますがな」


「結構です」


素早く立ち上がりながら言った。


「時間は限られていますから」


「とても頑固な若い方ですね」


神父は気分を害した様子もなく微笑んだ。


「それに、あなたほどの年齢の方が……この街の日常からこれほど切り離されているのは、とても不思議ですね。あるいは、今日はとても特別な若い方に出会えた運だったのかもしれませんが」


この会話がイデオロギー的勧誘の試みへと向かっているのを感じた。荷物と贈り物の箱をテーブルから取った。


「失礼します」


一歩後退しながら言った。


「行かれる前に……せめてお名前を聞かせていただけますかな?」


神父は穏やかに頼んだ。


「春花です」


簡潔に答えた。


踵を返してテーブルエリアの出口へと歩き始めた。背後で、あの男の深い声が力強く響いた。


「良い一日を、春花さん! 至高神があなたの歩みを導いてくださいますように!!」


振り向かずに速足で歩いた。


あのような人間が存在するという事実が、甚だしく奇妙に感じられた。自分たちより上位にあるとされる抽象的で不可視でいわく全知の存在に、信頼と運命の全てを委ねる生命体。その概念は私の頭脳に収まらない。それほど抽象的で非論理的な考えが社会全体を一つに保っているとは、到底信じ難い。


激しく頭を振ってその神学的思考を払拭した。


さらに進むと、輸入酒専門店の前を通った。アルコールは脳の認知機能を変質させるため摂取したことがない。しかし人間も魔術師も祝宴でそれを使うことは完全に知っている。


買いたい。エレノアと二人でいる時に、お祝いに使えるように。


通路の真ん中で、ぴたりと立ち止まった。


今……エレノアと二人でお祝いすると想定したのか。その解析的な結論を裏付けるデータが一体どこにあるのか。彼女が将来一緒に出かけることを承諾するかどうかすら、分かっていない。


自分の論理的な厳密さへの欠如に拳を握りながら、内なる議論を無視して店に入った。


「重要な祝典に適した一本を探しています」


店員に言った。


店員は私の公式で技術的なトーンに少し戸惑った様子だったが、スパークリングワインのコーナーへと案内してくれた。高級シャンパンを一本購入した。


屋敷に戻る時間だと感じたが、出口へと向かおうとした時、ラーメン店の香りが鼻を直撃した。胃が律動的な抗議の音を立てた。先ほどの桜餅ではカロリー需要が全く満たされていなかった。


店に入り、一人テーブルに座った。メニューを持った店員が近寄った。


「ご注文はお決まりですか、お客様?」


ペンを構えながら聞いた。


メニューを見て圧倒された。一つの基本的な料理にこれほど多くのバリエーションが存在するとは。味噌ベース、醤油、豚骨、太麺、細麺、様々なトッピング……静止している店員の姿勢から急かされているように感じ、時間を最適化するためにランダムに一つ選んだ。


料理を待つ間、すぐ後ろのテーブルの若い人間たちの会話が耳に入った。学校の活動について話しているようだった。


笑い声が店の雑音と混ざり合った。


真剣な表情を保とうとあらゆる努力をしたが、その光景が頭の中でこれほど馬鹿げた映像を生成したせいで、胃がけいれんした。唇をぎゅっと閉じて笑いを堪えたが、歯の間から小さな楽しそうな咳払いが漏れた。


人間の学生というのは、なんと奇妙な生き物だろう。


店員がラーメンのどんぶりを運んできた。一口食べると、味が直接的な衝撃を与えた。スープは濃厚で完璧に味付けされ、麺は適切な歯応えを持っていた。こんなにも素朴で完璧な組み合わせの味を、今まで試したことがなかった。異常な効率で器を平らげ、会計を済ませて店を出た。


今日の時間を真に楽しんでいると、初めて感じた。


モールの出口に向かう途中、外の広場に人が集まっているのに気付いた。弦楽器と打楽器の音が聞こえてくる。好奇心から近寄り、小さな若者グループが生楽器で歌っているのを観察した。ストリートミュージシャンだ。


群衆の中で静止したまま、耳を傾けた。ファウスティーヌが研究室でBGMとして流すクラシックオペラを聴いた程度しか音楽の経験がない。しかし人間の声の振動をこれほど近くで、空気の中でリズムを直接感じながら聴くのは、唯一無二の経験だった。


