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転生賢者はひきこもる  作者: 春市
二章 地霊編

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第三十一話 繋いだ

 「危ない!」

 いきなり誰かが飛び込んで私を抱き抱えた。

 ズンッ!

 天から雷が落ちる。

 

 (あれ...)

 いつまでたっても痛みがこない。あるのは膝を擦りむいたヒリヒリだけだ。


 目を開けると

 「ランド!」


 ランドが私を守るように覆い被さっていた。そのおかげで私は雷から身を守ることができたようだった。


 「スズカ...」

 「ランド!だめだ!私なんかのために犠牲になっちゃあいけない!」


 「私は貴族ですよ?じゃあ、守らないと...それが義務だから...」


 「...」

 なにか言おうとしたところで、ランドに人差し指で口元をグッとおさえられる。

 「いいですか。この場を救えるのはあなただけです。みんなはさっきの避雷の魔法で手一杯だ。」


 「でも、魔力を...」


 消耗しきっている。


 「私の魔力をあなたに融通します。大丈夫、こう見えて魔力の量には自信があるんですよ?リンさんのお墨付きですから心配しないで下さい」


 「魔力を受け渡すのは不可能なんじゃ...」


 「スズカが引きこもっている80年でいろいろあったんですよ?あなたが立ち止まっていても世界は歩みをとめてない」


 「ほら、手を出して下さい...」


 スズカは言われるがままにおずおずと両手をランドの倒れている方へ差し出した。

 ランドは右手を痛みに耐えながら必死の思いで出し、そして繋いだ。


 何か呪文らしきものをゴニョゴニョと唱えているのが分かった。

 魔力がスズカの身体にみなぎってゆくのが分かる。全身がポカポカしている。


 「いいですか。こうしている間にも地霊は第2波の攻撃を準備しています。」


 「でもさっきのが効かなかったんじゃ...」


 「弱気にならんで下さい。旅の途中でみたあなたは...」

 「もっと、気丈で、勝ち気で...」


 気絶した。


 (魔力の渡しすぎで意識を保てなかったのか...)

 ランドの側を離れ、静かに立ち上がる。空は未だごうごうとして黒く、地霊の喚き声がサイレンのようにガンガンと頭に響いていた。


 「まいったね、こうも期待されたんじゃ...」


 「絶対ぶっ飛ばしてやらないといけなくなったじゃないか」

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