第三十二話 地霊戦 第二ラウンド
時間は有限。
〈貫く流れ〉で地霊の意識を少しは削げたが、暴走状態にあっていつ何が起きるかわからない。
魔力はランドに渡された分があるがあいつを倒せるほどにあるか?
心が不安でズキズキする...
いいや...ここは直感を信じよう。
「飛翔」
そう唱えるとフワッと身体が浮き上がった。
風の魔法を主力としてつかっている。
風の魔法で身体全体を浮き上がらせる。ただこのままではヘリコプターの風で煽られたように付近が騒がしくなってしまう。だから次に魔術教本の常用魔術の欄のあった静穏の魔法。これをつかって姿勢制御をとる。
「飛翔」にはこれまで培ってきた魔力操作技術の全てが詰まっている。そもそも二魔法同時使用にもかなりの年月を使ったはずだ。これは外に出てから気づいたけれど。
私の奥の手を使う。飛翔の魔法は本当は見せたくなかった。誰も知らないこんなにも便利な魔法が存在すると知ったらどんな悪党が忍び寄ってくるかわからない。
だから最後の最後までこれは見せないだろうと思っていた。
でも、それが今なんじゃない?
高度を上げてゆく。
高く、高く、
地霊の頭の上、はるか上空で新たに魔法を使う。
魔法の同時使用、それはかなりの難易度がある。森に引きこもっていた年月の半数を経てやっと同時平行で魔法を処理できるようになったのだ。
上空に上がった理由は2つ。
一つは上空からの攻撃で魔法に重力を味方につけさせる。
もう一つはランドたちだ。
魔法師たちの中にも魔力の限界が近い者は多いだろう。そこにさっきのデカイ雷が降ってこようものなら一人残さず木っ端微塵だ。
一発K.O. だ。
短い間でも世話になった間柄だし、
...もう誰も私の手の届くところで死んでほしくない。
じゃあどんな魔法を使うのか、
地霊の最期のあがきを止める。
どうするか?
簡単だ。動けないようにしてやるだけだ。
大質量攻撃――
それでいい。
魔法は複雑な操作であるほど魔力を消費しやすい。
ただ土くれを生み出して、おっとこす
なんと単純明快な作戦だろう?
意識を集中し土くれをイメージする。あまり時間が残っていない。
速度を重視する。
次第に地霊の両足が光を帯びはじめた。山頂からではわからなかったが雷の準備中の合図なのかもしれない。
(間に合ってくんさい...!)
ただ、祈るのみだ。