三曲目が終わると、群衆が熱狂的に拍手した。静止したまま、しかし胸の中に奇妙な軽さを感じた。若者の一人が近づいてきて紙を渡した。


「インディーバンドを結成しているんです」


言いながらフライヤーを渡した。


「街の人たちの応援を探しています。SNSをフォローしてください!」


紙を受け取り、タイポグラフィを分析した。人間の音楽バンドを応援するためにどんな行動が必要なのか、全く分からない。エレノアなら知っているだろう。彼女はこういった社会的なダイナミクスをすべて理解しているように見える。


フライヤーをジャケットにしまい、駐車場へと向かった。


帰路は大規模な渋滞で完全に遮断された。車の列が午後の太陽の下、数キロにわたって伸びている。遠くに、窓越しに公共公園の緑の広がりが見えた。


突然、強烈かつ差し迫った必要感を覚えた。


「ここで降ります」


運転手に言い、低速車線の真ん中でドアを開けた。


「春花様、お待ちください!!」


運転手が慌てながらトラフィックを見た。


「幹線道路のど真ん中です、危険です……」


無視した。車を降り、停止した車列を縫うようにして走った。何人かのドライバーが苛立たしそうにクラクションを鳴らしたが、その律動的な騒音を無視して公園の芝生へと走り込んだ。


子供たちが遊び回っていた。こうした「児童公園」については社会学的な記録で読んだことがあり、ずっとその中に立ってみたいという隠れた願望を持っていた。遊具エリアへと歩き、ブランコの構造に感嘆した。


一つに腰を下ろし、金属製のチェーンをしっかりと握った。ゆっくりと前後に揺れ始めた。午後の風が顔を叩き、前髪を乱す。フォーマルな服装の女性が一人でブランコを漕いでいるのを見た小さな子供たちが、明らかに混乱した目で見つめている。小さな、ぎこちないほど素朴な笑顔を向けて手を振った。子供たちもお返しに手を振ってきたが、その困惑した視線は変わらなかった。


やめられなかった。


この往復する動きが、信じられないほど楽しかった。だから開いた笑い声が喉から湧き上がり、公園の空気の中に響いた。


エレノアのことを考えた……もし彼女がここでこれを見ていたら、私の未熟な振る舞いに恥ずかしさで死にそうになっているだろうか。それとも……もしかしたら後ろから近づいて、笑顔を浮かべながら私をもっと強く押してくれるだろうか、あの彼女特有の温かさで。


空を見上げた。散った白い雲の向こうに、沈みかけた太陽に照らされて輝く青い空が広がっていた。これほどの平和を、生涯で感じたことがなかった。


論理と一族が求めたすべてのものを完成させたと感じている。変身装置は準備が整った。しかしこれからは未来について考えなければならない……そしてその未来が、私の知性が処理できない理由から、常にエレノアと共にある姿で浮かんでくる。


その結論が、警戒すべき程度に混乱させた。


奇妙な熱さ、巨大な熱い圧力が、一気に胸を満たした。呼吸制御のテクニックを使って調整しようとしたが、喉が締まって心拍数が安定しない。


突然、エレノアの声が鮮明に戻ってくる。彼女の言葉の柔らかな音、その旋律的な声のニュアンス。昨日、視線が交差した瞬間の記憶。その瞬間、何一つ一貫したことが言えなかった。心が激しく動揺した。


なぜ、これほどの頻度で彼女のことを考え続けているのだろう。これは魔術の理論に対応しておらず、戦闘の機械的な記憶でもない。ただ彼女の笑顔と小さな仕草が頭から離れないのだ。


この胸を揺さぶる感覚は恐怖ではなく、憎しみでも、分析的な不信でもない。もっとずっと柔らかく、もっと切迫した……何か、正しい言葉で表現できないものだ。


本当に求めているものは何だろう。傍にいたい。その願望は、いかなる拘束呪文よりも強く私を縛る。理解できない。この感情の方程式を脳が解読できない。しかし、間違いなく、ここにある。


