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蜃気楼の先にあるもの

知識は、


答えを与えてくれる。


けれど、


答えだけでは、


人は救われない。


探し続ける者だけが、


新しい世界を見ることができる。

日々が、週が、灰色の静けさの中でアカデミー・エンディミオンの時を刻み続けた。


図書館に積み上げた古文書の山。そのすべてを解体し、再構築した。脳が最大出力で稼働する感覚は嫌いじゃない、むしろ唯一まともに機能している部分だと思っている。その果てに、ようやく一つの新変数を数式に導入することができた――次元断裂の瞬間における魔力の残留孤立だ。この調整を加えれば、決定的な紋章橋の統合まで、あと一歩のところまで来たという確信があった。あと一歩。この世界で誰よりも強く求めていたものへの、ほんの一歩だ。


「その頁に記されているのは、不完全な時代の喃語に過ぎぬ、召喚師よ」


冷気を纏ったグレインの声が横に結晶化した。物質化する際の気配すら出し惜しみするやつだ。


「真の結界を統合するには程遠い。そして……お前が焦がれるその目的は、浪漫的な幻想に過ぎぬ。汝の脳裏に浮かぶ蜃気楼だ」


ノートを叩き閉じた音が部屋に響いた。


「黙れ!」


額の奥で何かが焦げる感覚。怒りって本当に物理的なんだな、と冷静な自分が遠いところで観察していた。


「この口から、僕の方法論を批判するな!お前は僕の理論構造を何一つ理解していない。この変数さえ機能すれば、父さんの純粋な本質を召喚できる。どんな次元のコストがかかっても、連れ戻してみせる。必ずだ」


グレインは僕を、微動だにせず見つめていた。苛立ちのかけらも顔に出さず、珍しく、ほぼ茶化すような声色をまとって言葉を落とした。


「精々励むがよい、少年よ」


それだけ言って、煙の吐息のように輪郭が溶けた。


「この傲慢な化石め!」


空虚に向かって吐き捨て、再び読書へ意識を引き戻そうとした、その瞬間、窓の外から不規則な光の点滅が視界に割り込んできた。大窓に歩み寄り、目を細めた。夜空に、木々の梢を超えるあたりに、蛍光青の奇妙な光が浮遊していた。幾何学的なベクトルで動き、空中に静止している。好奇心に引かれて分析すれば、外部からの魔力変動だと推測できた。光はエンディミオンの外壁の向こう側から放たれているようだった。夜間外出は学則で厳しく禁じられている、それは知っている。だが、知性が「検証しろ」と要求していた。あの現象が何なのか確かめずにはいられない。


自尊心と自己完結の衝動を飲み込んで、やむを得ず仲介者に頼ることにした。


「……グレイン」


掠れた低い声で呼んだ。グレインは即座に、クローゼットの影の下に静かに現れ、言葉なく佇んでいた。一瞬、不快なほど沈黙したまま互いを見つめ合い、これから求めることの屈辱感を内心で天秤にかけた。


「……運べ」


視線をそらして言った。


「空中に持ち上げろ。飛行能力を保有していることは完全に把握している。空路でこの境界から出せ」


グレインは一言も発しなかった。奇妙なほど張り詰めた一拍の静寂の後、無言でこちらに近づき、右手を伸ばし、ジャケットの首筋の後ろをがっしりと掴んだ。まるで小動物を拾い上げるように。その把持の美学的欠陥に抗議する間もなく、足元から床が消えた。


垂直に、数学的な速度で上昇する。


瞬く間に、アカデミーの屋根の上、数十メートルの高さに浮遊していた。夜風が顔を打ち、胃がひどく収縮した。物理的なパニックと目眩が理性の表面を削ろうとしたが、歯を噛みしめて、視線を地平線に固定した。足下の空虚を意識から締め出した。


遠く、外の森の境界線で、人影を認識した。焦点を絞った瞬間、完全に唖然とした。幅広の肩の伝統的な装束をまとった人物。陰陽師の衣装だった。指に奇妙な矩形の紙片を数枚挟み、残留エネルギーを媒体として、夜空に浮かぶ青い光球を生み出していた。意味がわからない。アカデミーの紋章警報システムはどれも彼の存在を検知していなかった。侵入者は魔術師には見えない周波数で活動していた。


「戻るぞ。部屋に帰れ」


グレインに、ほとんど声にならない声で命じた。グレインは同じ幾何学的な流れで降下し、部屋の床に静かに降ろした。机に背をもたせかけ、今見たものの変数を処理しようとした。脳が技術的な現実を受け入れることを拒んでいた――単なる一般人の人間が、エンディミオンのレーダーを回避する未知のエネルギー操作を実行していた。それは現実のものだった。


グレインを見た。彼は窓際に直立し、いつもの荘厳な冷静さで外の闇を見つめていた。この生きた化石が、僕の数式が知らない答えを持っていると結論づけた。


「お前は、あれが何かわかっている」


腕を組んで要求した。


「そこに像のように突っ立っているな。あの者が使ったエネルギーの種類を言え!」


グレインは沈黙を保ち、侮辱的な無関心で要求を無視した。


「答えろ!」


忍耐の制御を失って叫んだ。ようやく、グレインの銀色の瞳がこちらを向いた。苛立たしいほど緩慢に言葉を紡いだ。


「……我は、真に驚いている。この時代の人の子が、その原初の力の断片を制御し行使しているとは、なり」


「その力だと?どういう意味だ?明確に話せ!」


「汝の脆弱な知性を磨耗する疑問がそれほどあるなら、召喚師よ……直接その陰陽師に赴けばよかろう」


とグレインは、かすかに知覚できるほどの微笑みを浮かべて言った。


「行き、彼ら自身がその教義の真実を汝に明かせるかどうか確かめてみよ」


「情報を隠しているのはわかっている!」


机を叩いて糾弾した。グレインは動揺も返答もしなかった。ただ目を閉じ、絶対的な無関心の状態へと戻った。


深い諦めの溜息をついて、拳を握りしめた。方法論的に残された選択肢はない――アカデミーを出て、この土御門源次というものを神社で直接探し出し、情報を引き出すしかなかった。だが、グレインが自分を彼自身の盤上の駒として使っているのではないかという、しつこい疑惑が腹の底を掻き乱した。


