偽りの天才と本物の嘘
真実とは、
見つけるものではない。
幾つもの嘘と、
幾つもの選択を重ねた先で、
ようやくその輪郭が見えてくる。
小さな違和感は、
やがて世界を揺るがす大きな謎へと繋がっていく。
ウィンターフォール邸は、どんな物音よりも重く圧しかかる静寂で私たちを迎えた。
廊下を横切る魔術師たちの視線が、玄関をくぐった瞬間から突き刺さってくる。好奇の目、敬虔なほどの畏敬の目、そしていくつかの――恐れの目。その最後のものが、いつまでたっても慣れることができないのよ。誰かに恐れられるということが、どれだけ息苦しいか。エンディミオンの制服をまだ着ているアキラとアリズは、嵐の中で迷子になるのを怖れる雛鳥のように私のすぐそばについてきた。彼らの肩は強張り、かつて夜空の下で希望に輝いていた目が今は左右に動いて、影のひとつひとつ、囁きのひとつひとつを探っている。
「心配しなくていいわよ」
私は、廊下のざわめきが消えるくらいの声量で言った。
「二人は私のお客様。いくつか教えたいことがあるの。何か問題でもあるかしら?」
問いかけは、答えを求めていなかった。魔術師たちは視線を逸らし、それぞれの道を歩き続けた。地位――私が求めたことなど一度もないこの地位が、また盾として機能する。唇をきつく結びながら、自分と普通の人々の間に楔を打ち込むこの居心地の悪い特権を感じながら、私は二人を自分の部屋へと案内した。
扉を開けると、アキラとアリズは敷居のところで静止した。
二人の目が部屋の中を泳いでいく。驚きと戸惑いが入り混じった表情は、私にとって半ば滑稽で、半ばとても恥ずかしかった。クリーム色のふかふかした絨毯、棚には整列した磁器の人形、くまのぬいぐるみ、布製のうさぎ――まるで兵士の隊列のよう。カーテンはほとんど白に近いほど淡いピンク、ベッドのキルトにはヒナギクと蝶の刺繍。十歳の子供の部屋と言われても通じるわ。ミニチュアのロッキングチェアに腰掛けていたリリウムが、こちらに向かって小さく頭を下げた。
「……すごく、女の子らしいね」と、アリズが外交的に言ったけれど、その驚きは隠しきれていなかった。
「……かわいい、かな」と、アキラが適切な言葉を探してようやく絞り出した。
頬に熱が上ってくるのがわかった。
「インテリアにはあまり気を使っていなくて」
言ったけれど、言い訳にならないことはわかってる。
「ただ……可愛いものが好きなの、わかる? 綺麗なもの。それの何がいけないのかしら」
アキラとアリズは、その不自然な速さがかえって不安を物語っているような勢いで頷いた。私はため息をついて、窓際の二脚の椅子に二人を座るよう促した。自分はベッドの端に腰を下ろし、リリウムを膝に乗せて、軽く咳払いをした。
「さあ、始めましょう。これまでやってきたこと、全部話して。何も省かないで」
アキラが話し始めた。カイト先生、アザエル、そして春花と一緒に陰陽師を捕まえる作戦に参加したこと。人けのない通りをアリズが一人で歩き、他のみんなが影から見張っていたこと。戦いは短くも恐ろしいものだったけれど、目的は果たしたこと。アカデミーでの調査についても話してくれたけれど、そちらは収穫がなかったとのこと。
「でも、一番辛かったのは」
アリズが低い声で口を挟んだ。
「ダミラの死よ。あのニュースを読んだとき……まるで足元の地面が崩れるみたいだった。彼女を失っただけじゃない、彼女が約束してくれた答えも一緒に失ったのよ。エンディミオンの中の名無しの人物を探す使命……どこから手をつければいいか、全然わからない」
私は黙って聞いていた。いつものように、頭が勝手に彷徨い始めた。
名無しの人物か……。でも文字通りじゃないわよね? だって、人間はみんな名前があるもの。赤ちゃんでも、命名式まで待つことはあるけど……七日目だっけ、三日目だっけ。まあいいわ。名前を隠している人なのかもしれない。スパイ、潜入者、自分の身元を消した人。あるいは名前を持ったことがない人。ホムンクルス? 人工的に作られた存在? 幽霊? ……魔法の意識を持つ野良猫? いや、それは馬鹿げてるわ。もしかしたらコードネームなのかもしれない。「ゼロ」とか「X」とか「誰でもない」とか。「誰でもない」はひどく紛らわしい名前ね。「誰でもない」が友達にいたら想像してみて。「パーティーに誰も来なかった」――「当然よ、誰も招待しなかったんだから」。うーん、それは成立しないわ。