私の中で燃えている。


……これが、私の人間的な真実なのだろうか。


ブランコを止め、つま先を砂に差して立ち上がり、落ち着きを取り戻そうとした。公園の出口へと歩き、歩道に隣接した場所に一族の車がようやく停まっているのを確認した。運転手が大慌てで降りてきた。


「春花様! ご無事でしたか? 遅れまして申し訳ございません……」


「大丈夫です」


乾いた声で遮った。


「屋敷に先に行ってください。私の荷物を部屋に完全な裁量でしまっておいてください。私は歩いて帰ります」


運転手が一瞬口を開き、セキュリティプロトコルについて抗議しようとしたが、私の視線の固さを察して即座に命令に従い、車に戻り、渋滞の中へと消えていった。


街の通りを歩き始めた。ガラスと鉄鋼の大きなビルを観察し、帰路を急ぐ人々を眺め、路地近くで食べ物を探す野良犬や、塀の上で眠る猫の前で立ち止まった。人間社会の生活は、魔術師社会の硬直性とここまで根本的に異なる。この都市に溶け込んで生活している魔術師がいることは知っているが、彼らのほとんどは人間と共に生きている真実を経験していない。隠れた寄生虫のように共存しているだけだ。


このような環境でのすべての流れが、奇妙だ。すべてが混沌とした調和の中で収束するのが、奇妙だ。夕暮れの光の下ですべてが輝くのが、奇妙だ。


自分が、奇妙に感じている。


エレノアをめぐる内的葛藤のせいだけではなく、周囲のこの人間社会で目にするすべてのもののせいでも、奇妙だ。一瞬、极めて危険な考えが頭をよぎった。


魔術師でいたくない。


この人間社会に恒久的に住み続けたい。


……なぜ、こんな考えが浮かぶのだろう。なぜ頭脳がこの離反のコードを生成しているのか。おそらく、今まで研究室では気に留めなかった存在の側面を発見しつつあるからで、だからこそそれらが全ての関心を引きつけているのかもしれない。穏やかな生活を送りたい……そして人間はまさに今、私の注意を引き始めたその平和の完璧な体現者だ。


大きな交差点に差し掛かり、道路の向こう側に、5iという企業の最先端技術を宣伝する巨大な広告スクリーンがあった。最新世代のテクノロジーを眺め、この都市が指数関数的な速度で近代化していることに気付く。その一方で、魔術師は古代の時代の社会構造と方法論の中に閉じ込められたままだ。私もそのような進化の遅れを意識している。


ただ……今日、アカデミーに生きる若い才能たちが、魔術師社会の時代遅れな状況を変えるかもしれないという、かすかな希望がある。考えると、図書館で様々な学生に出会ったことが思い出された。とても迷惑な者もいれば、馬鹿げた質問で粘る者もいて、真の未来のビジョンを欠いている者が多い。間違いなく最も煩わしいのは、私の知性に執着して読書を常に遮ろうとやって来る者たちだ。騒がしいが、その学生たち一人ひとりが成長して、魔術師の真の未来になるかもしれないと信じたい。おそらくその頭脳の中に、内側から魔術師社会を変えるマスタープランがあるかもしれない。隠れた変数の潜在能力は、誰にも分からない。


歩き続け、やがて住宅地に入った。まだナイトシェイドの屋敷までかなりの距離がある。家々のファサードを眺める。それぞれに何らかの家族の物語があり、何らかのカップルがあり、何らかの葛藤がある。それぞれに、生のかけらが宿っている。


突然、灰色の毛並みの小さな野良猫が、私の歩みの真前で立ち止まり、じっと見つめてきた。


標本に対話しようという珍しい衝動に駆られ、ゆっくりと腰をかがめて手のひらを差し伸べた。子猫は慎重に近づき、指の匂いを嗅いで、頭を撫でることを許した。毛並みの質感を調べる。もわもわとして、ある意味では柔らかい……しかし衛生的な厳密さで分析すれば、かなり汚れていて手入れが行き届いていない。


そっと手を引いた。猫は鳴き声を出し、食料資源への要求と解釈できる声だった。ポケットに食べ物はない。だから代替の技術的解決策を選んだ。ジャケットの袖から杖を取り出し、詠唱を口にして元素変換の小さな術式を静かに発動した。