* * *


翌朝、その一日が極めて複雑になることは予測済みだった。エンディミオンを合法的に出るには、担当家庭教師が封印した外出許可証が必要だった。セイラス・ナイトシェイドの相手をしなければならないという事実だけで、胃が締め上げられる感覚がしたが、調査は犠牲を要求する。廊下を歩き、東棟へ向かった。


歩きながら、技術的な疑問が頭をよぎった。なぜセイラス先生には個人専用の執務室があるのか?大多数の教員は職員共用の大広間を使っているのに、彼だけは孤立した形で運営している。思考がその謎から流れ出した瞬間、正反対の方向から歩いてくる人物が目に入った。


ひどい見た目の男だった。完全に消耗しきった様子で、だらりと足を引きずり、背を丸め、目は地面に固定されていた。今にも路面に崩れ落ちそうな歩き方だ。すれ違う瞬間、互いの視線が一秒だけ重なった……だが、何も起きなかった。男は葬送のような歩みを変えることなく過ぎ去った。


首を振って頭を切り替えた。エンディミオンは本当に奇妙な生物で溢れている。


セイラス先生の執務室の扉に、二回、確かなノックを入れた。


「どうぞ」と、厳しい声が内側から命じた。


入ると、家庭教師は黒樫の机の後ろに着席していた。万年筆が数学的な速さで公文書の上を走り、入室した後も一切止まらなかった。


「このデスクに、汝の存在を要求するものは何か、龍牙さんよ?」


とセイラス先生は、視線を書類に固定したまま問うた。


「本日午後の仮外出許可証を申請に参りました、先生」


正式な硬直の姿勢をとり、要点に入った。


「任務遂行のため、アカデミーを離れる必要があります」


セイラス先生は万年筆の動きをぴたりと止めた。入室以来初めて、ゆっくりと顔を上げ、黒い瞳をこちらに向けた。その顔は硬直した洗練を帯び、言葉は学術的な口調で紡ぎ出された。


「任務、とな?」


と乾いた笑いを一つ漏らし、袖口を整えた。


「私の記憶では、三年生の紋章研究課程に、この段階の外部実地課題は定められていないはずだが。二週間の経験をもって、エンディミオンの形成的禁足をいかなる教育的基準で破ることを正当化するか、説明してもらえるか?」


「……個人的な性質の事柄です、先生」


と答え、陰陽師の変数を明かさぬよう、曖昧だが方法論的には堅固な嘘を構築しようとした。


「中央図書館に所蔵されていない、ある傍系家族記録の検証が必要です。学術データの安定化に不可欠なのです」


「汝の安定化は、市街地を彷徨うことではなく、学内の室内で管理されるものぞ」


とセイラス先生は、机に両手を優雅に置いて断言した。


「汝の議論は構造的厳密性に欠けている、龍牙さんよ。個人的衝動を制度的規律に従わせることができぬ魔術師は、非効率な術者になる運命にある。申請は却下だ。教室へ戻れ」


弁論によって彼を説得することは最初から無意味だとすぐわかった。保守的な思考は石の壁だった。踵を返して退室しようとしたその瞬間、扉のノブに触れる前に声が呼び止めた。


「待て、龍牙さんよ」


とセイラス先生が言い、初めて僅かに柔らかなトーンで話した。


「よく聞け。汝が選んだ道は、感情的な暴走ではなく、規律を必要とする。執着が汝の成長を脱線させるな」


胸の中で苛立ちが圧縮された。


「人間社会を観察してみよ」


とセイラス先生は続けた。


「死すべき者たちは、厳しい規則と時間割の下、学校へ通う。それは面倒な義務だからではなく、その構造に服することが、未来への唯一の準備機構だと理解しているからだ。本質的に……アカデミー・エンディミオンも同じ前提で運営されている。魔術師と人間は生物学的に同一ではないが、秩序と準備の法則の前では、まったく等しい」


その呪われた比較が、完全に僕の理性を吹き飛ばした。


人間と同じ方法論的水準に置かれるだと?魔力の遺産を一般学校の凡庸さと並べるだと?これは僕の知性への侮辱だ。


「言い訳をしていると、おっしゃるわけですか?」


セイラス先生は前のめりになり、その微笑みが鋭くなった。


「観察してきたぞ、龍牙さんよ。汝が一般理論の講義を避けているのを。誰も見ていないと思って、ノートを隠しているのを。そして見えたものは明確だ――汝は召喚術式を学んでいるのではない。それに取り憑かれている」


拳を握りしめた。


「何が悪いんですか?執着こそが進歩を推進するのでは?執着こそが魔術師が可能性の限界を超えることを許すのでは?」


「規律なき執着は自己破壊だ」


とセイラス先生は席を立ち、机の周りを歩いて、僕の正面に立ち止まった。


「汝はエンディミオンへ学ぶために来た。成長するために。汝の血筋に相応しい魔術師になるために。だが、その代わりに、汝は汝をどこへも連れて行かぬ夢を追いかけている」


「どこへ連れて行くかどうか、あなたに何がわかるんですか?何が僕にとって大切かを?」


「汝に似た者たちを見てきたからだ」


とセイラス先生は声を僅かに落とした。


「才能があり、情熱的で、自分の考えで世界を変えられると信じていた生徒たちを。そしてそのすべてが同じ結末を迎えた。消耗し、失望し、自分を突き動かしていたその執着に食い尽くされた」