「エレノアさん?」とアキラが、私の物想いを遮った。
「あ! ごめんなさい、考えていたの」
喉を鳴らしてから続けた。
「正直に言うと、その『名無し』というのが何を意味するのか、全然わからないわ。文字通りかもしれない、比喩的かもしれない、謎かけかもしれない、ニセの手がかりかもしれない。でも、理解できないことに立ち往生したままでいるわけにはいかないのよ」
アキラとアリズは混乱した顔で私を見ていた。
「視点を変えましょうと提案するわ」
と、理性からではなく本能から沸き上がる確信を持って言葉を続けた。
「その解けない謎に時間を費やすより、手の届くことに集中しましょう。今できることに。あの謎の石に。盗み出して、調べて、正体を突き止める。そこから、全部の答えへの手がかりが見えてくるかもしれないわ」
二人の顔がぱっと明るくなった。目と目が合い、希望が――あの脆くて強い感情が――再び芽吹くのが見えた。それから、なぜかは自分でもわからないけれど、胸の中で何かが壊れる気がした。鎧ではなく、心が。
立ち上がって、二人に近づいて、反応する間もなく両方を一度に抱きしめた。アキラは板のようにまっすぐ固まった。アリズが小さく「えっ!」と抗議の声を上げたけれど、振りほどこうとはしなかった。
「二人は一人じゃないのよ」
私は言った。声が、意図していたよりずっと母親みたいに聞こえた。
「あなたたちが経験したこと、失ったこと、それがこれからの人生のすべてを決めるわけじゃない。戦う権利があるし、失敗する権利があるし、また立ち上がる権利がある。一人でしなくていいの。私がいるわ。どのくらいの期間か、どこまでできるかはわからない。でも、力になれる限り、力になるわ」
沈黙が続いた。アキラとアリズは恥ずかしくて言葉が出ない様子だった。私も頬が熱いのを感じたけれど、後悔はしなかった。
そのとき、ベッドの上のリリウムが立ち上がり、三人の方に歩いてきた。磁器の小さな手で私の足に触れて、たどたどしくもはっきりした声で言った。
「エレノア……よかった……よかった……まま」
「リリウム!」
叫びながら二人を離して、両手で顔を覆った。
「そんなこと言わないで!!」
アキラとアリズは真っ赤になった。アリズが「こどもじゃないんだから」とぼそぼそ言い、アキラがぎこちなく頷いた。リリウムはすみれ色のガラスの瞳でみんなを見つめながら、なぜ全員がこんなに恥ずかしがっているのかわかっていない様子だった。
私はため息をついてリリウムを抱き上げ、ベッドに座らせた。
「二人をからかうのはやめて、小さいの。このことはまた別の日に話しましょう」
* * *
翌朝、早めに目を覚ました。一番きちんとした青の法衣を身にまとい、リリウムの髪を丁寧に整えてから、通信室へと向かった。アッシュフォードの氏族の顧問の番号を押すのは、想像よりずっと容易だった。私の名前、私の称号、私の地位……そういったものが、押しさえしなかった扉を開けていく。
「研究所を訪問したいの」
内心ではふるえていても外には出さない声で言った。
「氏族の技術的な進歩に興味があって。とても……魅力的なものに取り組んでいると聞いたわ」
もったいぶった声の顧問は、ほぼ異論なく承諾した。三日後に日程を決め、私は安堵と、じわじわと広がる不安を胸に電話を切った。
地位が、初めて役に立った、と思った。喜ぶべきか、この求めてもいない称号にさらに嫌気が差すべきか、わからない。でも迷っている時間はなかった。訪問を計画しなければ。観察して、記憶して、ルートを把握しなければ。それには助けが必要だった。
「リリウム」
とベッドの端に座って、リリウムを目の前に向けた。