杖の先端から、澄んだ水の細くて絶え間ない流れが吹き出す。子猫は即座に近づいて魔力のフローから飲み始めた。


その瞬間、背後に柔らかな足音が聞こえた。


硬直して術式を止めた。振り返ると、七歳ほどの人間の少女が目を大きく開けて見つめている。その表情から、魔術の実行を目撃したことは完全に明らかだった。


魔術師社会の厳格なプロトコルでは、秘密を守るための記憶消去ルーンを即座に施すことが求められる。しかし……少女を見つめながら、その杖を向けることができなかった。


今日は、そのプロトコルを使いたくない。


少女は走って近寄ってきた。その目は純粋な魅了で輝いていた。


「お姉ちゃん……どうやったの!? すごかった!!」


彼女は答えを知りたい焦りに満ちた声で尋ねた。


完全に落ち着いた動作でジャケットに杖をしまい、唇に一本指を立てて、共犯者のような真剣さで彼女を見た。


「今あなたが見たことは、絶対の秘密です」


確固たる声で言った。


「街の誰にも話してはいけません。この秘密をしっかり守って、言葉を破らなければ、いつかあなたの前に妖精が現れて、魔法を使う力を与えてくれるかもしれません」


少女の顔は言葉を聞いてさらに輝いた。幼い决意に満ちてうなずいた。


「約束する!! 絶対に誰にも言わない、本当に!!」


少女は自然な仕草でその灰色の子猫を両腕の中に抱き上げた。


「それはあなたの猫ですか?」


突然猫を抱えたことに驚きながら尋ねた。


「そうよ! 一時間前に逃げ出しちゃって。お水をあげてくれてありがとう!!」


少女は近所の家に向かって走り出した。


歩道に立ったまま、記憶消去プロトコルを回避したことへの奇妙な満足感を感じた。あの瞬間を硬直した精神的な操作で台無しにしたくなかった。


ゆっくりとした歩みを再開し、夕暮れの風景を視線で追い、都市の流れに身を委ねながら、ついにナイトシェイドの屋敷の大きな鉄の門が目の前に現れた。


屋敷の重厚な扉が、鈍い反響音とともに私の背後で閉まり、外の喧噪を瞬時に遮断した。玄関ホールの空気は元通りだった。古い家具用ワックスの匂いと、魔術バリアの冷たい静けさ。荷物は運転手が命令通り部屋に運んでくれていた。手元には何もない、奇妙なほど人間的に過ぎた一日の残滓と、まだ分類できない思考の渦だけが残った。


居間の敷居をまたいだ瞬間、夕暮れの光が高い窓から長い影を大理石の床に描いていた。


ファウスティーヌがそこにいた。暖炉の傍に立ち、湯気の消えた紅茶のカップを持っていた。私が入ってきたのを見て姿勢を正し、独特の微笑みを浮かべた。期待と、ある種の共犯めいた何かが混ざった表情だった。


「ちょうどいい頃に帰ってきたわね、春花」


言い、カップをサイドテーブルに置いた。


「義務的な遠足も終わったようね。ちょうどいいわ、あなたに会うためにわざわざここに来てくださった方がいらっしゃるの」


その一瞬、頭脳が、止める間もなく、回路をショートさせた。


私に会いに来た誰か。


方程式は自然と解けた。


……もしかして。


……もしかしたら、エレノアが私を探して来てくれたのだろうか。


激しい動揺、耐えられないほど熱い揺らぎが胸を揺さぶった。


しかし横の扉が開き、敷居をまたいだ人物が、仮説の対称性を打ち砕いた。


彼女ではなかった。


アザエルだった。


現実の衝撃は内側で二つの正反対の感情を衝突させた。深い失望と、即座の驚愕。


今日一日、エレノアを思いながら人間の環境を経験し、ほぼ生物学的な衝動で彼女にそこにいてほしいと願っていた。アザエルの存在は、完全に予想外かつ位階的には重要であるにもかかわらず、胸に居座ったその空白を埋めることができなかった。彼は自分が設計した午後のジグソーパズルにおいて、場違いなピースだった。


しかしアザエルは距離を計算する時間を与えなかった。確固とした安定した足取りで近づき、私の個人空間を破って両腕で包んだ。温かく包容力のある抱擁だった。一瞬、両手が宙に浮いたまま硬直したが、肩の力を抜いた。彼の香りはいつも通りで、迷いの中の安心のアンカーだ。