口を開きかけたが、セイラス先生は手を上げて遮った。


「調査を諦めろと言っているのではない」


とセイラス先生は一歩引いて腕を組んだ。


「注意しろと言っている。執着に食い尽くされるな。汝は生徒であり、今の義務は世界を変えることではなく、学ぶことだ」


「もし待てなかったら?もし探しているものが待てないなら?」


セイラス先生は長い間、こちらを眺め、そしてどんな言葉よりも重く感じられる溜息をついた。


「エンディミオンへ来る者は皆、自分の問題は待てないと思っている。皆が例外だと思っている。だが真実は、魔術も、人生も、忍耐の問題だ。待つことを学ばなければ、汝は自分自身を壊すことになる」


「それがお答えですか?」


「私の答えは、本当に出たいなら、『個人的な理由』よりもましな理由を見つけることだ」


とセイラス先生は机に戻り、万年筆を手に取った。


「失礼します」


と舌を打って言い、はっきりとした苛立ちを声に込めた。


扉を勢いよく閉めて出た。廊下を速足で歩きながら、血が沸騰していた。セイラス先生の教えは時代遅れの道徳説教に過ぎない。人間と等しいだと?なんと馬鹿げた傲慢だ!魔力の純粋さを死すべき者の不毛さと同列に置くことを許すような論理は存在しない、と脳内で怒りとともに演説していた。


責任、と、ある種の苦さで思った。責任を語るが、誰かを失うということが何なのかを知らない。胸の中の虚無を、どうやっても埋められないということを、何も知らないのだ。


怒りに飲み込まれてほとんど視野が消えていた。本館廊下の角を曲がった瞬間、別の体に正面衝突した。衝撃でバランスを失い、双方が床に崩れ落ち、相手のノートが絨毯の上に散乱した。


「どこ見て歩いてるんだ、愚か者!」


とセイラス先生との一幕で蓄積した怒りを即座に解放して怒鳴った。


「あっ!ごめんなさい!本当にごめんなさい!僕のせいです、本当に申し訳ありません!」


と、相手は繰り返し叫び、膝をついて震える手で自分の本を集め始めた。


視点を合わせた瞬間、怒りは急速に、深い見下した無関心に変わった。そいつはひどい見た目をしていた――三度の月の周期分は眠れていないように見える、濃い紫のくまがあり、髪は鳥の巣、制服は完全に乱れ、しわだらけで、ボタンも歪んでいた。残念な標本だ。そんな凡庸さの景色を見て、叫ぶ気力がすべて消えた。飛び上がって立ち、ジャケットを払い、無意味なうめき声と謝罪を無視した。


「アキラ!大丈夫!?何があったの!?」


と女性の声が走り近づいてくるのが聞こえた。


「……大丈夫、生徒とぶつかっただけ……」


とくまだらけの男が答えた。


本当に哀れな連中だ、と脳内で裁定を下し、振り返ることなくその場を離れた。


廊下の気温が数度下がり、グレインの透明な輪郭が肩の後ろに浮いてきた。


「制度的看守が汝の地上の選択肢を封鎖した、召喚師よ」


と無関心な調子で告げた。


「次なる技術的策略は何か?計画は崩壊したように見受けられるが」


「黙れ、考えてる」


と歯を食いしばって返した。


「一つ、極めて効率的な提案がある」


とグレインはこちらの耳へ傾いて言った。


「再び汝の首筋を掴み、この敷地の障壁の上へ持ち上げ、空路でここを抜け出すことができる。単純な解決策だ」


廊下のど真ん中で立ち止まった。昨晩の記憶――途方もない高さ、足元のない空間、冷静さを脅かした恐ろしい目眩――が胃の奥に純粋な恐慌の刺さる感覚を呼び起こした。


「ダメだ!また床から持ち上げることは絶対に考えるな、この呪われた古代生物!」


と怒った低い囁きで即座に却下した。


「あんな異常な交通手段は二度と使わない。別の方法を考えろ」


気づかないうちに、足が北棟の方向へと向かい、中央図書館のアーチの前で止まっていた。内部を覗き込んだ瞬間、目が完全に見開かれた。


奥の、ステンドグラスの光の下のいつもの机に、春花・ナイトシェイドが座り、革装丁の大きな一冊に没頭していた。


グレインが横に頭を浮かせ、室内を観察した。


「ほう……特に、あの女が汝のエネルギー経路の関心を覚醒させているか?龍牙よ」


と平坦だが詮索するような調子で問うた。


「もちろん違う!馬鹿なことを言うな」


と即座に返し、ジャケットの襟を直した。


「ただ……彼女は僕の理論を解体できる知性を持っている。変数を検証してもらう必要がある。理解させる必要があるんだ」


グレインは首を傾げた。この議論の感情的な背景を処理できず、沈黙を選んだ。


自分の論理が追いつかなかった衝動に導かれ、図書館の入口を越え、奥の机へ向かって一直線に歩いた。彼女の前で止まり、正式な姿勢をとった。


「春花さん。話がある」


と声を上げて告げた。


彼女は一ミリも動かなかった。最初に会った時と同じように、完全に静止したまま、目は紙面に固定され、まるで空気の微小な乱れを無視するかのようにこちらの存在を感知しなかった。


苛立ちの溜息をついた。この人は本当に深刻な孤立の問題を抱えている。より強引な方法を選んだ。右手を伸ばし、彼女が読んでいた頁の上に直接置き、テキストを完全に塞いだ。


