第二十一話 「馬車の中」
「では、行きましょうか。」
ランドたちの乗ってきた馬車に乗せてもらい、森の外れから、まずはヨウスの町を目指す。
実のところ、風魔法を応用した高速移動方法は持っているのだが、私一人では道がわからないし、たまには馬車なんてのもいいかなー、と思ったのだ。
頑張れば全員運べないこともないのだけれど...。うん、みんなには内緒ね。
初めての森の外だったが、意外と衝撃的なものはなかった。そりゃそうか。
森の外は広大な平原が広がっていた。ヨウス平原というらしい。
ヨウスの町はそこから来ている。ま
んまだね。
もちろん、森から町まではなんの舗装もされていないので、揺れる揺れる。
馬車には生まれてはじめて乗ったけれど、決して乗り心地がいい乗り物ではないな。車輪があるだけいいんだろうけど、こんなのにずっと乗っていたら痔になるんじゃなかろうか。
移動中。
「ところで、スズカさんは森で見せてくれた以外にどんな魔法を使えるんですか?こちらとしても、使える魔法は把握しておきたいので。ああ、もちろん伝えられる範囲で構いません。」
黙考。
「そうですね...。私の得意な魔法は風の魔法です。」
「風ですか...ハイムさん、どんなのか知ってる?」
ランドが仲間の魔法師の聞いた。
「いえー。風の魔法は難易度も高いし、応用力が水と地ほどないから、使う魔法師が少ないんですよね。だから風魔法の開発は他の属性魔法より、そこまで進んでいない。」
私の知る風の魔法の遣い手も引退した人だったんで。現物を見たことは数回あるかないかです。と言った。
「ふむ、じゃあスズカさん、実際に実演してもらえませんか?」
「はあ、まあ構いませんけど...」
魔力の許す範囲でですよー、と言っておく。
「じゃあ...まず、『風』!」
ボフゥ!っと私のまわりから風が吹き出た。
馬車の幌がバサバサとなびく。
「おお、これはすごい。」
「じゃあ、次の魔法です。」
「風流!」
さっきより強い、猛烈な風があたりを襲う。
「おお!」
「こらすごい...。」
ランドと魔法師がぽかんと驚嘆している。
御者が叫んだ。
「馬車を壊さんで下さいよ!これ借り物なんですから。」
「あっ、やべ。」
集中が途切れて、風は吹き止んだ。
「いやあ、いいもんが、見れた。」
魔法師がすっごい誉めてくれる。べた褒めだ。ちょっとイントネーションがおかしくなってるし。
「やっぱり、スズカさんはすごいですね。」ランドも褒める。
「ああ、ありがとうございます。ところで、そのスズカさんっての止めません?こんな若輩にさん付けされるの恐縮なんで。」
「いえいえ、スズカさんは凄腕の魔法師なんですから、付けて当然です。」
気に入らない顔をしてやった。
どうだね?年頃の女の子に嫌な顔をされるのは、クルものがあるじゃろ。
「え、ああ...ではランドと呼んでください。私もスズカと呼びますので...」
「分かりました。ランド。」
「うん。順応ハヤイネ......」
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