「よく聞いて。大切なことをするわ。秘密が詰まった場所に入るの。そこで見たものを全部覚えていてほしいの。あなたには記憶があるでしょ? 私のことを覚えていて、私が教えた言葉を覚えていて……だったら廊下も、扉も、数字も、顔も覚えられるはずよ。できる?」
リリウムは頭を傾けて、処理するように少し間を置いた。
「りりうむ……おぼえる。たくさん……おぼえる」
「よかった。それでいいわ」
ほっとして微笑んだ。
「あなたは私の目になって、カメラになって、メモ帳になるの。見たものを全部頭にしまって。帰ってきたら全部教えてね。約束できる?」
「うん、やくそく」
抱きしめてから、二人で午後いっぱいかけて確認事項を繰り返した。衛士の数、扉の位置、錠前の種類、科学者たちの動き方。リリウムは頷いて、単語を繰り返して、その不器用さは明らかだったけれど、私は信頼していた。それが今の私の全てだったから。
* * *
三日後、車が私たちを降ろした先は、研究所というより要塞に見える入口だった。リリウムを胸に抱いて、私をすぐに認識した衛士たちの方に歩いた。彼らに案内されて、狭い廊下を、声で開く扉を、地の底へと降りていく階段を抜けていった。空気がどんどん冷たくなる、乾燥する、人工的になる。青いネオンの光が、まるで自分で動いているかのような細長い影を投げかけていた。
やがて、取っ手のない、錠前らしきものも見当たらない厚い金属の扉の前に着いた。衛士が何か呟くと、扉が横に滑った。
中は別世界だった。壁一面を占めるコンピューター、正体不明のエネルギーで唸る機械、書類を手に、湯気の立つコーヒーを持って、全神経を集中させた表情で行き交う魔術師科学者たち。想像していたよりずっと大きくて、ずっと高度で、ずっと……圧倒的だった。
「こちらへどうぞ、エレノア様」
衛士が警告の看板が並ぶ廊下を指した。
従った。リリウムをより強く抱いて、歩き続けた。廊下の突き当たりにまた扉。その向こうに、暗い部屋。衛士たちが敷居のところで立ち止まった。
「担当者がすぐ参ります。ここでお待ちください」
中に入った。暗闇はほぼ完全だったけれど、目がすぐ慣れた。コンピューターの列、消えた画面、そして奥に、鈍く青みがかった光を放つ何かを閉じ込めた巨大な黒いガラス。
あそこにある。石が。
数分後、扉が開いて一人の男が入ってきた。髪は雪のように白く、しわが時の傷跡のように深く刻まれた、かなりの高齢の方だった。でもその笑顔は若く、ほとんど子供っぽいくらいで、その目は年月を経ても少しも薄れていない好奇心で輝いていた。
「おお、おお。ぬしがエレノア・ウィンターフォールか。初めてじゃな、ワシはザイル・アッシュフォードじゃ」
と言って手を差し出した。私は敬意を持って握った。
「会えてうれしいぞ。名は先に届いておる。名声がぬしを先導しておるわ」
ザイルの視線がリリウムに向き、しばらくの間そこに留まった。ほんの一瞬のことなのに、永遠のように長く感じられ、とても奇妙な気がした。
「あの人形が、ぬしの有名な創造物か?」
「えっ……あ、はい。彼女はリリウムです。でも知らない方とはあまり話さなくて」
ザイルはリリウムについてそれ以上何も言わなかったけれど、空気の中に何か奇妙なものが残った。ある感覚が。それが私をひどく居心地悪くさせた。
ザイルがスイッチを操作すると、部屋の照明がついた。黒いガラスの後ろの照明もつき、ガラスが透明になった。私は思わず息を飲んだ。
高台の台座の上、管とケーブルに繋がれたガラスのカプセルの中に、石が浮いていた。灰色とも青とも黒とも言いきれない、それら全てが混ざり合ったような色。その内側から、心臓のように脈打つ弱い光が。
「美しいじゃろう?」
ザイルが、ほとんど宗教的な敬虔さでガラスに近づきながら言った。
「シノンで見つけたんじゃ、オラシア大陸の。古い神殿があってな、廃墟じゃった、何世紀も誰も訪れていない場所じゃ。そして中央の広場に、これがあった。まるで意図的に置かれたかのように。まるでワシを待っていたかのように」
返事をしなかった。本能が、聞き続けることを命じていたから。