春花は勢いよく顔を上げた。灰色の瞳が、生き生きとした憤りと怒りの表情に鋭く研ぎ澄まされた。


「あなたは非常に礼儀を欠いた方ですね、ドラゴンズベインさん」


と背筋を伸ばして言い放った。


「どのような礼節を、ご両親から学んだのですか?」


「刺激を無視するのはあなたの方だ」


と手を引きながら返した。


「正式に話しかけて、無視された」


「……失礼しました」


と彼女は言ったが、そのトーンは公文書の読み上げと同じくらい無機質だった。


「読書に没頭していました。では、私の机から離れてください」


「これを見るまで離れない」


とコートの内側からノートを取り出して宣言した。


「次元の残留問題を解決する新しい数学的変数を構築した。理論の解体に取り組んだ。読んで、ベクトルを検証してほしい」


春花はノートを完全な軽蔑で眺め、胸の前で腕を組んだ。


「それは何なのですか?その素人の読み物には興味がありません、ドラゴンズベインさん。申し上げました。召喚術は死んだ分野です」


「もし臨床的な目で読む気があれば、なぜエンディミオンの専門家の間で召喚魔術が停滞しているかがわかるはずだ!」


と苛立ちで声が跳ねた。


「拒否は技術革新への恐怖の表れに過ぎない!」


春花の忍耐が完全に尽きた様子だった。前のめりになり、敵意に満ちた目でこちらを見た。


「そうですか?私の判断を疑うとは、ずいぶんと傲慢な方ですね?」


と攻撃を始め、その批判はすぐに不条理へと向かった。


「見てください――体の姿勢がひどい。自分の魔力経路を塞ぐほどの馬鹿げた硬直で、稽古済みの優越感の表情は見ていて全く哀れです。学術的に言えば歩く惨事です。ベクトルで魔力の基本法則を飛び越えようとして、五歳児の殴り書きに見える乱雑なノートで複雑に聞こえるよう冗長な術語を使っている。あなたは実践的な裏付けのない傲慢な人物に過ぎません!」


「何だと?!」


と燃え上がり、正式な態度をすべて失い、同じ馬鹿げた方向で攻撃した。


「念のため言っておくが、僕の姿勢はエネルギー節約のための方法論的に効率的なものだ!学術的な美学を批判する立場にない!自分こそ見てみろ――修道女のようにここに閉じこもっているのは、アカデミーと社会的に交流する能力がないからだ。その変な切り方の前髪の後ろに顔を隠して、本を現代理論への自分のパニックを示す紋章的硬直で持っている。お前の天才はあの時代遅れのテキストをオウムみたいに暗記した結果に過ぎない!革命的なビジョンは欠片もない!」


二人とも机を挟んで立ち、わずかに荒い息をしながら、図書館の深い静寂の中で殺気だった視線を交わした。この討論は恥ずかしいほどのレベルに落ちていた。エンディミオンの魔術師同士の争いではなく、子供の喜劇だった。


ようやく、春花は長い深い諦めの溜息をついて、鼻の橋を指で擦った。


「わかりました……読みます。あなたの前提がどれほど数学的に間違っているかを証明して、この場から追い出すためだけに」


と、ノートを手から強引に奪い取って譲歩した。


座って頁をめくり始めた。その目はこちらのメモを恐ろしい速さでスキャンしていた。ちょうど十分間の緊張した沈黙が過ぎた。読み終えると、ノートを力強く閉じ、木の机の上に無関心に落とした。


「これはゴミで、無価値です」


と春花は平坦に断言した。


「ここに構築したものはすべて、役に立ちません」


「何?!」


と怒りが再び胸を打った。


「説明しろ!ベクトル計算は完璧だ!」


「孤立計算は抽象的な面では正しいです」


苛立たしいほど穏やかに説明した。


「しかし、ここに書いたことの九十パーセント以上は、三十年前に召喚術の専門家によって発見され、記録されています。何も革新していません。既存の変数を冗長な術語で推測して複雑に見せているだけです。非常に非効率的です。研究の現状を何も知らない」


自分の知性とあの不眠の数週間が「冗長な推測」に縮小されるのを聞き、壊滅的な打撃を受けた。反論が尽き、彼女の臨床的な精査の前で愚かで、暴露され、無力だと感じた。


春花はこちらを正面から見て、表情を僅かに和らげたが、姿勢は揺るがなかった。


「一つ聞かせてください、ドラゴンズベインさん……誰と議論しようとしているか、少しでも理解していますか?なぜ、私に、まさに私に、あなたのノートを読んで理論を検証してほしいとそこまで主張するのですか?私に何を求めているのですか?」


その変数を正面から突きつけられた瞬間、脳が技術的な短絡を起こした。本当のことだ。なぜ彼女を見かけた瞬間に走って来たのか?なぜこの特定の女性が自分の研究をレビューする必要があるのか?論理的な答えも、方法論的な動機も、スキーマの中に存在しなかった。