「おめでとうございます、春花さん!!」


彼の深い声が耳元で響いた。そっと離れ、両手を肩に当てたまま、私を見た。


「ついに成し遂げましたね。変身装置が完成した。ファウスティーヌさんからすべて伺いましたよ。数学的に不可能だと多くが考えていたサイクルを、君は閉じた」


その顔を見た。眼鏡越しの目は、真の誇りを反映していた。上層部が資源を評価する際によく示す功利的な要求が、そこには微塵もなかった。その言葉は上司が資源を評価するものではなく、長い努力の後に娘の歩みを見守る、気配りのある父親のものに感じられた。


「気分はどうですか?」


軽く頭を傾けながら、表情を分析しながら尋ねた。


「明日に向けて大丈夫ですか? 長いプロセスで、君の頭脳が分析的な重荷の大半を背負ってきた。そのプレッシャーが積み上げてきたものの価値を曇らせてほしくはないですよ」


「……緊張しています」


自分の手に視線を落とした。彼とファウスティーヌの前でだけ許す、脆弱性の仕草として。


「設計は完璧で、魔力の層は安定しており、物理的誤差のマージンはゼロ以下です。触媒は失敗しないと確信しています。しかし……隠れた変数が残っています。ファウスティーヌさんは既に公開デモンストレーション用の志願者がいると言いましたが、その人物の身元を明かそうとしません。誰が試験を行うのかを知らないと、その特定の霊的署名に対応した魂の吸収レンジを調整できません」


アザエルは小さく笑った、部屋の緊張の一部を解消する律動的な振動で。肩から手を引いて腕を組み、絶対的な確信を持って私を見つめた。


「まったく心配する必要はありませんよ、春花さん。明日の試験は圧倒的な成功を収めるとお約束します。魂の拒絶も、エネルギー変動も起きない。それを前提として構いませんよ」


眉をわずかに顰めた。分析的な頭脳は先行する公理なしに確実性を受け入れない。


「なぜそれほど確信があるのですか?」


目を彼に向けながら尋ねた。


「臨界同期フェーズの間、研究室にいなかったでしょう。事前データなしに実験対象の安定性をどう保証できるのですか?」


アザエルは微笑んだ。そして世俗的な、成熟した、鋭い才気の閃きが瞳に宿った。


「なぜなら、魔術師の前でデモンストレーションを行う実験対象は、私自身だからだよ」


その発言が論理スキーマに高密度の衝撃として当たった。静止したまま、情報をループで処理した。


彼が? 戦争の収拾のために地上に来た政治的な柱が、絶対的な実験魔術陣の中心に立って試験的な装置を起動するというのか。


「アザエルさん?」


一瞬声が揺れた。


「運用的に受け入れられません。ファウスティーヌさんと私が設計した適応型鎧の魔力変調の特定のトレーニングを受けていないのに、生きている触媒がどう機能するかを見たこともない状態で、その流れをどうチャネリングしようというのですか? 高密度に凝縮した魔力を過小評価しています」


「むしろ、私を過小評価しているのは君のほうではないかな、春花さん」


アザエルは窓に向かって一歩踏み出し、陽光の最後の残滓を眺めながら反論した。


「現在の政治的な役職に就く前、私はマジクスの世界において天才の輪の一員だったのだよ。独自の研究チームがあり、独自の魔法開発研究室があった」


ファウスティーヌを見た。彼女は黙ってうなずき、古い敬意のこもった視線で彼の言葉を確認した。


「ファウスティーヌさんのプロジェクトがまだ禁断の文書上の抽象的な理論に過ぎなかった頃、何年も前に聞いていた」


アザエルは続け、振り返った。眼鏡が日差しを受けて光り、目が見えなくなった。


「最初の瞬間から興味を持っていた。ゲームのルールを変える潜在能力を見ていたよ。しかし政治的な上位の糸を動かす必要があった、離れなければならない葛藤があった。その経緯で研究室を離れ、ポジションを変えてポジションを守ることを余儀なくされた。研究を離れなければならなかった。しかし、何年も前から一族がファウスティーヌさんに何をしたのかは完全に知っていた。孤立させ、妨害した。最初の日から介入したかった、直接このプロジェクトを支援するために地上に来たかった。しかし政治的な変数がまだ適切ではなかった。今になるまで」