「最初に触れたとき、灯台のように青い光が飛び出してきた。危うく目がつぶれるところじゃった。それが普通の石でないとわかった。唯一無二のものを見つけたとわかった。危険かもしれない、大惨事を引き起こすかもしれないと警告されたが、置いていくことはできなかった。持ち帰らなければならなかった。研究しなければならなかった」
興奮に輝く目でこちらを向いた。
「わかるか、エレノア。ワシたちが何を発見したか。この中に含まれるエネルギーは魔力ではない、しかし魔力のように振る舞うんじゃ。似ているが違う。例えて言うなら:魔力は風味のある水、複雑で不純物を含む。しかしこれは……純粋な水じゃ。汚染されていない。際限がない」
心臓が速くなるのを感じた。
「そのエネルギーのごく一部を抽出することに成功した。燃料として使った。ワイルドソウル氏族の拳銃で試したが、最初の一発で武器が砕けた。あまりにも大きすぎる力で、制御できなかった」
ザイルは無駄遣いを惜しむようにため息をついた。
「保存しようとも試みたが、抽出したエネルギーはすぐに消えてしまう。石だけが唯一の生命維持装置であるかのように。石なしでは、エネルギーは蒸発する」
「石の中には何があるの?」と尋ねた。すでに答えが怖かったけれど。
ザイルは長い間こちらを見つめた。それから声を低くした。
「魔力センサーが何かを検知した。エネルギーを超えた何か。……不規則性じゃ。まるで中に生きているものがあるかのような。あるいはかつて生きていたものが。断言はできん、しかしその可能性はある」
世界が揺らぐような気がした。石の中に生きているものがある……。それは……何なのかわからない。でも恐ろしい。そして素晴らしい。そしてぞっとする。
ザイルは姿勢を正して、職業的な口調を取り戻した。
「しかし理論の話はここまでじゃ。ぬしはここへ助けるために来たんじゃろう? ぬしの霊的な魔術がこのエネルギーをよりよく理解する助けになると聞いておる。始めてみるか?」
唾を飲み込んだ。助けに来たわけじゃなかった。探りに来たのに。でも、もう引き下がれなかった。
「もちろんよ」
あまり嘘くさく見えないことを願いながら微笑んだ。
「石に近づかせて。……感じてみたいわ」
ザイルが頷いて、カプセルを守る装甲扉へと案内してくれた。封印の術式が三つ輝いてから、扉が開いた。リリウムを抱いたまま中に入り、石を収めたガラスの前に立った。何をすればいいかわからなかった。計画なんて何もなかった。だから唯一知っていることをした。本能に従った。
集中しているふりをして、震える手で懐から杖を抜き、ガラスに向けて伸ばした。目を閉じた。そして、一つのアイデアが浮かんだ。どんな魔術師も役に立たないと思っている、とても基本的な術式。吸収の術式。
「『力よ、流れよ、すべてが私の中へと集まれ。光と闇、命と魂よ――吸収するものの中に宿れ』」
唇がほとんど動かないほど小さく囁いた。
杖に小さな魔術陣が現れた。青いエネルギーのごく一部が石から切り離されて自分の方に流れ込み、ほとんど感じ取れないほど小さな魔術空間に蓄えられていくのを感じた。まるで火事の中でコップ一杯の水を持っているよう。
ザイルは気づかないようだった。あるいは気にしていないのか。
「何か感じるか?」と、待ちきれない様子で尋ねた。
目を開けてガラスから離れた。
「……複雑ね」と、知恵のように聞こえることを願いながら曖昧に言った。
「感じ取ったことを処理する時間が必要だわ。結果が出たらご連絡するわ」
ザイルは明らかに興奮した様子で頷いた。
「もちろん、もちろん。必要なだけ時間を取れ。連絡先のカードがここにある。そしてこの特別なカードで、次回の訪問時に保安手続きを省略できる。便利じゃろう。连絡を待っておるぞ」
奇跡的に震えない指でカードを受け取り、穏やかなつもりで実際にはほとんど逃げるような足取りで研究所を出た。
帰りの車の中で、震えが止まらなかった。
嘘をつくのがうまいわ、と思った。こんなに上手に嘘がつけるなんて知らなかった。昔からそうだったの? それとも私に何かが起きているの?