沈黙したまま自尊心を飲み込み、完全な諦めで答えた。


「……わからない。なぜ来たか、わからない。ここであなたが何者なのか、名前以外には本当に知らない」


春花は一瞬固まった。混乱で顔が崩れ、灰色の瞳を細めて割り込んできた。


「待って……本当に、本気で、私が誰か知らないとおっしゃるの?」


「知ってる」


彼女の反応に混乱しながら答えた。


「あなたは春花・ナイトシェイドと名乗った。僕はちゃんと覚えている。僕を馬鹿にするな」


「名前の話じゃありません、この無知な方」


自分の額を叩いて言った。


「アカデミー内での私の立場の話です」


欠けているデータを入力してくれるのを待って、沈黙したまま眺めた。春花は背筋を伸ばし、貴族的な風格を取り戻し、完璧な荘厳さで改めて自己紹介した。


「春花・ナイトシェイドです。このアカデミーでは魔術具の設計者として知られており、自分の一族では現世代の絶対的天才という称号を持っています」


その公式な経歴を聞いた瞬間、胃に恐ろしい急転直下を感じ、続いてあまりにも大規模な羞恥と自己憐憫の刺さりがあり、その微小秒に大地が飲み込んでくれればと思った。


ずっとの間……怒鳴り、方法論を侮辱し、「凡庸」と呼んでいた相手が、超高位の制度的・紋章的地位を持つ魔術師で、魔術具工学の権威だったのだ。魔術具者開発の頂点の前で、完全に無礼な無知者として振る舞っていた。


傲慢さをすべて失い、一歩後退し、九十度の完璧な正式な礼をとり、目を床に固定した。


「春花様の最も誠実なお詫びを受け入れていただけますか」


緊張した声で言った。


「完全に立場を存じ上げませんでした。先ほどの発言は重大な方法論的誤りでした。礼節の欠如を深くお詫び申し上げます」


春花は一瞬こちらを眺め、そして澄んだ自然な笑い声を上げ、頭を起こすよう手を振った。


「頭を上げてください、あの形式的な芝居はいりません。実はとても新鮮です。ここでは皆、偽の敬礼で近づいてきます。地位への恐れから一言一言を選んで、私の魔術具から何かを得ようとして。一年生の生徒が来て本のページを塞いで、前髪を侮辱するとは……非常に面白い異常です。誰が自分かを知らない時の、あなたの行動の仕方が気に入りました」


彼女の言葉の意味が理解できなかった。エンディミオンの他の魔術師たちと関わることは暴露のリスクだと思っていたが、どういうわけか、今の成り行きはこの奇妙な状況を生んでいた。


「……ちなみに一年生ではありません。三年生です」


「あら、そうですか?」


春花は小さく笑った。


……なんだこれ。なぜその笑顔から目が離せないんだ?


「では……ドラゴンズベインさん」


春花は手に顎を乗せて続けた。


「読書中に楽しいひとときを提供してくれたので、取引を提案します。好きな一つのお願いを聞きます。その代わり、以前と全く同じように話し続けること。お辞儀なし、封建的な形式主義なし、『様』もなし。ただ、同じ席に座る普通の魔術師として。どうですか?」


頭の歯車が全速力で動き始めた。今日の午後、土御門源次を探しにアカデミーを出る必要があった。セイラス先生が普通のルートを封鎖した。春花のステータスは制限を飛び越える完璧な変数だった。


「今日の午後、アカデミーを出る必要がある。担当教師に拒否された。正門を通るための合法的なアクセスが必要だ」


春花は僅かに片眉を上げ、灰色の瞳に好奇の閃きが走った。生徒がなぜアカデミーを逃げ出したいのか、内心では不思議に思っているようだったが、その成熟さを見せ、踏み込んだ質問はしなかった。


「シンプルなお願いですね」


立ち上がって頷いた。


「私の署名があれば、警備員は何の異議も申し立てません。ここで待っていてください」


廊下の中を遠ざかる姿を見た。およそ十分の張り詰めた待機の後、春花は戻ってきて、銀のインクで封印された小さな書類を手の中に落とした。


「どうぞ」


――その指が手のひらに触れた感覚だけが、今の意識にあった。


「厳密に三時間の外出時間が与えられています。許可証の時間が切れる前に宿舎に戻らなければ、そこから抜け出させるつもりはない重大な懲戒問題になります。これで……お相子ですね。認めます、あなたの構造とあり方は私の関心を捉えました」


最後の一節を耳にした瞬間、胸の中に非常に奇妙で形容不能な感覚が走った。


「……ありがとう」


とだけ、辛うじて言い、書類をコートにしまった。


「では、龍牙さん」


――自分の名前を彼女が口にした瞬間、体が微かに揺れた。


春花はそんな自然で、温かく、心から美しい笑顔で別れを告げ、その笑顔が完全に、自分を守ろうとしていた無関心の鎧を打ち崩した。


動けなかった。


春花は踵を返して出口へ歩いていった。髪が廊下の空気で僅かに揺れる様子を眺め、その姿が数学的な精度で記憶に刻まれた。その笑顔、こちらに向けられた灰色の瞳が。


その瞬間、生理的な異常を経験した。顔が燃えるような感覚、熱の波が首から頬へ上ってくる。


「……何が……起きている?」


完全に混乱して、体の制御不能に苛立ちを感じながら、思わず呟いた。


「意味がわからない……わからない。全くわからない」


震える手を見つめ、外出許可証に意識を集中させて、頭の中の静電気を消そうとした。優先すべき変数がある。外で陰陽師の神社が待っていて、人間の力の真実はあと三時間以内の距離にあった。


* * *


神社への道のりは、時計のプレッシャーの下で永遠のように感じた。到着して石段を急いで上ったが、運は味方しなかった。本殿の前で神社の服を着た男に出会い、その男は視線が境内を探すのを見て引き止めた。