驚愕が全身を占拠した。生涯を通じてアザエルを外部の守護者として見てきた、資源を提供する穏やかな権威の人物として。しかし今目の前の人物に、その過去の側面を一度も垣間見たことがなかった。


「この間ずっと、君が書類にサインしているだけだと思っていた間、プロジェクトのすべての進展を把握していたよ」


彼は付け加えた。


「ファウスティーヌさんが暗号化されたレポートで送ってくれた技術メモ、文書、フロースキーマのすべてを読んでいた。変身装置がどう機能するかを完全に知っている。バイナリコードを知っており、意志の要求を理解しており、魂を核に同期させる方法を知っている。無知な志願者ではない。このプロジェクトが検証されるために必要な執行者だよ」


その啓示が、現実の認識を完全に再構成した。アザエルは義務から私たちを守っていただけではなかった。同じ執着を、同じ答えへの探求を共有していた。


「明日」


アザエルは広間の中央に向けて確固とした一歩を踏み出しながら結論付けた。


「魔術師の歴史は完全に変わる。そして魔法使いの歴史も。私たちを影の中に保ってきた権力の均衡が再構造化されるのだよ」


「大げさですよ、アザエルさん」


落ち着きを取り戻そうとしながら言った。しかしいつもの語調が欠けていた。


「最適化された魔力触媒に過ぎません。神でも、大量破壊兵器でもない。これは応用魔術科学です」


「大げさではないよ、春花さん」


彼は遮り、深い真剣さで私を見つめ、沈黙を強いた。


「これは新しい時代の始まりだ。一つだけ頼みたい。自分の努力を信頼してほしい。徹夜で過ごした夜を、修正した方程式を。そして明日、その結果を世界の前で示す私を信頼してほしい。君は一人ではないよ」


アザエルを見て、それからファウスティーヌを見た。


今日の一日の反響が戻ってきた。神を信じることについて語ったバルトロマイ神父。自分のカオスの中で未来を探す人間の学生たち。魔術の秘密を絶対の決意で受け入れた女の子……彼ら全員が、明日揺れ動くだろう世界に生きていた。しかし初めて、冷たい計算の恐怖を感じなかった。


決意を感じた。


「そうします」


背筋を伸ばし、確信が言葉に染み込むようにしながら答えた。


「信頼します。なぜなら明日は、魔術師社会に対して私の価値を証明するだけではないから。明日、ようやく過去を手放せます。静かな部屋、幼少期の孤独、両親の影……それらすべてが消えていく」


一歩踏み出した、自分の人生の重心がようやく中心点を見つけたと感じながら。


「未来が見えます、アザエルさん。本当に属している場所が見える。あなたがいる場所が、今まで持てなかった父親のような存在として……そしてメンターとして、友人として傍にいてくれるファウスティーヌさんが……」


一秒止まった。胸の熱が再び点灯し、光沢紙に包まれた小箱を思い出させた。


……そしてもう一人。


多くの疑問を投げかけてくれる誰かがいる。行動が予測できない。その近さが、論理では説明できない方法で心拍数を乱す。しかし彼女と共にいたい。彼女にこの新しい未来の一部になってほしいと、完全に確信している。


アザエルとファウスティーヌは静かな視線を交わした。私には解読できない視線だったが、尊重して質問はしなかった。私の決意は十分な声明だ。


窓に向かって歩き、夜が都市に確実に落ちていくのを眺め、人工の光が通りに灯っていくのを見た。


明日、魔術師社会が変身装置の前で震えるだろう。明日、私の人生は取り返しのつかない形でコースを変えるだろう。


しかし暗闇を眺めながら拳を握り、清潔で絶対的な焦りを感じた。


明日になれないかと。


設計は完成した。同盟は結ばれた。意志は固まっている。プレゼンテーションで何が起きようとも、感じていることは変わらない。


未来は既に、私の中に書き始められていた。

完璧でなければならない。


失敗してはいけない。


そんな言葉に、


少女はずっと縛られていた。


けれど――


同じ傷を持つ少年と出会った時、


初めて、


その鎖が少しだけ緩んだ。


次回――


「二人の傷」

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