リリウムが、訪問中ずっと黙っていたのに、すみれ色のガラスの目でこちらを見た。
「エレノア……だいじょうぶ?」
「わからないわ、小さいの。わからない」
* * *
部屋に帰り着くと、ベッドに倒れ込んだ。疲弊しきっていた。リリウムが隣に座って待っていた。
「何か覚えてる?」あまり期待せずに尋ねた。
「おぼえた。いっぱい……おぼえた。りりうむ……かく」
「書く?」
起き上がって、驚いた。
「字が書けるの?」
リリウムが力強く頷いた。鉛筆とノートを渡し、リリウムは両手で不器用に筆記用具を持って、文字を書き始めた。汚い、幼い字だったけれど、読めた。数字、短い描写、名前。奇跡だった。
驚嘆し続ける暇もなく、扉がノックされた。
「エレノア様、お客様がいらっしゃいました。ベアトリクス・クロスがお会いしたいとのことです」
ため息をついた。マジクス純粋が。よりによって今、何の力も残っていないこの時に。
下に降りて迎え、庭の方へと案内した。そこでは柔らかなそよ風が庭の花を揺らしていた。ベアトリクスは光輝いていた、まるで彼女の上に浮かぶような上品さをまとって。私を見て微笑んだ。
「どうしても待てませんでしたの」
絹のような囁き声で言った。
「プロジェクトについてお話したくて。これを開発するのに何年かかったかご存知かしら? 十年ですわ。貴方様の人形が話すことを学んだと知った瞬間から、貴方様こそ必要な方だとわかっておりましたの」
呆然とした。
「十年……?」
「ええ。最初はテッラの世界に降りることが恥ずかしゅうございました。独りでできると思っておりましたが、そうはまいりませんでしたの。貴方様が持つような人工的な魂の才能がわたくしにはないから。ですから待ち続けて、試作品を準備して、完成させてまいりました。そして今、ついに準備が整いましたわ」
ベアトリクスが近づいてきた。目が、私を不安にさせる強度で輝いていた。
「高度な医療アシスタントを創りたいのですの。完全な魂を持った人形、学ぶことができて、話せて、癒せる。病院がそのような存在で溢れたら何を成し遂げられるか、想像してごらんになって?」
「人工的な魂には寿命があるわ」
異議を唱えた。
「唯一の例外はリリウムだけど、その理由は私にもわからない」
「それがまさに肝心な点ですの」
ベアトリクスは言い、その声がより低く、より親密に、より……奇妙に変わった。
「人工的な魂に限界があるなら、なぜ本物の魂を使わないのかしら? 魔術師の魂、人間の魂……そちらにはその問題がございませんもの」
血が凍りつく感覚がした。
「……魂を盗むということを提案しているの?」
「盗むのではございませんわ」
ベアトリクスは答えた。笑顔はもはや優しいものではなく、ほとんど祝福のようだった。
「再利用。リサイクル。亡くなった方の魂は身体を離れるでしょう? さまよって、迷って、消えていく。新たな目的を与えてさしあげてはいかがかしら? 新たな身体を。新たな生を。それが……素晴らしくはないかしら?」
勢いよく立ち上がった。
「そんなことできない。したくない。それは……逸脱よ!!」
ベアトリクスは動じなかった。微笑みが広がり、視線がガラスのようになった。まるで私には見えない何かを見ているかのように。