「土御門源次を探していますか?」


その男は片眉を上げて聞いた。


「今日は彼の番ではありません。週末まで来ません」


喉の奥からうなりが出そうになった。時間が削れていくのに手ぶらで戻ることになる。


しかし、その驚きに反して、横の小道を歩いてくる見知った姿が現れた。源次で、いつものゆったりした笑顔を浮かべながら近づいてきた。


「源次さん?今日ここに?」


その連れが驚いた。


「今日は終日事務所の仕事だと思っていたのですが」


「ああ、建物でサーバーの深刻な電気系統の問題があってね」


源次は自然に首を掻いて説明した。


「全員が自由時間になったから、ここに来てみたんだ」


その瞬間、源次の目がこちらと合い、顔が本当の驚きで輝いた。


「あれ!先日の若い方ではないですか。眠れない夜は、真昼間にも貴殿を苦しめているので?」


感情を見せることも礼儀を返すこともせず、直接本題に入った。真剣な顔で見つめた。


「話がある……二人きりで」


源次はすぐに声のトーンの重さを察したようだった。少しだけ軽さを失い、頷いて、観賞池の近くの、水がほとんど動かない、少し引っ込んだ場所へついてくるよう手振りで示した。


「どうぞ、若者よ。何がそれほど心配なのですか?」


腰に手を当てて聞いた。


駆け引きも地ならしも時間がない。


「あなたたちは力を持っているか?」


単刀直入に放った。


源次は瞬きをした。面食らった様子だった。


「昨晩、森の境界で仲間の一人を見た。奇妙な紙片を使い、青い光の球体を空に生み出していた。見たものだ。作り話じゃない」


二人の間に、石板のような沈黙が落ちた。源次の笑顔が完全に消え、疲れた、厳しい表情に変わり、見た目を一気に老け込ませた。


「もしそれを本当に知りたいなら……若者よ、恐ろしいことに関わることになりますぞ。掘り起こさない方がよい秘密があります」


「それでも言え」


源次は池の水面の反射を長い間眺め、やがてこちらの目に視線を戻した。


「わかりました……昨晩見えたものは本物です。この世を脅かす悪に立ち向かうために、我々は力を使っています。我々は身を守っているのです……魔術師たちから」


全身が瞬時に緊張した。純粋なアドレナリンが背骨を駆け抜けたが、顔は動かさなかった。超現実的な瞬間だった――源次が自分の前に立つ人物が魔術師であることを知らずに、自分たちの秘密の十字軍を告白していた。告白している。この殲滅の大目標が、一メートル先で計画を話すのを聞いていた。


「どうやってその力を使う?どんな仕組みなのか?」


「我々の能力は霊符によるものです」


源次は袖から一枚の紙片を取り出して明かした。


「自分のエネルギーをこれを通して流し込むと、紙が反応する。ただ……正直に言えば、それがどんな種類のエネルギーなのか、我々には全くわからない。科学的な記録も、それを知り尽くした最高の師匠もいない。ただ世代から世代へ、親から子へと受け継がれた教えと語りだけです。それが我々に残されたすべてです」


声がさらに哀愁を帯びた。


「実のところ、世界に残る陰陽師は非常に少ない。世代を重ねるごとに、この道を学ぶ若者は減っています。我々は絶えかけている。この陰陽道を真に知る実践者は、永遠に消えようとしています」


内心で衝撃が走った。一生、人間は空虚で魔力を行使できない存在だと教えられてきた。今、自分の前で、本物の力を発揮できる人間が存在することを知った。しかしその人間たちは、それを理解することとはほど遠いところにいた。体系がない。理論がない。何もない。陰陽師に技術的な答えや説明を求めることは行き詰まりだ――自分と同じくらい、闇の中にいた。


「理解した……教えてくれてありがとう」


辛うじて言い、曖昧な会釈で別れを告げ、神社の出口へ歩き始めた。


木々の道を歩いていると気温が下がり、グレインが横に現れた。いつものうんざりした表情がない。珍しく思案したような顔で、木々の枝に視線を漂わせていた。


「どうした?その顔は初めて見る」


「真に驚いておるぞ、召喚師よ。此の時代の死すべき者らが、荒削りながらも力を制御し、行使するに至ったとは──我が目にも驚嘆すべきことなり」


「じゃあ、お前はあの力が何なのかを知っているか?」


「その絶対的な起源は我にも解し得ぬが……確かに、かつて目にしたことがある。陰陽師たちが制御しているもの――それは魔術ではない。人間の持つ天然の力だ」


今回は怒りも叫びも出なかった。重くて冷たい諦めが降りてきた。裸の残酷な真実だった。人間は独自の力を持っているが、それを大規模に本当に意識的に使うことができなかった。


「他に知っていることがあれば、今すぐ言え」


グレインは耐えがたい沈黙を守って観察した。


「言えと言っている!謎めいた遊びは止めろ」


歯を食いしばって主張した。


グレインは平坦な溜息の前に最後の爆弾を投下した。


「その陰陽師たちが語る力……実のところ、世界のすべての人間がそれを持っておる。例外はない。汝も……我も……すべての者が」


その言葉を受けた瞬間、足元の地面が割れて、理解の及ばない深淵へと落ちる感覚がした。何一つ意味をなさなかった。魔術の法則、一族、血の純粋さ、普通の人間たち……自分の現実を構築したすべての論理が崩れ落ちていった。


鋭い痛みが両こめかみを叩き始めた。この新しい、混沌とした真実を自分の精神に組み込もうとする努力による、本物の偏頭痛だった。疲れ果て、圧倒されて、今日はこれ以上の問いを受け入れられないと判断した。踵を返し、エンディミオンへの道を黙って歩き続けた。頭が爆発寸前だった。


* * *


数週間が過ぎ、アカデミーの空気は濃く、ほとんど息苦しくなった。境界線の警備が倍になり、廊下が過去の噂で溢れ始めた。僕が来る少し前、三人の離反魔術師が生徒から系統的に魔力を吸い取っていて、大魔導師のストロンの手によって容赦なく処刑されたと言われていた。陰謀論と廊下の秘密は行き来したが、無視することにした。あの政治的な論争は自分の問題ではない。唯一の本物の優先事項は研究のままだった。


その午後、春花を探して図書館に戻った。召喚の理論の新しい変数に彼女の知性がどんな貢献をできるか議論したかった。しかし、いつもの机に近づいたとき、不快な光景があった。多くの生徒が彼女を取り囲み、注目を求めて媚びを売っていた。


やれやれ、と立ち止まり、数メートル離れたところから眺めた。最悪だったのは、春花が取り巻きを散らそうとする最小限の努力すらせず、ただ優雅な無関心で存在を容認していたことだ。


その時、遠くにある僕の視線と彼女の灰色の瞳が交差した。彼女は他の頭の向こうから、開けっぴろげにこちらへ手を振った。


……わざとやってるだろう?


その仕草が引き金となり、グループ全員が一斉に振り返り、こちらを凝視した。彼女はこの世界で一番嫌いなことを、たった今引き起こした。注目の的になること。


生徒たちは露骨な侮蔑でスキャンして、こちらの存在に眉をひそめ、社交の輪を乱す鬱陶しい虫を見るような目で見た。怒りが血に火をつけた。


一歩前に出て、一切の遠慮なく怒鳴った。


「全員どけ!春花さんと議論する緊急の用件がある!」


取り巻きの中の一人の魔術師が一歩前に出て、肩越しに侮辱的な目でこちらを見た。


「春花様に対してそんな度胸で話しかけるとは、何者のつもりよ、このくだらない新入りが……」


声を完全に無視した。横を通り過ぎ、春花の机の正面に立ち、目を見た。


「時間があるか、ないか?」


鋭く聞いた。


春花は失礼な態度に対して、小さな楽しそうな笑みを浮かべた。


「あなたのためなら、いつでも数分の時間はあります、龍牙さん」


全くの自然さで答えた。


彼女の口からその言葉を聞いたとき、グループは本当の衝撃状態に陥った。互いに顔を見合わせ、驚きを囁き合いながら、憤慨して席を離れ、最終的に我々を一人にした。


一秒も無駄にせず、ノートを取り出して議論を始めた。次元フィードバック則のベクトル、魔力の限界について話し合った。ステンドグラス越しのオレンジ色の夕暮れが差し込み始めるまで、反論と技術的な訂正の時間は溶けていった。


「遅くなったな。明日もここにいるか?」


手帳を閉じながら言った。


春花は手に頬を乗せ、珍しい静かな落ち着きでこちらを見た。


「もしかしたら」


漠然と呟いた。


こうして、数週間に延びる習慣が始まった。毎夕、ほとんど数学的な規律で、図書館へ彼女の考えと自分の考えを突き合わせに来た。最初、会話は召喚の理論に厳密に絞られていたが、日が経つにつれて変数が変わった。アカデミーのルーティンについて、それぞれの視点について、ありふれた考えについて話し始めた。


何年も経って初めて、誰かと一緒にいることが本当に落ち着いた。その現象の正確な理由を解明できなかったが、春花の前に座ることは、子供の頃、父さんといた時に感じたのと同じ温もりと絶対的な安心感を与えてくれた。彼女のそばでは、排除の痛みが溶けた。安全だと感じた。初めて、何かに属しているという感覚があった。


それまでは……


話が終わったのはちょうど夕暮れの頃だった。荷物をまとめようとした時、春花は重い溜息をついてこちらを見た。その真剣な表情が胸を凍り付かせた。


「龍牙……明日から図書館には来られません」


冷たく、遠い声で告げた。


「非常に忙しくなります。あなたとは違い、私には本物の義務があります。魔術評議会と一族への技術的責任を果たさなければなりません。あなたは……まだ生徒に過ぎない。読み続けることに集中して。先は長いのだから」


その言葉は逆呪文のように胸を打った。拒絶以上のもの――深く、耐えがたい裏切りの感覚を経験した。あの繋がりを失いたくなかった。この宇宙で唯一、受け入れられると感じた場所を失いたくなかった。彼女を失いたくなかった。


しかしその痛みを処理できなかった自分の無力さが、瞬時に目の見えない、守りの怒りへと変質した。


「なるほど。やっぱり他のやつらと同じだったか」


怒りで声が震えながら吐き捨てた。


「一族の義務に盾突く傲慢な奴。時間の無駄だった」


「龍牙、状況を理解していないのです……」


説明しようとしたが、言葉を遮った。


「その優越感はいらない!魔術具と天才の称号に返っとけ!」


カバンにノートを叩き込みながら怒鳴った。


「この腐ったシステムで満足している腰抜けだ」


振り返ることなく図書館を速足で出た。彼女の返事を待たず、痛みを純粋な憤りの層の下に埋葬した。


時間が流れ続け、世界から完全に孤立することにした。可能なすべての接続と繋がりを切った。廊下で誰かが近づいてきたら冷たく無視した。誰かが話しかけたら目で払いのけた。最初からやりに来たことへの強い集中で、僕は自分を閉じ込めた。


しかし、外の現実が最も暴力的な形で孤立を砕いた。アカデミー長が大講堂に全体集会を召集した。演壇に立つ顔は青白く、厳しかった。陰陽師との戦争を宣言していた。


「陰陽師」という言葉を耳にした瞬間、源次の穏やかな微笑みが脳裏に浮かんだ。虫の息で消えかけていた一握りの普通の人間が、魔術師社会の頂点に戦争を宣言しようとしているとは、飲み込めなかった。物流的な自殺行為だ。


だが、次の言葉が前提を破壊した。


「知っておかなければならない。この反乱のリーダーは人間ではない。この攻撃を指揮している戦略家は自分たちの同族への反逆者、高位の魔術師黒木・ワイルドソウルです」


席で完全に絶句した。魔術師だと?自分の種族を裏切り、不毛な人間と同盟を結んで自分の同族を殲滅しようとしている魔術師?あの人々の精神的な変数が理解できなかった。その論理の欠如が、気持ち悪いほど腹を掻き乱した。