「逸脱……なんと醜い言葉かしら。わたくしはそれを進化と申しますわ。貴方様はリリウムを創られたのでしょう? 命を与えられた。それも、逸脱ではないかしら? あるいは他の誰かがするときだけ逸脱になるのかしら?」
「リリウムは違う」
震える声で言った。
「彼女は……誰も傷つけていない。盗んだ魂なんて使っていない」
「どうしてそうとわかりますの?」
ベアトリクスが一歩踏み出し、私は退いた。
「リリウムの魂が遠い昔に死んだものの残滓ではないと、どうして言えますの? かけら、こだま、残り物ではないと? 貴方様は自分がどうやってそれをなさったかもわからないのでしょう? 本能に従っただけ。そしてその本能が、命の創造は可能だと告げた。わたくしはただ次の一歩を踏み出そうとしているだけ。それが魔法科学のすることでは? 前進すること、たとえ痛みを伴っても」
もう聞いていられなかった。向きを変え、館に向かってほとんど走った。ベアトリクスは追ってこなかった。庭に一人で立ったまま、その微笑みを顔に張りつかせていた。
「わかってくださるわ」
その声は、私が扉の向こうに消えかけていた時にも届いた。ベアトリクスが呟いたのだ。
「みなさん、遅かれ早かれ」
* * *
部屋に帰り、心臓がどきどきする中ベッドに倒れ込んだ。リリウムが近づいて、磁器の手で頬に触れた。
「エレノア……おこってる?」
「怒っていないわ。……怖いの」
ぎゅっと抱きしめた。
「あの人、ベアトリクスは危険よ。魔術師の魂を実験に使いたいんですって。どうやって止めるかわからないけど、させるわけにはいかない」
リリウムが真剣な様子で頷いた。それから、以前に聞いたことがないような滑らかさで言った。
「りりうむ……おぼえてる。いろんなこと……おぼえてる。あおいひかり……まだある」
瞬きをした。
「青いエネルギーのこと? 石の? でも消えるはずじゃ……」
「まだある」
リリウムが、私がエネルギーを入れた小さな魔術の箱を仕舞っているポケットを指差した。
「みて」
箱を取り出して、一瞬躊躇してから開けた。青いエネルギーがまだそこにあった。消えていなかった。まるで生きているかのように、静かに脈打っていた。
「どうして……?」
囁いた。
「ザイルは持続できないと言っていた……」
リリウムがじっとこちらを見つめた。すみれ色のガラスの瞳の中に、これまでに見たことのない知性の閃きを見た気がした。
「わからない。でも……大事。これは……大事」
箱を閉じてポケットにしまった。何を意味するのかわからないけれど、目を離すべきではないと本能が告げていた。リリウムを抱いて、天井を見上げながら夜が屋敷に落ちていくのを感じた。
エネルギーは消えなかった。リリウムはより上手に話せるようになった。ベアトリクスは狂っている。ザイルは執念深い老人。そして私は……ただ本能に従って、思っていた以上に上手に嘘をついてしまった女。
でも少なくとも、一人じゃない。
そう思いながら、青い光と喋る人形と暗闇をさまよう魂に満ちた、落ち着かない夢の中へと引き込まれていった。
――奇跡は、静かに姿を変えていく。
命を持たないはずの存在は、
少しずつ心を育み、
眠り続けていた力もまた、
ゆっくりと目を覚まし始める。
誰にも見えないその変化は、
新たな運命を呼び寄せる。
次回――
目覚める奇跡。
小さな一歩が、
未来を大きく変えていく。