その夜、部屋に閉じこもっていると、気温が急に下がった。グレインが窓の傍に現れ、銀色の瞳でこちらを見つめた。


「盤面が燃え盛っておるな、召喚師よ。この争いが勃発した今、汝は何をするつもりか?」


「何もしない」


即座に、目を書物に向けたまま答えた。


「召喚の理論を学び続ける。あの混乱は自分の問題ではない」


「……頁の上に刻まれた死んだ言葉を読み漁ること以上のことをする時がきたやも知れぬ、龍牙よ」


グレインは示唆するような調子で言った。


「何もしないと言った!」


忍耐を失って怒鳴った。


「この世界で自分は何なんだ?英雄でもない、悪役でもない、誰かの救世主でも軍の戦略家でもない。この呪われた社会では何者でもない!指一本動かす理由なんてない!」


グレインは言葉で返さなかった。曖昧な動きで瞬時に正面に立ち、手を伸ばし、シャツの首根っこをしっかりと掴んだ。驚く間もなく、開いた窓から引きずり出された。


「グレイン、止めろ!!」


足の下の完全な空虚に気づいて、パニックが全身を支配しながら叫んだ。


エンディミオンの塔の数十メートル上、夜の暗闇の中に吊るされた。風が耳の中で轟き、目眩が理性を侵食しようとした。


「なぜこんなことをする!!今すぐ地面に戻せ、この化け物!!」


「よく周りを見よ、少年よ」


グレインの声は風を超えて、威厳ある強さで響いた。


「部屋の壁の向こうを見よ。汝の世界を見よ。我には汝の霊的な印から明確に見える……汝はこの変数の行方を変える潜在的な可能性を秘めている。この時代に偉大なる行いを成す力を持っておる」


「違う!」


叫び、冷たい風の涙が頬を伝った。


「お前の馬鹿げた話は聞き飽きた!うんざりだ!この世界も、一族も、陰陽師も……すべてが複雑過ぎて頭が割れそうだ。処理できない!」


グレインは揺れることなく、崩壊を眺め続けた。


「最初の日から言っておった。だからこそ、答えを小出しにしてきた。汝の精神はまだ現実の規模に備えていなかったからだ」


「そうだよ!準備できていない!今すぐ降ろせ!」


「……では、汝の決意がそれなら、ここで放す。汝の理論が地面に激突するのを見てやろう」


掴む力が一ミリほど緩んだ気がした。足が空気を蹴り、本能的な生存反射が脳に電気として走った。


「放すな、この紋章的な怪物め!!」


全力で叫び、目を見開いてグレインの衣服に食いついた。


「放したら、なんとしてもお前をアンブラルへ引きずり込む方法を見つけてやる!やってみろ!」


グレインは止まった。古い唇に、小さな、本物の、暗い微笑みが浮かんだ。


「見よ……嘆きと演じた無関心にもかかわらず……汝はまだ全力で生きることを望んでいる、少年よ」


思考が完全に空白になった。アドレナリンとその言葉が頭に短絡を起こした。何も言えなかった。何も処理できなかった。自分のエゴイズムの真実が正面から打ちつけてきた。


高さに吊るされたまま長い密な沈黙の後、唾を飲み込んで、声の糸で話した。


「……じゃあ、グレイン、何をすればいい?」


「英雄になれ、龍牙よ。行き、この始まったばかりの無意味な戦争を止めよ。我はその奥で動く糸が見える――これは不合理かつ技術的に無意味な争いだ。汝の助けを借りてその糸を調べたい」


「この規模の調査をどうやって始めたらいい。当局がいる、アカデミーの部隊がいる。自分はただの生徒だ」


論理を取り戻そうとしながら返した。


「正確な出発点が汝の記憶の中にある。陰陽師の神社の場所を知っている」


心臓がひっくり返った。本当のことだ。エンディミオンで誰よりも方法論的な優位性がある。あの領域に最初の秒から潜入できる。結局、源次たちは自分がただの眠れない人間だと思っている。魔術師だとは微塵も思っていない。


「奴らのところへ行ったら、何をする?データを集めるだけか?」


「リーダーを見つけよ、この黒木・ワイルドソウルとやらを……そして倒すのだ」


グレインは数学的な冷静さで提案した。


「核を破壊すれば、システムは崩壊する。蛇の頭を切れば同じことだ。我の力が汝の指揮下にある以上、成功の確率はゼロではない」


戦略の論理が頭の中で組み立て始まった。戦士でも格闘家でも武術家でもない……だがグレインは破壊の力だ。彼の力を自分の指示と合わせれば、勝利の変数が自分に傾く。


可能性の連鎖が猛スピードで展開し始めた。この反乱のリーダーを倒すことができれば、魔術師社会を脅かす戦争を止めることができれば……何かが変わる。ドラゴンズベインの名は凋落と恥辱の同義語でなくなる。上位一族が自分の技術的価値を認めざるを得なくなる。そして……もしかしたら、十分なステータスを持って春花の前に再び立ち、彼女にこちらを対等として見るよう強いることができる。自分の理論がゴミではないと認めさせることができる。


知らない感覚が胸の奥底で激しく、猛烈に燃え上がった。生まれてから一度も感じたことのない本物の決意の火花が、弱さを純粋な決心へと変質させた。


解体すべき戦争がある。

――正しいと思った選択が、


誰かを傷つけることもある。


信じた理想。


背負った罪。


そして、


失われる繋がり。


次回――


裏切りの先へ


少年は、


本当の孤独を知る。

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